剥離、懺悔、溶融





ライナーをボコるアニを見てもなおアニに対してあの感じなら
ベルトルトMっ気ありそう

アニメ光臨ベルトルトが好きすぎる







私の理論として、神はいない。
精霊も妖怪もいない、いるとすれば優しい人と極悪人を暗喩してそう呼ぶ。
この世界にいるのは、普通の人、いい人、悪い人、普通になれなかった人。
それ以上もそれ以下もないのに、みんなどこかで上に行きたがって足掻く。
狭い世界で溺れて、どうしようもなくなっている人の心の隙間に神を押し付けていくのは、好きになれなかった。
偶像を崇拝するのは勝手でも、その偶像が確実に存在し人類の救いとして立ち上がっているかと聞かれれば、そんなことは有り得ない。
幼い頃に読んだ信仰の本の一節も、石を投げられ祈る神を否定され信仰を追われれば、信仰とは諺を難しくして迷い人を言いくるめるための呪文にすぎないと分かる。
母と共に本を抱え読んだ神への賛美。
父に教えられた神の話。
救われると信じて懺悔していた幼い私。
信心深い私は、もういない。
祈っても、怪我はするし体は壊すし、死ぬ。
死んだあとの世界が本当にあるのかも怪しい。
大体、巨人に壁を壊されて滅茶苦茶になった世間を見れば神がいないことくらい分かる。
神とは、なんだ。
人しか蠢いていない世界を神が見ていたとしたら、むかついて焼き払っているに違いない。
私が神なら、面倒だから世界を消し去っている。
拠り所のない人が耐え抜いて、どうしても縋りたいものを作った。
それが神なのではないか。
宗教の人や、信心深い人に私の話をすれば、大体哀れむか金になると踏んで私の話を買いに来る。
いびつな世界から逃れて、巨人を殺すために設立された調査兵団に足を踏み入れたら、そこには本当の自由があった。
生まれも育ちも関係ない。
巨人殺しのために生かされる兵士。
私の求めていた自由に、最も近かった。
でも、時々疲れる。
訓練付けで休む暇もない時は、好都合なことをして嫌気に蓋をするのが手っ取り早い。
「あーあー、疲れちゃった。」
倉庫にある木箱の上にどっかりと座り、隣にいたベルトルトを見上げる。
「脚、揉んで」
「えっと・・・ここでいいの?」
「食堂でマッサージするつもりなの、人気の無い倉庫でやったほうが身が入らない?」
「それもそうだね。」
浅黒い肌、黒い髪、優しそうな顔。
ベルトルトが木箱の上に座る私の前にしゃがんで、私の脚をそっと持って揉む。
疲れきった体を癒す方法のひとつに、私は傾倒する。
行為だけを求めるなら、女子寮の誰かでいい。
ベルトルトであるから意味がある。
私が私である意味を思い出させてくれるのは、今のところベルトルトしかいない。
ライナーの隣にいる大男は、私の前に頭を垂れている。
艶のある黒髪、大きな体。
男性的な記号で包まれているのに優しい雰囲気があるベルトルトを狙う女子がいることも、当然知っていた。
大きな手で脚を揉まれるのは気持ちがよくて、ついつい喋る。
「今日、訓練終わったあとの食堂でコニーがユミルに殴られててね、ついにコニーがユミルのお尻を触ったかと思ったんだけど。
よくよく聞いたらコニーがサシャと間違えてクリスタに馴れ馴れしく話しかけて、クリスタに驚かれたんだって。
ユミル、クリスタが自分以外の人間に馴れ馴れしくされるのは駄目なんだってさ、面白いと思わない?クリスタ自身は誰にでも優しいのに、ユミルってやっぱりクリスタを独占したいのよ」
ベルトルトの手がふくらはぎを揉み始めて、血の巡りがよくなる。
脚から腰にかけてスーッとして、首を軽く回した。
「いいかんじ、ねえ、背中も揉んでよ」
ベルトルトに微笑むと、眉尻を下げられ顔を赤らめられた。
誰も知らない、ベルトルトの可愛い顔。
私にしか見せない恥ずかしそうな顔に楽しくなり、笑いそうになるのを堪えてベルトルトを見据える。
「なに、その顔」
「いや・・・なんでも、ない。」
埃っぽい指でベルトルトの顎を掴んで、頬をゆっくり撫でた。
冷たい指先が熱い頬に暖められ、触れ合いを感じ取った心臓が鼓動を早める。
これが、私とベルトルトの合図。
神をなくした私の、新しい心の拠り所。
「背中揉みながらでいいから、言ってよ」
指をベルトルトの熱い頬から離して背中を向ければ、大きな手が私の背中を揉み始めた。
大きな手が、立体起動装置のベルトがあった部分をほぐすように這う。
うなじあたりに、ベルトルトの声が響いた。
「今日…僕は、芋を盗み食いしてるサシャを見逃して、座学の最中に忘れ物をしたライナーに筆記用具を貸して、ライナーが忘れ物をしたことを誰にも言いませんでした。」
低い声が、懺悔をする。
懺悔なら、壁が壊される前の日常で腐るほど聞いた。
許し、罪を認め、また許し、また許す。
私の日々はその中にあって、人は罪を常に犯すものという認識がどこかに残っている。
それは立体起動装置で高いところから落ちて頭を打っても、雪中訓練で雪崩に巻き込まれそうになっても、空腹で寝れずに井戸の水で腹を満たしても、昔の私は残る。
枯れ木の山の中に生える雑草並みに鬱陶しい私の残りカスは、消えない。
残った私は、ベルトルトの前だけ現れてしまう。
私の背中からそっと手が離れたのを感じ取って、ベルトルトと向き合った。
「僕はまた、見てみぬふりをしてしまいました。」
幼少期に毎日見た聖職者のように、私はベルトルトを許す。
ベルトルトの頬を撫でてから、額を触る。
「今日のあなたの罪はとても軽い、でもあなたの中に罪を犯す意識は残っている」
薬指と小指を折り、人差し指と中指を立てた手をベルトルトの唇に当てた。
掌の隙間にベルトルトがキスをして「それ」は始まる。
「お仕置きよ」

「私の脚を揉んでいる時に、いやらしい目をしたわね」
罪を告白させるのは、言いがかりとこじつけが殆ど。
人は楽観的に生きていれば、自分が罪を犯すなんて思わない。
堕落していても、罪の意識を感じることはない。
では、どうすれば罪という概念を思い返していくか。
「言いなさい。」
他人に言えないことを突き、徹底的に崩そうとしてくる姿勢のものを目にした時だ。
「僕は、懺悔をさせてくれるなまえに、発情・・・する、駄目な人間です。」
顔を赤らめて縮こまったベルトルトが、物欲しそうな顔で私を見る。
仮にも元宗教関係者の私は、こういった顔の扱いには慣れていた。
本来であれば気持ち悪いもののはずが、ベルトルトだけは違う。
「僕は悪い子です。」
罪を素直に認めてくれる。
自責の念が何処にあるか特定できないけれど、ベルトルトは自責の念が強い。
影ではライナーの使い走りにされていて虐められていた場合、攻撃性が卑屈な形になって現れることがある。
その傾向もないベルトルトが、こうして私と共にいる理由はよくわかっていない。
「悪い子にはこうよ、ほら。」
ブーツで股間部分を踏んで、勃起したものを軽く踏む。
踏むたびに息を詰まらせ、困った顔で私を見つめてくるベルトルトを見るたび、私の正義と優越は疼く。
「僕は、なまえに、こうされるのが、嫌いじゃない・・・。」
呻きながら、私の脚を見つめる。
ん、と声を漏らしたベルトルトの股間が、どんどん大きくなっていく。
女にはないこれを布越しに楽しむぶんには、面白い。
自分の性器を踏んでいる脚を空いている両手で振り払うこともなく、黙って踏まれる。
されるがままのベルトルトは、私が興奮していることに気がついているのだろうか。
気づいているとしたら、とんだ手練。
「ベルトルト、脚が好きなの?踏んでも踏んでも反り返ってくるんだけど。」
試すように、ベルトルトを罵る。
足首を小刻みに動かして股間部分を踏むと、ベルトルトの肩が震えた。
「やっ、やだ・・・!」
低い声の中に渦巻く性欲。
ベルトルトの困り顔に性欲が滲んでいくのを見ながら、足でいいように股間を踏んだ。
「可愛い声ね、あんまり大きい声だと皆にバレちゃうわよ」
「やだ・・・バレたくないよ。」
はあはあ、と吐息の合間に紡がれる言葉。
これにどうしようもなく惹かれてしまう理由を、考えたくはない。
私は懺悔を聞いているのだから。
あくまでも、この行為に性欲を漏らしてはいけない。
「なまえ、僕は、なまえに、おっ、お仕置きされても嫌じゃない…。」
「なあにそれ、お仕置きの意味ないじゃない。」
ポケットからハンカチを取り出し、ベルトルトの口元に持っていく。
「ほらコレでも咥えて」
口元に来たハンカチを噛んで、ベルトルト自らが口を塞いだ。
終わる頃には唾液まみれになったハンカチは、馬舎にでも放り投げよう。
黙ってハンカチを噛んでくれたベルトルトのシャツを緩め、兵団服のベルトを緩めて外す。
ハンカチを咥えたベルトルトが一瞬慌てたのを見て、静かに囁く。
「大丈夫よ、見えないところに痕つけるから」
シャツを緩め、ベルトを外し手に持つ。
ベルトルトの首元を露にして、ベルトを鞭のように束ねて叩く。
バチン、といい音がしても、これの痛みは無い。
鞭の意味は、興奮材料。
何度も叩いて、音を鳴らす。
胸の下、脇腹、肩口。
鞭で叩くのは、どこも訓練中に怪我をしそうなところばかり。
叩きながら踏みつけて、ベルトルトの興奮と罪悪感を煽る。
追いついていく快感と痛みと鈍い肌への刺激に、ベルトルトは任されてしまう。
お仕置きの建前も崩れる頃には、私がベルトルトの下で喘ぐ。
鞭の音で、自分のあられもない姿を妄想しては消す。
叩かれるたびに、ん、ん、と呻くベルトルトの目の中が快感で渦巻いていく。
「手なんか使わなくていいのよ、私がこうしてあげる」
叩いて、踏みつけて、罵る。
罪が消えて、また罪が増える。
人を裁けるという罪が、私に科せられていく。
私の罪は、ベルトルトの懺悔相手になることで浄化されていく。
私達の仕組みを、誰かに理解してもらおうとは思わない。
この仕組みでしか、私達はイケない。
「だらしないもの出したくなったら、私に言えばいいの」
ベルトルトと目線を合わせる。
性に堕落した目。
堕落した目を見る私が堕落していない保証は、ない。
ハンカチを咥えて耐えるベルトルトを愛しく思う気持ちは、いつか腹に子を宿すまでに進化するのだろうか。
もしそうならば、人間というのはよく出来ている。
「私はベルトルトのこと、何でも許すんだから」
ハンカチの裾を引っ張ると、唾液で糸を引いたハンカチがぼろりとベルトルトの唇から落ちた。
地面で木箱の隅にある埃の上に落ちたハンカチを見捨てて、ベルトを手放し、先ほどまで踏みつけていた股間部分に手を伸ばす。
ズボンをずらして、性器を露出させた。
張り裂けそうなくらい勃起した男性器に唾を吐きかけ、ゆっくりと踏みなおす。
布越しとは違う肉感を踏みつけ、ベルトルトの顔が火でもついたかのように赤くなる。
「あ、ああっ!!」
本当に外に聞こえてしまいそうなベルトルトの声を嗜めて、また踏みなおす。
肉をそのまま踏みつける感覚は、脚の底から征服感を感じてしまう。
ベルトルトの声に明らかな興奮が混じり、懺悔は意味を成さなくなる。
「なまえのっ、お仕置き、がぁ、あっ。」
我慢できなさそうに腰を浮かせて振る光景は動物的で、非常にみっともない。
足裏に押し付けられる性器の熱さは感じることが出来ない。
目の前にいる蕩けたベルトルトは、だらしなく雄を丸出しにして喘ぐ。
見る人が見れば卒倒しそうな光景でも、私は受け入れる。
ライナーの影に隠れて本当の自分を隠し続けていることも、アニに視線を向けることも、成績の良さを全て覆い隠すような性格も、唾を吐きかけた性器も。
ベルトルトの懺悔を聞いて、お仕置きをしながら性器を濡らしている私も。
彼がいるから、私は私を受け入れられる。
「僕はなまえのお仕置きが好きな、駄目な、ああっ!」
ベルトルトの精液がブーツにかかり、使い古した革の上に真新しい白濁がぶちまけられる。
くるぶしの辺りに見るからに粘り気のあるものが張り付き、ブーツの縁が汚れた。
射精したベルトルトは腰何度か震わせ、詰まっていた息を押し出すように呼吸をする。
伏目がちにしていた目を瞑り、呻く。
男性特有のそれに、つい軽蔑が向いてしまう。
「言い終わってから出してよ・・・」
生理現象への文句を反射的に垂れると、蕩けた目のベルトルトが私を見上げる。
精液がかかったブーツを見て、舌を出して私の脚へと屈んだのを見て静止の声を振り下ろす。
「綺麗にしてって誰が言ったの」
舌を出したまま上目遣いで私を見たあと、そっと舌と顔をひっこませて縮こまった。
「あ、ごめん・・・。」
「謝れとも言ってない」
粘り気のある性器付近から脚を離し、ベルトルトを優しく罵る。
「たまには自分の頭でモノ言ってみなさいよ」
熱が頭から離れてきたベルトルトが、私を見る。
この顔が快感に飲まれている光景でしか、私は興奮できない。
優しそうな目は焦点が快感の余韻に僅かに掻き消され、ぼうっとした目をふたつ置いている。
「お仕置きをするなまえが、好き。」
「え」
「だって、僕がこんなに汚くされても僕を見てくれる、僕のことを支配しても貶めたりはしない。」
それでしか、イケない。
戻りつつある理性を抱えて微笑んだベルトルトに、私の心は支配される。
ベルトルトも同じなんだ、私と同じ。
罪と罪の意識の間で揺れて、どこかに捌け口を求める。
安全圏の行為は、一見なにもかも危険に見えてしまう。
ハンカチを咥えさせていた唇に、そっとキスをする。
唾液は糸を引き合って、キスをしながら粘膜の触れ合いを脳で感じた。
ベルトルトの匂い、汗の香り、吐息の熱のあと。
飲み込むようなキスをして、薬指と小指を折り、人差し指と中指を立てた手をベルトルトの額に当てた。
これが終わりの合図。
たまにこのまま性行為に及ぶこともあるけど、今日は直にブーツで踏みつけたので無し。
濡れて湿った性器はベルトルトの指でどうにかしてもらうとして、好きと言われなおして私の中の雌の部分がときめく。
私の罪は増える。
でも、この世界での罪とはなんだ?
ベルトルトを殺したわけでもない、傷つけたわけでもない。
それならば、価値観の問題でしかなくなってくる。
ほら、これでしか私はイケない。
それをベルトルトは見透かしている。
「当たり前でしょう」
私は、ベルトルトなしでは息ができない。
罪を作り、誰かに寄り添わなければ私は生きれない。
私はそういう人間だということを認めてくれたのは、ベルトルトだけ。
この優しそうな顔をして、調査兵団に来るまでの人生で苦渋をどれだけ味わったのか知らない。
ベルトルトの柔らかな支配に、私は溺れる。
「貴方は私の罪よ、地獄まで連れていってあげる」







2019.05.15







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