「おつかれさま〜」ピリピリとした空気の中に、道具係の親友が入ってきた。真っ先に名前に駆け寄り、台本の進み具合をチェックする。「全然進んでないね〜。どうして?」にこにこと笑いながらも威圧的なその態度は、彼氏の不二にそっくりだ。「だってみんなの演技がひどいんだもん!」あまりな発言に周りからはブーイングが上がる。「今年は部長の私と副部長の親友が同じクラスだし、絶対賞取らないと。後輩に示しがつかないでしょ!?」その瞬間、俺の中の何かが切れた。prev nextback