愚者の決意




武器の部分はゲーム版参照







「これが一式」
ブリッグズ地下の実弾射撃演習場の隅で、トランクを広げた。
持ち込んだ銃が一式詰め込まれたトランクは、表向きは普段使い。
中は合計四層になっている。
蓋を開けてから、巻物のように巻かれた弾薬入れを床に広げてから説明した。
「ルガーに詰め込むのはこっちと、これ。毒入ってる。この弾薬ひとつで小屋一個吹き飛ばせるから、基本的にライフルに入れてる。同じように見えるライフル、マガジンが違うの」
説明する私の背後には、バッカニアと彼の部下数人。
珍しい武器を見つめ、どんなものかと目だけで見定めようとしている。
「リボルバーは薬効が重い銃弾を使うから、殆ど汚れてない。でも他にいくつもあるライフルはアエルゴの一般的なもの、ルガーは特注」
弾薬を差し、中身のないルガーを片手に重さをチェックした。
手に馴染む感覚は、いつもそのまま。
ルガーを置いて、一見して小さなベレッタを手に取り手の中で軽く回す。
「あとこれは認識型」
「なんだ、それは。」
アームストロング少将が、認証という言葉に反応した。
隣で控えるマイルズさんも興味深そうにしているのを見る限り、ブリッグズの人たちはアエルゴの銃を一度も見たことがないようだ。
ベレッタを手に取り、グリップを強めに握ったまま腕をまっすぐに伸ばした。
小さいベレッタは見る間もなくグレネードランチャーへと変形する。
アメストリスの大砲を縮め、ベレッタのデザインをそのままにしたような風貌のグレネードランチャーは、奇妙に映るに違いない。
「これは私の手でしか変形認識しない」
「アエルゴは機械工学が発達していると聞く、想像以上だ。」
感心するアームストロング少将が、グレネードランチャーを見つめる。
サングラスの目元がどう動いているかまでは想像つかないものの、マイルズさんも目を離さない。
「アメストリスの錬金術も発達しているわ」
アエルゴには、機械マニアの変な博士もいる。
王家も変な機械に手を出している噂を聞く。
アエルゴでの機械は、アメストリスで言うところの錬金術。
発達した錬金術を見て私が驚くように、こちらの人はアエルゴの銃を見て驚くのだろう。
アメストリスに国家錬金術師がいるのなら、アエルゴにも国家銃使いがいていいのに、なんて思うけれどそんなことは起こり得ない。
「私が使ってたところ、アエルゴ軍も使ってたから」
「軍事技術が一般流通しているのか。」
「金を出せば手に入るだけ」
事実。
私が言う事実が、アメストリス人にどう響いているかは察せる。
市民はマフィアと隣り合わせ、政治もマフィアだらけ。
金の傍には血と銃。
力には力。
それがアエルゴ。
「ねえアームストロング少将、解析に回った銃って手元に返ってくる?」
ダメもとで聞いてみれば、蔑むような目を向けられた。
アームストロング少将の金髪が鈍く輝き、見とれてしまう。
「返すと思うか?」
「そうよねえ、そしたらいくつか手元に置くわ」
よかろう、と柔らかそうな唇が呟く。
美しい顔には曇りもなく、地下の埃と硝煙と消毒液の匂いが混じる潔癖な武器商人の家の匂いのような場所に不釣り合い。
それでも軍服を着こなすブリッグズのボス。
ベレッタ、ライフル、グロック、リボルバー、マシンガン、認証式のグレネードランチャーを手にして、手元にあった小さめのカバンに詰める。
手元にないと、いざという時に困ると思考の根底が囁く。
魂にまで染みついた仕事は、取れることがない。
猛毒の弾と威力が抜群のものを手にし、弾薬もいくつか手元に置き、カバンに入れなおす。
仕事を受け持つ際、最低限これがあればいいという程度だけを確保したところでアームストロング少将が切ってかかる。
「なまえ、今一度聞こう。なぜアメストリスへ来た。」
アームストロング少将の疑問は、もっとも。
メイスンさんの叔父がブリッグズの勤務だという話は本当。
そして私が過去に何をしていたか、イズミさんは知っている。
素直に言わないといけない気がして、カバンを閉めてからアームストロング少将に向き合った。
「居心地が悪かった」
戦争が終われば稼ぎ時はおしまい、横流しする小遣い稼ぎもできない。
イシュヴァ―ル人に鉄クズみたいな武器を渡して、その場限りの友和で金を受け取ったり。
アエルゴ国内にいるアメストリス関係者を脅すか、撃つか、襲撃するか。
どうしようもない糞みたいな仕事をして生きてきても、アエルゴではそれが市民の一般的な生き方でもあった。
力に抗え、戦え。
それが出来ない人間から、死んでいく。
「アエルゴの王子はアメストリスと和平条約を強化するとかしないとか噂もあるし、日陰者は闇の中から出してもらえなくなる前に、ってところ」
本音は隠したまま、アームストロング少将と会話を続ける。
「追われているわけではないんだな。」
「もちろん」
「目的もない、と。」
「目的…そうね」
そうだ、と頭の中で一度事実を反復する。
ブリッグズ地下の実弾射撃演習場に来た理由は、銃を全て暴露し解析に回せるものを回し、アエルゴの銃の仕組みをブリッグズの解析に引き渡すため。
背後にいる愛しのバッカニアにも、何もかも話した。
愛しい人に認められた私は、哀れなまでに正直になれる。
「なんか嫌になったのよね」
感情論をつまみだし、広げた。
アームストロング少将の顔が一瞬険しくなった気がしたけど、遮る声も蹴りも拳も飛んでくる気配はない。
やめろ、と言われたら言うのを辞めるつもりで、ぽろぽろと自分の口から過去が僅かに零れ始めた。
「馴染みの運び屋がガンマンを何人か呼び出して、午後に運ばれてくるものを全部片づけろっていうの。言われた通り午後になって指定の場所に行ったら、国境越えのイシュヴァ―ル人が小屋の中に何十人もいた。
戦争が終わりかけてる時はそれが一番多かった仕事。その時にね、アエルゴにいたら汚れ仕事しかないって思ったのよ。このまま死ぬまで銃を持つ。幼い頃から銃ひとつだったから、自分に他の選択肢があると考えたことなかったの」
そう、後ろにいる愛しのバッカニアを愛するなんて思ってなかった。
感情は抑えて、事実だけを述べる。
バッカニア曰く、アームストロング少将の人を見る目は正しい。
私がどう判断されるか、楽しみ。
「でもアエルゴ以外なら、きっと選択肢がある…って思ったくらいかしら」
私の気持ちは、一本道。
誰も邪魔してこなかった私の人生は、環境によって血に濡れた。
それならば、血の匂いがしない環境で私はどう生きていくことができるのか。
興味を持った、それだけの話。
力に抗わない生き方がどんなのものか、死ぬ前に味わってみたい。
そう思うことは悪だとアームストロング少将は言うだろうか。
「そのような仕事をしていて、アメストリスに来たことが脚がつかない保証はない。」
「平気よ、関係者は皆もう死んでる」
運び屋は全員イシュヴァ―ル人に報復されてた、とは言えなかった。
そのかわりに、マイルズさんをちらりと見る。
アームストロング少将は私のカバンを指さし、選んだ銃を探った。
「なまえ、いま貴様はいくつかの銃を手元に置くことを選んだな、理由はなんだ。」
「使い慣れているから」
一息おいて、アームストロング少将が告げた。
「こちらで用意した銃のみになるが、なまえの射撃の腕に興味がある。14時の訓練までここは空きだ、今ここで残っている的を全て撃て。
根無し草の流れ者で後先の考えなしに動き、悪事に手を染めながらも自らの事しか考えぬ汚れ仕事ばかりした愚か者の腕前が、どれほどのものか私に見せろ。」
一昔前の私なら、激高していたような言葉。
でも、アームストロング少将の言うことは正しい。
愚かな汚れ仕事が嫌になり、アメストリスへ来た。
アームストロング少将が近くにあったライフルを差し出し、的を目で指図する。
「使え。」
実弾射撃演習場にある的は、全部で30。
人型の的をしている。
まず狙うは脳天。
ライフルの状態を見て、重さを確認する。
弾は入っていることを確認してから、利き手で握りしめた。
遠い位置にある的から順に、脳天の位置に一発ずつ打ち込んでいく。
軍が使うライフルの弾は軽くて、小石でも投げているような感覚になる。
これがリボルバーなら、マシンガンなら、筋肉から骨に振動が響いていく。
28、26、21、18、14、10、9、6と脳天に穴の無い的が減っていった。
5、3、1。
的の脳天全てに穴が開いたところで、ライフルの感覚を確認する。
あと一発ずつ撃てる弾は残っていそうだ。
一体ずつ感覚を開けて、心臓の位置を打ち抜く。
脳天が空いた的と、脳天と心臓が空いた的がズラリと並んでいく。
私の耳を霞んで取っていく、銃弾の音。
鼓膜が震える。
撃っていく弾を数えるのをやめて、感覚だけを研ぎ澄ます。
仕事場では、何よりも勘が大事。
一体おきに穴を空ければ、ライフルが軽くなり始めた。
弾のないライフルは軽くて、投げたら遠くまで飛んでくれそうなことを知っている。
穴を空け終わり、ライフルをそっと下げた。
軽いライフル。
これなら近距離で殴るのに使える、なんて考えがまだ頭を過る。
アームストロング少将をちらりと見れば、座った目をしていた。
「満点。」
低い声がそう言って、安心する。
「私を認めてほしいとは言わない、撃ったことを許してとも言わないわ、カフェに勤務してもいい?」
「よかろう。」
ほっとして、表情筋が緩む。
的を睨んでいて力が篭った目元がフッと戻り、気づかないうちに顔を顰めていたことに気づいた。
撃つときは、どうにもそうなる。
「今までどおりウェイトレスをしろ、その代わり、アエルゴの内情を知る限り全て教えてもらおう。定期的にセントラルに行くことも許可する。
義務を課す。母国の情報を入手したら、私に即座に伝えろ。」
要約すれば、私は偵察兵でスパイ。
けっこう前に女医さんが「ここの面子は訳アリが多い。」「女王様、軍法会議ものなんかしょっちゅうよ。」と口にしていた。
厄介者の私に提案する居場所としては、妥当な上にお釣りがくる。
敬礼し、アームストロング少将を見た。
「アイ、マム」
アームストロング少将が私に歩み寄り、今にも殺さんとばかりの目を向ける。
手袋をはめた手が私の額に伸びてきてから、額を指でドンと押された。
「敬礼の手が逆だ、愚か者。」



メディカルルームでコーヒーを飲み、天井を見上げる。
手入れがあまり行き届いていない天井なのか、劣化しているだけなのか区別がつかない。
「なまえを手放すのは惜しいって思ったんでしょうね、アエルゴの事情にまで精通している人ってアメストリスにはあまりいないもの。」
「そうね、いたら即座に捕まって監獄行き」
冗談半分で言っても、女医さんは笑ってくれなかった。
私がいない間に、私の説明を受けたに違いない。
カフェで発砲された、となっては「なまえは大丈夫なの?」と言うのが目に見えるように浮かぶ人相。
人がいい女医さんの気持ちを裏切るような私。
見かけなくなった兵士は、何も悪くない。
撃たれた私に落ち度があって、兵士の引き金は正しい。
私にもチャンスを与えるほどの洞察力と品行方正さと狡猾さがあるアームストロング少将なら、あの兵士にも平等な権利を与えたはず。
どうかそうであってほしい、と思う気持ちを流し込むようにコーヒーを飲むと女医さんがニコニコしながら近づいてきた。
「それで、大尉とのあまーい七日間はどうだったの?」
咽そうになったのを見て、女医さんが笑う。
あはは、と陽気に笑った笑顔が眩しい。
「どうって…」
「もうバレてるわよ、メンテナンスに来た大尉の首とか胸板とか腕にまでキスマークついてたし。」
カップの中身を飲み干せば、女医さんがすぐに追加のコーヒーを注いでくれた。
温かいコーヒー、100センズ。
顔が暑いというのに、熱いコーヒーを飲む。
カップを持つ手の先から蒸気が出そうになりながら、正直に説明する。
「初日に夜の汽車に飛び乗って、すぐにセントラルに着いたからずっとセントラルにいて」
「ほほう。」
「セントラルに出て、必要なものを買って、あとアエルゴの調味料があったからそれでバッカニアにご飯作ったりとか」
「いいわね、いいわね。」
「なんかこう…色々高ぶって…」
これまで、散々恋愛相談を聞いてもらった相手。
笑顔の女医さんに、嘘はつけない。
「半分くらいホテルにいたっていうか」
馬鹿正直に言うと、女医さんは心地よさそうな笑顔を向けた。
「そりゃあねー、大尉も相当性欲強そうだし。」
「も、って何!も、って!」
「普段からハニーって呼んでる人の性欲が弱いとは思えない。」
熱いはずのコーヒーを飲み干し、思わず笑う。
運が良いのか悪いのか、見方によっては最高で最悪。
スパイ紛いのことも請け負うことで、ブリッグズにまだ居座ることを許す策の裏に何かがあることは分かっている。
それでも、バッカニアの傍にいたい。
アームストロング少将の言った通り、私は愚かな流れ者。
それでも使える力は使う。
決断の裏に何かの思惑があるにしても、別にいい。
引き金を引かねばならなくなる日まで愚かでいよう。
空になったカップの底を見つめていると、メディカルルームにバッカニアが入ってきた。
七日間一緒だった時の私服とは違って、今は軍服。
「ぬっ、先生となまえ…ニールはどこだ。」
メディカルルームに来たバッカニア大尉の目的はひとつ、機械鎧のメンテナンス。
コーヒーを片手にした女医さんが、さっきまでの笑顔を消して涼しい顔をする。
「ニールなら磨き油の在庫取りに倉庫に行ったわ。」
そうか、と低く呟いたバッカニアがメンテナンスルームのカーテンの向こうに消えていく。
自然と目で追ってしまう私を、女医さんは茶化さなかった。
「私コーヒー豆取ってくるけど、なまえもコーヒー飲む?」
遠回しな気遣い。
甘えることにして、微笑む。
「飲む!」
私の答えを聞いて、女医さんが素早くメディカルルームを後にした。
がちん、と扉に鍵をかける音を聞いて、持つべきものは友だと確信する。
ニールさんもメディカルルームの鍵を持っているから、問題ない。
カーテンの向こうにまで走り、軍服の上を脱いでメンテナンス用の大きな椅子に腰かけようとしているところだった。
みつあみを掴んで引き寄せ、両頬を掴んでキスをした。
大きな手が私の肩を掴んでも、押しのけようとしない。
「先生、鍵かけてったから」
それだけ言って太い首に抱き着くと、私を抱えたバッカニアが椅子に座った。
大きな膝に跨る体勢になり、喜んでキスをしていると我に返ったバッカニアが唇を離す。
「ニールが戻ってきたら…。」
どうするんだ、と言いかけた唇をキスをして塞ぐ。
なんとなく、感覚が掴めてきた。
舌で歯列をなぞってから、口腔内をぐるりと舐めまわす。
先ほどまで飲んでいたコーヒーの味が唾液で薄まるのを味覚で感じ取る。
特徴的な髭が首元に触って、くすぐったい。
唇を離して、深い青の目を見つめながら囁く。
「戻ってくるまで」
ニールさんが戻ってきたらすぐに離れられるよう、バッカニアも私の腰を抱かない。
いざとなったら離れられる体勢のまま、体温を分かち合う。
「ぬう…。」
「ここでこうするなんて、頭の中だけだったわ」
「むっ!?なまえ、俺でそんな妄想を!?」
「するに決まってるわ」
男らしい顔、声、性格、腕、脚、からだ。
でも乱暴ではなくて、きちんと向き合ってくれる優しさもある。
私に可愛いと囁いてくるところも、キスだけで顔を真っ赤にするところも、大好き。
「さっき先生に言われちゃった、キスマークでいちゃいちゃしてることバレてるって」
自分の服の裾を掴んで、いたずらっぽく笑う。
「私が首まで隠れる服着てるのも、そうだし」
微笑むと、何かを我慢した顔をされた。
今にも噛みつくようなキスをしたくて、たまらないんだろう。
でもここはメンテナンスルーム。
始めるわけにはいかない。
「アームストロング少将、セントラルに行くのも許可してくれたけど、毎回ハニーが私についてこれないでしょ」
「そうだな…。」
「この前みたいな時間はないし」
だから、と顎から首にかけて、唇から舌を出しながらキスをした。
肌の感触を舌と唇で感じながら、あまい空気に浸る。
もう既にたっぷり愛し合ったあとだというのに、まだまだ足りない。
この厳めしい顔の大男が、愛欲にまみれて私を求める姿を思い出して一気に欲情する。
「やめろ、収まりがつかなくなる。」
「あとで埋め合わせするから」
「…俺の部屋で、か?」
「そこ以外にどこがあるの」
機械鎧の指が、私の唇をつついた。
しゃぶってやろうかと思ったけど、指をしゃぶるなら生身のほうがいい。
赤い顔をしたバッカニアが、私を止める。
「あそこじゃ声が漏れる、なまえの可愛い声を他の奴らに聞かせたくない。なまえが声を出さないと約束するなら別だが。」
指が離れ、今度は私の居心地が熱くなった。
「そういうとこよ、ハニー」
抱きしめて、みつあみをひっぱって身体を密着させた。
私の柔らかい身体は、がっしりした大柄な身体に預けられるようにくっつく。
「ハニー」
安心する体温。
これだけ怖い見た目の人が、私を許す。
「なまえは柔らかいな、銃を持つ腕を持つとは思えないくらい、柔らかい。」
「なにいってるの」
バッカニアの耳元で、囁く。
「愛しい人を守るための腕を持っているだけよ、危なくなったら私を呼んで。全員まとめて的にしてあげる」
うふふ、と笑えば、バッカニアも笑った。
冗談だと分かってくれている。
自分から引き金を引くとすれば、今度はバッカニアのためだろう。
愛する人を守るため。
でもそんなことは起こるわけがない。
ここはブリッグズ。
心地よさに引き込まれそうになった瞬間、扉がガタガタと動く音がした。
急いで離れ、カーテンから飛び出しメディカルルームで掃除をしていたふりを開始した。
コーヒーカップのある棚を開き、使われてないカップを拭く。
鍵が開き、ニールさんが入ってきた。
「先生〜ってあれ、なまえちゃん。」
「先生ならさっきコーヒー取りに行きました」
涼しい顔をして対応。
でも、ニールさんにはすぐバレる。
軽い足取りでメンテナンスルームに入っていったニールさんが、カーテンから顔を出して私を見る。
「って、あれれ〜?ここでいちゃついてたんですか?」
にやにたした、軟派で憎めない笑顔。
「話してただけよ!」
つい強く言えば、ニールさんはにこにこしながらカーテンの奥へ引っ込んでいった。
カーテンの奥から会話が聞こえるけど、あえて聞かないことにする。
恥ずかしいと思う前に女医さんが帰ってきた。
コーヒー豆を片手に、優しい笑顔。
「なまえ、コーヒー淹れるわよ。」
その笑顔に応え、拭いていたカップを戻し女医さんに駆け寄った。





2020.02.12








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