スザクのイケない!?○○指導 (1/5)

 ルルーシュの部屋に今四人の男達が集まって、液晶画面をじっと見つめている。ルルーシュ、ロロ、ジノ、スザクという面々だ。

 そのうち3人はどこかソワソワした様子で、時折画面から視線を外す。ルルーシュとジノはスザクの様子を、そしてロロは兄の様子を盗み見ていた。スザクだけがやけに真剣に画面を見つめている。

 画面の中では丁度二人の少年が熱い口付けを交わしているところだった。


 それは元々リヴァルがスザクにした提案だった。男子学生同士ではよくある、所謂AV鑑賞会というやつである。本来なら彼らはそういうことに興味津々のお年頃。だがリヴァルの周りの男子と言えば、ルルーシュを筆頭に女の胸より男のケツに目をやるような輩ばかりで困る。だがそんな彼らの標的であるスザクは、奇跡的にもまともな慣性を保持していたのだ。


 それはリヴァルがレンタルビデオ店の18禁コーナーで、AVを吟味している時だった。どれがいいかイマイチ決めかねてとりあえず『爆乳パラダイス』というタイトルに手をかけたところに、彼は現れた。

「巨乳が好きなら、そっちより二つ右の『牛乳コンプレックス』の方がお勧めだよ」

耳に心地よいあどけない声色と、サラリとした口調。それはリヴァルのよく知っている声だった。だが言われた内容が内容だけに耳を疑う。ぎこちない動作で振り返ると、そこには紛れもない旧友の姿。似合わないサングラスを栗毛の頭に引っかけたスザクが、爽やかな笑みを浮かべて立っていた。

 「ス、スススス、スザク!!」

リヴァルは思わず叫んでしまい、慌てて口を抑える。その頬は真っ赤に紅潮していた。

「驚かせて、ごめん。さっき入り口の辺りでも声かけたんだけど、気付かずに行っちゃったから」

驚かせてとか、そういう問題ではない。18歳未満どころか、下手すれば中学生にすら見える童顔のスザク。そのスザクが、とんでもないことを平然と言ってのけた。だがリヴァルには、そこよりももっと注視すべき事柄があった。

「スザク!! お前、ちゃんと女の子が出てるAV見るんだなっ」

あまりにリヴァルが嬉しそうに言うので、スザクはきょとんと首を傾げる。

「ちゃんと女の子が出てないAVって、ニューハーフものとか? 僕はそういうのは、あんまり興味ないかな」

ゲイものなど発想にもないと言わんばかりのスザクの反応に、リヴァルは思わずスザクに抱きついてしまった。

 なにせルルーシュはといえば、部屋にあるそういう類のものは全て男同士のものばかり。それも主演男優は決まって茶髪で癖毛のイレブンの少年。普段の言動を見る限り、ジノもどうせ似たようなものだろう。そう思って諦めていたのに、まさかこんな所に思わぬ同士が居るとは。

 スザクは抱きついてくるリヴァルの背中をあやすように撫でていたが、遠くから自分を呼ぶ声が聞こえ視線をそちらへと向けた。

「ごめん、リヴァル。ジノと一緒なんだ。こんなとこまで探しに来られるとうるさそうだから、もう行くね」

「あ、あぁ…確かに。またな、スザク」

AVの棚を物珍しそうに眺めてはしゃぐジノを思い浮かべて、リヴァルは苦笑と共に頷いた。

 去っていくスザクを見送ったリヴァルは、迷いなく彼が進めてくれたディスクを手に取っていた。


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