05







押し倒しても、がっつくような真似はしなかった。
年齢のわりには大人びているな、とは思っていたけれど、ここでがっつかないのは流石としか言いようがない。
顔は赤いけれど、強張っている。
この様子から見るに、相当緊張しているか、迷っているか、わからないかのどれか。
すこしだけ体を起こして、触れる程度のキスをした。
そのキスで多少の緊張が取れたようで、ライナーのほうから軽いキスがされる。
面白くなった私は、そのままライナーの口の中に舌をいれた。
抵抗されることはなく、私の舌の動きと自分の舌の動きを合わせてきた。
慣れていないキス、これがまた可愛らしい。
この見た目をしているのだから、彼女の一人くらいいてもおかしくないのに。
いや、もしかしてもう彼女がいるのかもしれない。
それでもいいと思った。
私だって、彼氏がいる身で今こんなことをしている。
第一相手は年下。
誰がどう見ても責められるのは私だ。
それくらい、この男の子は安全だと、そう思ってしまった。
向かい合ってキスをしながら、一枚一枚脱いでいく。
目の前にいる赤い顔をした男の子が、心底可愛いと思ってしまった。
「お姉さん・・・なまえさん」
ライナーが、ふと私を呼んだ。
「俺、初めてなんだけど。」
やっぱりか。
自己申告しなくても、よかったのに。
「上手くできるか・・・」
懺悔でもしそうな勢いで喋るライナーの頬を撫でて、安心させようと言葉を投げかけた。
「大丈夫よ」
これくらいしか言えない。
そもそも、何を上手くするというのだろう。
誘うように首に腕をまわし、体ごと距離を縮めた。
大きな手が、私のシャツを取り去る。
ブラジャーごと胸を揉んできたので、背中のほうに手を誘うと、片手で外そうと指をもぞもぞさせてきた。
腕の中で転がり、背を向けると即座にブラジャーが外された。
首にキスをされて、後ろから胸を揉まれる。
揉み方の雑さはともかくとして、大きい手に胸を覆われるとそれなりに苦しい。
「ん、はあ」
声が出てしまった、それくらいの気持ちだったが、ライナーのほうに火がついたようだった。
軽々と体の向きを変えられ、真似でもしてるのかというくらい激しいキスをされた。
歯と歯がぶつかりそうで、舌根が攣りそうになる。
唾液が混ざり始めて、音がし始めたときにそっと唇が離れた。
はっきりと見えた顔は、盛りがついた男の人の顔。
その表情にときめく私は、まだ余地があるのだろうか。
「お姉さん、これ。」
そう言って手にかけたのは、私のストッキングだった。
スカートは捲れあがって役目を果たしていないので、そのままでいいだろう。
ストッキングごとパンツを脱いで、ライナーの背後に向かって放り投げた。
私の使っている鞄の上に落ちていることを願いつつ、足を開いてライナーの腰を招き入れると、途端にライナーの赤い顔が更に赤くなった。
そんなに緊張しなくてもいいのに、というのは無理な話であって、私はただライナーを見つめることしかできずにいた。
ライナーと目が合い、視線が突き刺さる。
これだけは慣れているようで、片手で器用にベルトを外し、ズボンのチャックを下げた。
チャックから出てきた逸物の大きさに驚きつつも、手を伸ばし、ライナーのペニスを扱く。
けっこう太い。ちゃんと握りきれない。
長さもあるからこれは期待できそうだ、と邪で卑猥なことを考える余裕のある私は、この状況を楽しんでしまっている。
「なまえさん、なまえさん、う、あ。」
ライナーの、戸惑いの喘ぎ声。
可愛くて、扱く手を早めたら、射精するのを堪えているらしく、腹筋に力が入っていた。
「中で出していいんだよ?」
そう言うと、ライナーはすこしぽかんとした顔をしたあと、また盛りのついた顔になった。
足を割り、腰が私の股に密着する。
私の股の間を、何か壊れそうなものでも扱うかのように触れた。
中に指を入れて、丁寧に掻きまわされる。
もうすこし乱暴にしても、それはそれでいいのに。
ほぐすように指で愛撫したあと、股の間の穴に、ちょんっとペニスの先端を押し当てた。
先端を当てられただけでもわかる、大きい。
ぐ、ぐ、ぐ、と押し割ってくる。
圧迫感に息苦しさを感じながら、ライナーを受け入れた。
「は、っあ、お姉さん、はっ」
「んっ、うぅ、はあっ」
ゆっくりと、慣れない様子で腰を動かす。
ゆるゆると動くライナーの腰。
私の中で動くライナーのペニス。
体の相性は、悪くないようだ。
悪かったら、挿入した時点で不快感が襲うと聞いたことがある。
挿入してからのピストンを全てライナーに任せていたら、快楽を求めるままに腰を進めはじめた。
特に雑さもない動き方だけど、こんなものだろう。
「すげ・・・気持ちいいっ・・・」
ライナーの真っ赤な顔。
どういうわけか、それだけで愛しく感じてしまう。
体の中にいるライナー、ライナーは私の体の中に入っている。
「お姉さん、好き、好き。」
キスをしながら囁く。
私の唇、頬、首、鎖骨に、どんどんキスが落とされる。
随分と余裕のある童貞だ。
「う、あ、お姉さんっ」
すこしばかり激しく動かれたかと思うと、腰の動きがいきなり早くなった。
息遣いも、早い。
はあはあ言いながら、責め立ててくる。
顔に焦りと不安が混じった顔をしたので、私はすぐさま足でライナーの腰を固めた。
「え、あ、お姉さっ、え」
がっしりと腰を動かせないようにして、膣内だけでの動きを忙しなくさせた。
動揺と快感が混じった顔。
こんな可愛い顔、滅多に見れない。
「お姉さ、お姉さん、なまえさんっ」
何度か膣内だけで動いたことにより高まったようで、焦りながらも、ライナーは膣内で射精した。
奥のほうに、ふわっと広がる感覚。
息を相変わらず荒げ、腰に余韻があるのか、下半身を震わせている。
途切れそうにない快楽に、体が焦っているようで、呼吸は乱れたままだ。
ライナーは、私を抱きしめる形でのしかかってきた。
耳元付近で聞こえる、荒い息遣い。
背中を軽く撫でながら、安堵させるように抱きしめた。
「気持ちよかったよ、ほんとに初めて?上手かったわ」
そう言うと、ライナーは笑った。
汗ばんだ額、欲情した目、とても学生には見えなかった。







2013.08.03

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