リヴァイが紅茶を淹れてくれる





シーツの上に四肢を放り投げるように寝転がっていると、リヴァイが私の額にキスをした。
汗ばんだ額、リヴァイの薄い唇。
潔癖の言葉を紡ぐ唇は、愛しさが爆発しあって体を重ね合った後も基本的に閉じられている
いつも糞だの豚だの言う口の悪いリヴァイは、夜にだけ存在しない。
紅茶を嗜む姿、部屋にいる私が紅茶に合うお菓子と手作りの食事を用意する、そして紅茶を楽しむ。
そうしていると、ふとリヴァイのほうから誘う。
冗談半分誘う時は「おいなまえ、来い。」と愛想も無く言うけど、本気になると別。
野獣のように、いつもの振る舞いも捨てて私に貪りつこうとしてくる。
欲情したリヴァイは、理性のある野獣という表現しかできない。
抱きしめられて愛の言葉を囁かれ、耳元から鼓膜、鼓膜から脳、脳から心臓へとリヴァイの言葉で侵される。
愛に沈んで、ふたりで溺れて、そのあとはいつもどおり。
ぼうっとした頭に余韻の残る腰。
腰を振っている最中のリヴァイは口をだらしなく開けて、酸素と私の舌を求める。
事が終わった後も、私はだらしなく口を開けてしまう。
だって、リヴァイは激しいから。
激しい行為に乱れる姿を見ては、私の気持ちいいところを筋肉質な指で責めて、肉棒で子宮を刺激する。
リヴァイの行為は、私が気持ちよくならないと終わらない。
それまで射精を我慢していることのほうが多いし、何よりリヴァイが射精を我慢している顔を見ながらリヴァイの腰使いで感じるのが好き。
目でしっかりと私を捉えながら、開いた口からああ、ああ、と声を漏らし、時にうっと声を詰まらせる。
リヴァイから落ちる汗は私の胸元に落ちて垂れ、脇のあたりを伝ってシーツに滲む。
そして息を吸い込み、私にキスしてから腰を振って、愛撫して、私が感じる顔を見て、達したら、そのあとにリヴァイが射精する。
あとは抱き合って、互いの息が落ち着くまで横になっている。

こういう時の復活は、どうにもリヴァイが早い。
私は腰が砕けるような快感から現実に戻ろうとしている間、リヴァイは紅茶を淹れるためのカップを温めている。
リヴァイ曰く、紅茶を淹れるときは事前に注ぐカップを温めておくと美味しくなるらしい。
私はそこまで紅茶に詳しくないけど、お店で飲む紅茶とリヴァイの淹れた紅茶なら、後者のほうが圧倒的に美味しいと知っている。
カップを温めるのはどうして?と単純な気持ちで聞いたことがあった。
リヴァイは「思いやりみてえなもんだ。」とだけ返した。
カチャ、カチャと食器の音がしたあと、リヴァイが私の名前を呼ぶ。
「なまえ、紅茶に何か入れるか。」
「砂糖」
「分かった。」
あまい、あまい紅茶が飲みたい。
この余韻にずっと浸ってそのまま溶けてしまうような甘さを、舌で感じたい。
起き上がれば、性器から精液なのか愛液なのか分からない液体がどろりと溢れたのが分かった。
この性器の感覚も、だるさが熱と同時に冷めていく感覚も、現実。
せめて味覚くらいは、甘く浸っていたい。
リヴァイが紅茶を差し出し、私の目を見る。
「激しくしすぎたか。」
「ううん、気持ちよかった」
「目、まだイってんじゃねえか。」
とろんとした目をしてしまったのだろう。
愛想笑いをして、紅茶を一口。
熱いけれど、温かさと甘さが舌に広がり、乾いた喉を潤す。
甘さは舌へ、熱さは喉へ。
ふうと息を零せば、全裸で紅茶のカップを持ったリヴァイが私の横にどっかりと座った。
さっきまで私の中で怒張していた陰茎はいつもどおりに戻って、濡れた陰毛が性器周辺に張り付いている。
リヴァイは毛が薄いものの、濡れてしまえばすぐに愛液まみれになってしまう。
割れた腹筋に垂れる汗も、だんだんと消えていく。
傷跡の縁にある汗は、なかなか消えない。
情事のあとは、リヴァイが少しだけ猫背になる。
そして声が少し低くなって、私を見る目がしばらく座ってしまう。
リヴァイの体のことは、なんとなく全部わかっている。
シーツの上で紅茶を飲む、一見下品な光景。
汗まみれの私の髪を見つめながら、リヴァイが紅茶を飲む。
さっきまで性器を舐めまわし、おっぱいを吸い、首筋にキスマークをつけた唇。
それが今じゃ上品に紅茶を飲んでいる。
ようやく、現実に戻される。
愛に溺れる時間はおしまい、もう現実。
紅茶を飲んで一息ついていると、月が隠れて部屋が暗くなった。
翳りを魅せる部屋に、私とリヴァイだけ。
「なまえ、美味いか。」
「とても」
「マーレの紅茶はジャムを入れることもあるらしい、今度試すか。」
「やってみたい」
これが、私とリヴァイの次の夜の約束。
リヴァイがにこりと笑い、紅茶を飲む。
だんだんと冷えてきた体に、リヴァイが淹れてくれた紅茶を取り込む。
情事のあとに飲む紅茶の味を舌に、思いに、愛に。
湯気が顔を温め、優しい気持ちになる。
「ジャムを仕入れたら、なまえに報告する。」
「わかった」
独特の手つきで紅茶を飲むリヴァイの指先が、濡れて乾いている。
私の愛液を指にしたまま紅茶を飲むリヴァイが、愛おしかった。




2019.09.17













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