東さんと戯れる



レポートを作るために開いていた春秋のパソコンから軽快な音がする。
時刻は午後14時。
メールか、オンライン飲み会に誘うためのメッセージだろう。
送り主は、たぶん諏訪さん。
みんなで飲もうという口実のもと、春秋や冬島さんの弱点を見れないかとワクワクしているのだろう。
春秋の無防備な姿は、私しか見れない。
諏訪さんには与えられないスクープを、私は味わい尽くしてる。
研究もあり日頃から出不精な春秋はオンライン会議をすることが多く、前は私が全裸で自慰行為をする姿をウェブカメラで見るプレイをしたこともあった。
やった感想、面白いけど足りない。
春秋の手が、吐息が、熱が足りないから、深くイケなかった。
ベッド下に散らばる春秋の普段着と私の服。
心地の良い昼間から一点して熱から逃げず愛し合った結果は、大満足。
「あっつい」
シーツの上でぐったりしてると、春秋が私の髪を撫でながら額の汗をすくった。
起き上がった春秋が、ベッドの足元にある扇風機を私に向けて固定する。
冷たい風が私の裸体に当たり、汗を落ち着かせた。
「はあ、涼しい」
「なまえ、腰は大丈夫か?」
「大丈夫」
心地いいのをいいことに、春秋に抱きつく。
春秋の体も汗ばみ、胸板に耳を当てると心臓の音がする。
体の興奮は治っても、内側に性欲の手触りは響く。
枕元にあったコンドームをつまみ、扇風機の風に当てる。
「中の精子も冷えるのかな」
「ゴムに耐熱性はないから、すぐ冷える。」
つまんだコンドームは精液を溜まらせていて、この中身を子宮にブチ撒ければ僅かな確率で子供が出来てしまう。
コンドームの先の膨らみの中にある精液は、なんとなく練乳を想像させた。
練乳くらい甘かったら、春秋の精子をいくらでも飲む。
春秋は、私の汗や体液を美味しいといって舐める。
体の中に取り込まれた私の一部は、春秋の胃袋に落ちて消化される。
もしも私が消化されなくて、私の溢れて止まらない愛液で春秋がお腹に子供を宿したらどうしよう。
春秋のお腹に10ヶ月いてもらって、大事に育てて、名前をつけて、春秋と私で大事に大事に可愛がろう。
くだらない考えを捨てて、コンドーム片手に笑う。
「精子凍らせて入浴剤みたくして、お風呂でぬるぬるしたい」
私のくだらない提案に、春秋が微笑む。
「ローション入浴剤にしようか、香りの種類が沢山あるやつ。」
首筋にキスされ、手にあるコンドームをそっと奪われゴミ箱の中に捨てられた。
背中あたりを大きな手で撫でられ、内側の落ち着いてなさが響く。
じわじわと広がる快感を集めるのが好きで、集まった時には絶頂の海。
私はこういう時、いつも汗だくになって声が掠れる。
「イキすぎてお腹痛い」
「なまえ、イッてもやめないでって言ってた。痛くなるまでイッたのはなまえだろう。」
その通り。
熱さを忘れれば、そんなこと蒸し返されるたびに赤面する。
体の熱さも、興奮の底も。
「なまえ、来週キャンプに行かないか。」
「行く!焼き魚たべたい」
「キャンプ場は山にしよう。山ならどれだけ声をあげてもいい。」
春秋が私に触れ、キスする前の真剣な目で私を見る。
汗で乱れた春秋の髪が艶めく。
喘ぎ疲れて乾いた唇の私を、またその気にさせたいみたいだ。
「自分から腰振って、俺の名前呼びながら何回も体を震わせていて、すごく興奮した。」
「あんまり細かく言わないで」
照れ笑い半分、誘い笑い半分の私。
上目遣いをしても照れ臭くなって、春秋の胸に顔を埋めた。



2020.08.20






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