ナナバに触れられる






ナナバが私の指に触れた。
愛液が乾き、指と手のひらからは性的な匂いがする。
気づく人ならば、女二人が寝ているだけの部屋で何が行われたか匂いで気づくだろう。
もし気づいたのなら、その人は私とナナバと同じ。
ナナバの薄い唇が影を作り、より一層儚げな色気を際立たせる。
「なまえは綺麗な指をしているね。」
私の指をそっとまさぐるナナバ。
汗ばんだ髪に触れてから、抱きしめる。
暗い部屋の灯りの無さも気にならなくなるほどの、ナナバの体温。
私とナナバが溶け合う時間。
全てが愛しい。
薄めた香水のような体臭がするナナバの香りは、近くで嗅ぐと蕩けそうになる。
「私に触れるなまえの指が好きだよ。」
ナナバが伏し目がちにした瞳を潤ませた。
綺麗な髪、綺麗な目、綺麗な身体。
ナナバは美しい。
私たちの愛も、美しいに決まってる。
指を絡め合って、確かめ合う。
愛がないと出来ない行為に溺れては、幾度となく愛に溺れる。
本当は確かめ合わなくても、愛していることはお互いに分かり切っている。
それでも、言わずにはいられない。
愛欲の果てはなく、世に枷がないのなら永遠に愛し合ってしまうことも。
私とナナバが愛し合うのに理由はいらないことも。
「私も、ナナバの手が好き」
シーツの上で白い肌を露わにするナナバの腕に触れて、手に触れた。
何度も見た肢体は美しく、白い。
ナナバの恥ずかしいところも、気持ちのいいところも分かる。
私の愛故に、ナナバの身体の何もかも知ってしまった。
大好きなナナバに抱きしめられれば、心臓が高鳴ってから頭がくらくらして、ナナバの唇が欲しくなる。
「触られるとじわじわって気持ちよくなるから」
「そうなの?」
ナナバが私の下半身に手を伸ばし、股の間に触れようとしてくる。
「やだ」
思わず腰を引けば、ナナバが笑った。
いつも、私がナナバの性器を責める。
責め立てる私のほうに少しだけ恥ずかしさが残っていて、気まずくなりかけた。
「濡れてても変じゃない。」
そう言って、落ち着かせてくれる。
身体の力を緩めて、腰を見るとナナバの綺麗な手が私の股の間に伸びた。
指が私の性器を撫でて、ぬるぬるになった性器の割れ目を撫でる。
気持ちいいけど、ナナバにここを触れさせたくない。
腰を引いて、ナナバの手を引いて咥える。
自分の愛液がついた指を舐めてから、ナナバを伺う。
「いいの?」
「ナナバが感じてる姿を見ると、こうなるだけだから」
「激しい指の持ち主とは思えないね。」
気が抜けて、ついアハハと笑う。
どれだけナナバを激しく責め立てても、それは私のためじゃない。
ナナバが気持ちよくなって、私にだけ喘ぐのが心地いいから。
性的快感があるのは、ナナバだけでいい。
私が与えるものを受け入れてくれる。
それだけで、私は十分に快感を得ているのだから。
「愛してるよ、なまえ。」
ナナバが私にキスをして、産まれたままの姿で抱きあった。





2019.11.26







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