ライナーが甘える





首やふとももに、赤い痕がついている。
ライナーの唇がつけた無数のあとを見てから、ライナーの可愛い顔を見た。
ねえ、許して。
そう言いたげな顔をしたライナーを見ていると、何もかも許してあげたくなる。
背を向ければ、ライナーは私の背中を抱いた。
「なまえ、こっち向いて。」
「やだ」
笑い混じりでそう答えれば、ライナーが肩に吸い付く。
ぷちゅ、と音が鳴った上に舌の感覚がある。
終わった後も、キスをかかさない。
ライナーのセックスは、私を責め立て欲望を荒くぶつけてくる。
気持ちがいいのは間違いないけど、最中の私の身体が完全にライナーのものになってしまう。
性器から頭の中まで、全てライナーのもの。
欲望のままに腰を振るライナーに頭が真っ白になっている間、身体にキスマークをつけられていく。
「可愛い。」
終われば、甘えられる。
「もう」
ライナーの腕の中で体勢を変えれば、精悍な顔立ちは甘えを見せていた。
セックスの最中とまったく違うライナーも、たまらない。
「あれだけ虐めたのに」
「なまえの顔見てると、虐めたくなっちまってな…。」
「ひどい」
「喘がれるたび、良い気分になる。」
太い腕が私の腰を掴んでから、そっと撫でる。
恥ずかしさもどこかに行くくらい気持ちよかったセックス。
大きな手で何度も性器を弄られ気を飛ばしていたのに、今は労わるような動き。
同じ手なのに、与えられる感覚が違う。
「なんでか分からないけど、こうしたあとに抱き着くと落ち着くんだ。」
ライナーよりも体格が小さい私。
その気になれば私を簡単に組み敷いて、言葉通り私が死ぬまで抱けるのに。
快感を貪って、手探りで引き寄せて、自らも溺れる。
抱きしめられたまま命綱もなく海に飛び込むようなセックスをしては、ライナーの本性が私に向けられていく。
この瞬間だけ、私は聖母でいられる。
「ライナー、もう」
甘えるライナーの頬を撫でれば、とろんとした目を向けられた。
乾いた指先でライナーの頬と顎の下を撫でる。
汗は乾いていて、温かい肌を指で軽く掻く。
「きもちいい。」
甘やかされて気持ちが良さそうにするライナー。
まるで子供のようだ、と思っても口に出したことはない。
普段から兄貴分をしている反動なのか、二人きりになると人が変わったように静かになる。
静かに甘え、静かに愛を囁き、セックスは荒々しく始まり欲望にまみれて終わっていく。
見た目はどう見ても大人で、年相応に見えることはまずない。
荒々しさがどこかへいってしまったライナーを見て、私の男だと感じる。
ライナーの腕の中からゆっくりと抜け出し、背を伸ばした。
腰には余韻が残り、足を伸ばせば太ももの付け根が僅かに痛む。
足を開いていた以外にも、太ももにも臍まわりにもキスマークが沢山ついていた。
温めておかないと痕が長く残ることになる。
シャワーに行こうとベッドから降りれば、ライナーに腕を掴まれた。
「どこへ行くんだ。」
「シャワー」
「俺も行く。」
腕を引かれ、ベッドに頭からゆっくりと倒れる。
ひっくり返った私にキスをしてきて、腕を離した手が私の顔に触れた。
ガラ空きの唇を幾度目かのキスで覆われ、ライナーの両掌が私を逃がすまいと両手を掴む。
両方の手首にライナーの太い指が触れ、キスをするライナーに微笑みかけた。
「まだしたいの?」
「だって…。」
赤面したライナーが、私の手から指を離す。
もっと甘えたい、ずっといたい。
そう言いたそうな顔をしているのに、素直にすぐ言えない。
逞しい見た目なのに、愛を求める。
愛に応える私はライナーの愛の矛先。
「俺が甘えられるの、なまえだけだから。」
それも悪くない、ライナーの甘える顔を見るたびにそう思えるこの愛が大切。
ライナーの顔を大事に撫でて、全てを受け入れる気で微笑みかけた。
「一緒に入ったらご飯にしましょう」
「うん。」
私の髪を撫でたライナーが、唇に軽いキスをする。
「なまえ、大好き。」




2019.11.17








[ 87/351 ]

[*prev] [next#]



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
×
- ナノ -