俗念が凍てつく歓喜に名は血中へ




タイトルのまんまです
ダークサイド注意











うろうろしている迅さんに、最近よく見られていた。
睨まれているわけでも視姦されているわけでもない目線がなんなのか、今でも分からない。
それを雅人くんに言おうとは思わなかったし、わざと迅さんと雅人くんを引き合わせて視線の中身の当てっこをさせようと思わなかった。
だってあの人、不気味なんだもん。
そう言えば雅人くんは鼻を鳴らして笑い飛ばしたけど、あの人は怖いと思う。
何をするわけでもなく未来が見えるとかでフラフラしているくらいな、正義のヒーローみたく危機を一人で救えばいいのに。
街の人も、全員が全員平和なわけない。
個々に苦しみや悩みを抱え、将来的に大きな事件に巻き込まれ悶え苦しむかもしれない未来が見えるなら、神のように救えばいい。
道を少しでも踏み外しそうな者を見て面白いと思わない心を持たない人間なんていないとしても、そうすれば迅さんは神にだってなれた。
私のような一般論信者には迅さんの気持ちはわからず、かといって能力を妬むわけもなく。
大好きな雅人くんの側にいることだけが、私の幸せ。
だから、雅人くんがセックスできなかったときは本当に驚いた。
決してインポテンツだとか射精障害だとか、悪い意味でのできなくなったじゃない。
感情受信体質による身体的副作用は度々色々なことを起こす。
私からの視線が刺さり、愛情の視線があんまりにも気持ちいいおかげで挿入前に腰が砕けたり、雅人くんのプライドが壊れていくのを何度も目の当たりにした。
それなら私が寝ている間にやって、と言えば「なまえをモノ扱いしたくない。」と一蹴され、まともにできないまま時間だけが経つ。
好き、という気持ちを抑えても、刺さってしまって雅人くんだけが気持ちよくなる。
それは別にいいけど、性的な触れあいに限界があるのは少し退屈だった。
大好きな雅人くんがセックスなんていらないよ、と思っても今度はその大好きの気持ちで雅人くんが興奮する。
人の視線が酷く刺さるところでは嘔吐し叫んだりすることがあるとは聞いていたものの、まさかセックスで起きるとは思わず、雅人くんの側にいることしかできなかった。
セックスなんかしなくてもいい、でも、アセクシャルでもない私と雅人くんは抑えては湧き上がる性欲に抗えない。
獣のように絡み合えば、まともに繋がれず終わる。
それを一番嫌がっていたのは雅人くんで、私は一度くらい雅人くんの腕の中で思い切り喘いでみたいと思っていた。
出来なくてもいい、でも、してみたい。
叶いそうにないと諦めても、少しの縋りを見つければ手を伸ばしてしまう。
何かつかんだと思った手には何もない、虚しい繰り返し。
どうにかして雅人くんと私の獣の虚しさを止めようと闇を見つめていると朗報は思わぬところから舞い込み、そして、手にした朗報を安堵すれば迅さんが見てくることはなかった。



カラオケ、ラブホテル、二人きりの作戦会議室など、色々やってみた私達が一番だと結論付けた壁の厚いラブホテルの一室で服を脱ぎ捨てる。
こういった行為をしていても、依存や中毒になる気配はない。
実際は、粉を鼻から吸ったり液体にしたものを注射器で打ち始めてから、人をやめる。
やると幻覚が見えるとか犯罪を起こすとか聞いたことあるけど、あれはゲートドラックへの脅しだと分かった。
人を辞める遥か手前の私と雅人くんは、今日も愛し合う。
求めているのは酷い現実からの逃避ではなく、性的快感への人工加護。
裸でキスしてるだけで、雅人くんの性器は垂れる液体で濡れている。
舌を出して吸い付いてくる雅人くんの目の前に、小さなビニールに入れた青の小粒を見せた。
「これキメてこ」
一見お菓子のような青の小粒を見た雅人くんは、赤い顔を顰めて私の胸にキスしてから強請る。
「なまえ、それ好きだなー・・・俺はなまえが飛ぶやつのほうが止まる。」
ふともものあたりに痛そうなくらい勃起したものが触れて、足をずらした。
腰に手が回ってきて、雅人くんの額にキスをする。
声を漏らした雅人くんが愛しくて堪らなくて、またキスをした。
「似てるけど違うんだって」
キスをされるたびに声を漏らす雅人くんの頭を撫でると、喘ぎを堪えているのか目をきつく閉じられた。
私からの感情が刺さって、もう射精しそうなのが分かる。
「それどっから持ってきたんだよ。」
きつく閉じた目をあけて、私の手にあるビニールの中の青の小粒を見た。
「今はクラブで働いてる元ボーダーの子何人かと遊んででね、性感のクスリだけど、これ特にサイドエフェクト発現者向けなんだって」
「戻れなくなるもん入ってんじゃねえの?」
「そういうのは貰えないよ、ああいう子たちの生命線だもん」
ああいう子、と言ったのを聞いた雅人くんが私に不安そうな目を向ける。
前戯で射精するのも、嫌悪したことはない。
鈍い意図の眼球と睨み殺すような目つきが性欲で据わっているのも、笑うのも、甘えてくるのも、大好き。
「なまえの交友関係どうなってんだよ、俺にいらねえ心配かけるんじゃねえ。」
「平気、カタギには手出してこないから」
ビニールから小粒を取り出して、ひとつを雅人くんの口へ、もうひとつを私の口へ。
今にも喘ぎそうな雅人くんの蕩けた目が少しでも据わるようにと祈り、命でもあげるように唇に触れる。
「去年退学したやつが堂々とうちの店に来てたけど、両肩に刺青あったし目の焦点合ってねえわでクソ気持ち悪かった。」
「そっか」
雅人くんのことは、なんであれ好き。
キスしながら頭をなでなでしてあげただけで射精したり、服を着たままいちゃついただけで気絶しそうになったり、そこも含めて好き。
でも、そのあと悔しそうにしてる雅人くんは出来ればあまり見たくない。
「これ、クソ能力あるヤツにどう効くんだ。」
「脳にサイドエフェクトの効果が全部いくんだって、だから雅人くんにぴったりだと思って」
いっぱい感じる雅人くんの腕の中で喘ぎたい。
その気持ちだけを刺して、クスリを飲ませる。
「どんだけイけるか楽しみだな。」
乾いた唇の間にある舌に触れ、奥へと推せば唾液に触れた。
舌へ招かれた小粒は、性欲のように液体に触れた瞬間から溶け始める。
「私達は、そういう人と違うよ」
「だろーな、こういうもん使い始めてから幻覚とか見えたことねえもん。」
「気持ちよくなるの、楽しみだね」
「なまえをイカせまくれるんだろ?最高じゃねえか。」
残りは蓋をしてテーブルへ置いてから、雅人くんにキス。
キスしあったまま互いの唾液でクスリを溶かしつつ、唾液ごとクスリを飲み込む。
苦い味を味覚が感知したあと、飲み込んで予期せぬ歓喜を飲み込んで、体の底へ迎えていく。
唇が触れ舌が絡むたびに喘ぐ雅人くんが、唾液を飲む。
ごく、ごく、と耳に音が触れていくのを聞いて、背筋を支配する快感を待った。
キスをして、どれくらいだろうか、一時間、たぶん一分くらいなんだろうけど、身体が一回転する感覚がした。
経口摂取なのに、効くのが早い。
雅人くんが口を離して、私を見つめる。
いつもの雅人くんが見えるし、景色もおかしくない。
私の手足の中から浮き出るものが重力なら、今の私は心しか存在しないはず。
雅人くんにそっと触れれば、私の指先が感じた。
「なまえよお、ミルクセーキ飲んだろ。」
「朝に飲んだ」
大好きな雅人くんに触るたび、指先の感覚だけで性器が濡れる。
「すごいね、そんなことまでわかるの?」
「匂いでわかる・・・あー、これすげえ。刺さらない感じがする、でも、頭ン中で凄い感じてる。」
「肌に刺さらないの?」
「刺さらない、肌がなんともない。」
「ほんと?でも」
「おう、萎えてねえよ。」
目の中がパキパキと凍って、皮膚から温度が消えた。
「よかっ、たっ」
冷えて、凍って、寒く凍る。
喉の皮膚が逆流し、内臓が皮膚へと変化していく。
眼球が熱を持ち、外側が燃えた。
逆流する血流と温度で身体が燃え上がっているのに脳が凍り付いてきたあとは、髪の一本までもが性感帯へと変わる。
視界に変化がないのに、眼球が変わっていく。
雅人くんだけがクッキリと見えて、息が詰まった。
「舌が痺れてるのに、味覚だけすげー敏感で、わけわかんねえ。」
私を抱きしめた雅人くんが、そのままシーツへ倒れこむ。
首にキスしてくれた途端、体が跳ねる。
ずっと止めてきた息をしたような呼吸を何度も繰り返していると、雅人くんが珍しそうに呟く。
「おっ、え、きたっ。」
「わたしも、わたっ、わたしもっ」
「最後まで出来そうだ。」
雅人くんの目は据わっていて、私を見たまま唖然としている。
ホテルの天井から床までが繋がって曲がったあと、無数の顔に見えたと思えば白く歪んでいく。
大きな手が私の胸の中に沈んでいって心臓を揺らした。
心臓が感じて、性器から何かが漏れる。
背骨がガタガタして割れそうになるたびに、自慰してるときみたく気持ちよくなった。
舌が脳みそのほうに落ちて、肉の隙間に骨が緩んでいく。
「刺さらない?ね、雅人くん刺さらない?」
歯が鳴っている口の間から雅人くんに呼びかければ、声が届いた。
「すげー・・・これ、肌に全然、刺さらない・・・頭ん中すげえ刺さってるのに、身体・・・・・・なまえも、鋼も、ゾエも、みんなこうなのか・・・。」
「みっ、みみ、んなっ」
「なまえ、効いてる?俺イキそうにねえから、出来る。」
「んんっんひっんんん、ん」
雅人くんの目の中が興奮してて、すごく色っぽかった。
そうだよ、と言おうとしても思うように舌が回らず、言葉にならない。
声だけがだらしなく漏れて、効いてくる。
雅人くんが何も言わないってことは、私は人の形を保っていて、私の中だけで私が融解しているんだ。
安心して雅人くんに震える手を伸ばせば、絡みとられる。
指が、皮膚が、爪が、まだ身体についていて、のこった皮膚の神経から快感が走った。
「ん、いっい、まさっ」
手だけで腰を振る私を見た雅人くんが、察する。
「ああ・・・なまえ、きたのか、ああー・・・すげえ・・・。」
雅人くんの声が、聞こえてるのに聞こえていないと身体が認識する。
こうなると、あとは性欲の渦底へと意識が落ちていく。
鼓膜の後に音がついてくる。
たぶん、身体に刺さるぶんを全て脳みそに移しているんだろう。
くっきりした瞳孔の雅人くんが私を食べる勢いでキスをしてきて、興奮が存在を埋め尽くす。
舌が絡んで、形がわかって、私がどうなっているかわかる。
それはとても性的で、頭の中が渦巻くと間から視線が漏れていく。
唇が離れたのが嫌で叫ぼうとしても、言葉が詰まる。
雅人くんの手が濡れた性器に触れて足を割ってきたて、頭の隙ぎ間から私の体へと歩いひていく。
「やああぁあぁあーーー!あっ!あああ!ちゅー!ちゅーして、ええぇっ、いっ!」
私のお願いよりもそいいほのがあるのか、雅人くんはこれとへ目を向けた先の世界に誰がいるか知らない。
「なんだこれ、どうなってんだよ・・・。」
「あ、ひ、効きっ、きいっききっいいいいいいえ、え、えっ」
好き、好き、井か中ふ楽く抱、雅人くんが見え流のめの中で苦の無に、真に。
「効く、すげ、なまえ、なまえ、好きっ。」
「ああああああああああっああああああっ!!!えっうえ、まさとくううっ」
「いいんだろ、なまえ、俺もすげえ、こんな出来たの初めて。」
わからないままの世界に答えがないとして雅人くんの性器が私の歪んだ骨のある肉の中へ入って。
絶叫してるたびにイクのし止らなしいに目の後ろが火へ移り声、皮膚へ戻る。
雅人くんが私を抱きしめたまま、性器をいれてきた。
「雅人くっ」
目の置くが凍る。
「なまえ、ここ感じるんだろ、気絶するまでやってやっからな。」
「ああああああすきっすきすきいいきききっ」
「濡れすぎて奥のモン降りてきてんぞ、ちんこ当たりすぎてガキ出来ちまう。」
「あかあかあかちゃんっ、ほし、ほしいっ!ほしっ!」
「俺も、なまえの言う事ならなんでもきくくらい、すっ、はあっ、うわ、すげえいい・・・。」
足先から浮かんだ顔が世のう波な性器内に熱。
凍づる眼さのき中ひで雅あ人くひろんし影ふがさ見るえでた。
「なまえ、ここどうなってるかわかるか?中、すげえどろどろで熱い、俺のちんこ入れてんのに中動いてるぞ、なまえ、わかる?」
揺れ未ざ身体端ぶ未曾有脳感み声が子宮へ撒い。
て喉仏の中、まるで罪の意義ほへ映り湖と。
パキ、パキ、ずぶ、パキ、音が見えてから溶け火体内へ精液欲し筋な井え。
「はっ、なまえ、好き、好き、なまえと、ふ、はあっ。」
イ津も燃し視に中に、まさとくん、好きの性みし笑陰内ぼじ粒のせい。
快の綯いように世ズえ愛、まさとくん、中の白い朝へ進へ声がへ私にのぎ中けへふ届ろく。
通年延々てっ抱く夕日の目玉の、性の顔ぎ形が骨の利わかる。
爆音の歪みが伝に経験を臆病一に股の承継さ間工、精巣き自己沸騰の中。
雅人くんの、声。
「なまえ、俺が、見え、てっ。」
声へ元が指し示したものを考えれば、キスの底で呼びへ戻さぬれざる。
「なにっ、なにがあああ?」
髪の感じ方の最中、手が私を止め差出、耳元で声がする。
「なまえ、なあ、聞こえてる?」
「いいいいいぎっ、ごえてるうう!あーーーっ!あああぁぁあぁ」
「俺、まだイカねえよ、これすげえ、なまえ気持ちいい?」
身体き振動ぬ底、眩暈、意識が朝。
「すげーって、なまえの気持ち刺さりまくって頭おかしいのに、も、イカねえ、気持ちいいのに。」
「雅人くん!あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あっ、おあっ、あああ!!!」
「なまえ、こんな気持ちなのかよ、俺もうずっとここでセックスしてるから、俺と、俺っ、俺俺おれ、あ。」
「ひっうええあ、まさっ、ま、んいいい、あっいいっ、いっいっいいい!!」
「喋れねえくらいイイわけ?俺も、すげえいい。」
し秋の端の姿の横、後げに美見えくたも迅おさひが、視てづいじた。
息がぎ止ぶまぐる、欲くし望縁ぬゆ差のず底へ視と。








2016.10.17









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