イェレナと同じ香水をつける





指の間の粘液は、イェレナのもの。
たくさん愛し合ったあとは、指が疲れる。
舌は愛液の味で淀むし、手は疲れるし、腕も疲れてしまう。
それでも、イェレナの恥ずかしい姿は私だけのもの。
シーツで寝転がるイェレナの隣に飛び込む。
「気持ちよかったぁ」
全裸のイェレナの胸の淡い先は何度も舐めたり吸ったりして弄んだ。
感じるときも美しい彼女を、ずっと愛でていたい。
「イェレナ、途中でおもらししそうになってたでしょ」
「なまえこそ、一回気絶しただろう。」
「イェレナの指、長いんだもの」
私が愛すれば、イェレナも愛してくれる。
女同士のいいところはそれで、お互いが満足するまで終わらない。
さっきまで喘いでいたイェレナはいつもの涼しい顔をしている。
シーツの海に投げ出されながら、私を見た。
「私はなまえの舌が好きだ。」
イェレナの私の口に長い指を突っ込んで、舌を挟んだ。
ぷに、と挟まる舌と滲み出る唾液。
何度も舐めたイェレナの指。
私の中を何度もかき回していく、愛しい指。
イェレナの伏し目がちな目元から、目が離せない。
「私を気持ちよくするし、愛の言葉も吐くこの舌が好きだよ。」
どちらかといえば私がイェレナを愛する「タチ」なのに、ふとした時でもイェレナは私を魅了する。
仕草、見た目、雰囲気。
他人を誘惑するには十分すぎる要素。
欲望に貪欲で、求める時はいつでも真剣。
「もう」
そんな彼女が愛しくてたまらない。
シーツの海から起き上がり、軽く背伸びをして下着を手にしたイェレナに予定を伺う。
窓からの鈍い月明かりで照らされたイェレナの身体を見ながら、部屋に充満する性の匂いを嗅いだ。
「イェレナ、次はいつなの?」
「ハンジと会う、その後なら時間がある。」
薄い下着を上下とも身に着け、テーブルにあった香水の瓶を手に取ったイェレナを見て気分が変わる。
軽く起き上がって、香水を首と腹につけるイェレナの背後から抱き着き、背中にキスをした。
イェレナは背が高いから、抱き着いただけじゃ彼女の弱い耳を責めれない。
「イェレナの香水、私にも頂戴」
「匂いでばれる。」
「もうばれてるよ」
ホラと手首を差し出せば、香水を振りかけられた。
甘い匂いが香り、嗅覚を刺激する。
性的な匂いが一気に吹き飛び、香水の中に詰まった匂いの物語が私達を纏う。
香水で、イェレナと同じ匂いになる。
いい匂いだと思って嗅いでいると、イェレナが私を見降ろした。
陰りのある目で私を見ても、セックスの時の顔を知っているだけに可愛らしいとしか思えない。
私の首に噛みつくようなキスをしたイェレナが、優しく痕をつける感覚がした。
「やあだ」
笑いながら、彼女の猫毛の髪を撫でる。
イェレナにじゃれついていると、腰を掴まれた。
首元から顔を離したイェレナが私の耳元で、背筋をぞくぞくさせる声で囁く。
「ここ、明日隠したらダメだからね、なまえ。」
長い指が私の喉元を触ってから、唇に触れる。
だめ、と言ってから背中と腰を撫でられて、私の肉壺の中が疼く。
私がイェレナを知り尽くしているように、イェレナは私の身体を知り尽くしている。
「あんなに喘いでたのに、たまらないわ」
わざと不満そうに言っても、イェレナは見透かす。
「なまえの頑張り次第で、いくらでも喘いであげる。」
笑いも顰めるように笑うイェレナ。
彼女の底知れない魅力に、まだ惑わされていく。






2020.02.02








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