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発掘しました修正しました2016.04.11
なつかしいです、すこし読みやすくなったと思います







「なまえって女の子だったの?」
ハンジさんが、あっけらかんと聞いてきた。
私の不思議そうな顔を見るや否や、自己理論の説明を始めた。
「なまえが、前に坊主に近いくらい切り上げたじゃない。そりゃもうざっくざくに!あれ見て、ああーっこの子男の子だー!って思ったし確信だと思ったんだけど、今そこまで伸ばしてるでしょ。だから・・・。」
ハンジさんがベラベラ喋りながら私に近寄り、まじまじと私の今の髪型を見る。
「女の子なの?」
「はい」
「うわーっ!背高い!中性だ!」
両手をあげ、私の頭の近くで振るハンジさんは、なんとも明るい。
ハンジさんとは、私のほうがちょうど10cm高い。
女と知ったハンジさんは、かなり面白がっているが、それはそれでいい。
「私、そんなに見た目男っぽいですか」
「なまえ、君は私より性別不明だよ!?」
驚くハンジさんの顔を見て、そういえばこの人の性別が分からないことに気がついた。
私は勝手に、女性だと思っていたけれど、どうなのだろう。
見た目のことを気にしてくるということは、ハンジさんは女性なのだろうか。
それとも、見た目のことを気にせず聞いてくるハンジさんは男性なのだろうか。
どちらにせよ、中性の姿であることには変わりはない。
髪は、顎のラインが隠れるまで伸びた。
前髪が相変わらず短いけれど、だいぶ女の子らしくなったと思う。
その髪を見て、私が女だったと気づいた男子も少なくはなかった。
他の女の子たち、特に同性愛の気がない子たちとは、よく話すようになった。
それでも、私の立ち位置は男っぽい女の子の位置だ。
女の子同士の話に混ざるようになって、私がエルヴィンさんに対して抱いた気持ちが普通だったことを知った。
女の子は、男の子に恋をする。
その逆もしかり。
なら、女の子でも男性に恋していいはずだ。

私は再び、エルヴィンさんの部屋を訪れた。
ここに来るまで一度も誰かに遭遇したことがないのは、最早奇跡の域だと思う。
会うのは、久しぶりだ。
髪が伸びるまでと言われたのだ。
大人しく髪を伸ばした私を、誰か褒めてくれ。
今から褒めてもらうつもりで夜の闇を目を慣らして、何を言われるか妄想する。
言われたとおりにしたいがためにエルヴィンさんを何度見かけても、話しかけなかった。
さあ、褒めろ。
エルヴィンさんの部屋のドアを、数回ノックする。
脈打つ心臓の音が、聞こえそうだ。
一体どんな反応をされるのだろう。
本当に来たのか、子供なんか相手にしちゃいない、帰れ!と言われるのか、君は馬鹿なんだな、と呆れられるか。
もうどれでもいい。
ドアが開いて、エルヴィンさんの顔を見たとき、胸が高鳴った。
髪が伸びた私を見て、エルヴィンさんが微笑む。
その微笑みに、私は射抜かれたように見つめ返してしまった。
エルヴィンさんから見たら、睨まれているようにしか見えないかもしれないが、仕方ない。
「髪、伸びたな。」
すっと手が伸びてきて、私の毛先を撫でた。
男の人の、大きな指。
「これくらいがいい。」
エルヴィンさんの好みだったようで、とても嬉しかった。
「そう、ありがとう」
私から笑いかけると、エルヴィンさんも笑い返してくれた。
にこやかなエルヴィンさんに、とても惹かれる。
部屋に招き入れられ、椅子に座ろうとしたら、手を引かれた。
座った先は、ベッド。
体がすこし強張った。
髪を切り上げた日の夜、ここでエルヴィンさんとセックスしかけたこと。
けっこう時間が経っているけれど、確かに覚えている。
正しく言うと忘れるわけがない。
思い出して、体が熱くなる。
ベッドに座ると、隣にエルヴィンさんが座った。
「見せてくれ。」
エルヴィンさんが、後ろ髪を手でかきあげた。
まじまじと、うなじと、耳のうしろも見ているようだ。
切り上げすぎた後ろ頭に感けてもらったんだっけ、と思い出す。
あの時よりは綺麗な髪になった。
「なまえさん。」
ぬちゅ、と何か生暖かいものがうなじに触れた。
すかさず、エルヴィンさんの両手が私の脇腹と胸を弄る。
後ろから伸びてきた、筋肉質で逞しい大きな手。
ゆっくりと揉まれ、胸の先端を中指で弾かれる。
「お、あっ」
間抜けな声しか出なかった。
あっという間にシャツを脱がされ、エルヴィンさんは噛み付くようにキスをしはじめた。
うなじと首筋、肩甲骨に何度もキスするエルヴィンさんをただ感じた。
後ろだから、見えない。
大きな手が、私の胸を鷲掴みにして、揉む。
脇腹を撫でていた手は、そっと指先からズボンの中へ侵入した。
「あっ」
まただ。自分の知らない、自分の喘ぎ声。
エルヴィンさんに触られると、こんな風になってしまう。
大きな手の指先が、私がよく知っている自分のその部分に到達した時、派手に体を震わせた。
息が詰まり、変な音が喉から出る。
すると、エルヴィンさんは私の体をこちらに向けた。
服がどうなっているかすらも気にならない私を丁寧に扱う大きな手。
はっと意識を戻せば欲情して据わった目をしたエルヴィンさんが、そこにいた。
「そのだな。」
エルヴィンさんが、すこし恥ずかしそうに言う。
「女性の綺麗なうなじと背中が、好きなんだ。あれだけ刈り上げられた時は、理性を保つのがやっとだったんだ、許してくれ。」
恥ずかしそうな顔をしているけど、真面目な顔をしている。
なんという理由だ。
私はつい笑ってしまったが、そうか、あの時からと思うと、なんだか気持ちも据わってきた。
ここで甘えるほど、私は女を相手にしていたわけじゃない。
エルヴィンさんの首に手をまわし、耳元で囁いた。
「変な理由だね」
「そうだな、逃げることも出来たのに何故こうしてまた来た。」
「同じこと聞くけど、逃がした女をよく二度も部屋に踏み込ませたね」
無言が続き、つい笑う。
殴る気配もしないエルヴィンさん。
「私に気持ちいいこと教えてくれたら、教えようか」
その言葉を聞いたエルヴィンさんが、倒れこむように私をベッドに押し倒して、体を抱えて、私の頭を枕に乗せた。
覆いかぶさるエルヴィンさん、私は男の人に組み敷かれている。
なんだろう、この状況は。
同じようなことは何度もしたのに。
全部女の子とだけど、女の子としかしてないけど。
私が今まで体験した状況と同じでも、まったくもっていやらしさが違う。
本当の意味で興味がある人としているから、こうもドキドキするんだ。
脱がされても、嫌じゃない。
丁寧にズボンとパンツを脱がされ、全裸にされた。
エルヴィンさんが、シャツを脱いで放りなげる。
シャツの行方よりも、目の前にいるエルヴィンさんの体に釘付けになった。
なんと逞しい筋肉だろう。
本気になれば私なんかバキバキに折られてしまいそうな体を見て、ぞっとする。
いい意味で背筋が凍ったあと、さすが団長だと思う。
私は体を起こして、エルヴィンさんのズボンのベルトに手をかけた。
前のときは、これが外せなかったのだ。
「なまえさん。」
エルヴィンさんの、だいぶ篭った低い声。
それも含めて、ぞくぞくした。
ベルトを外して、ズボンを下ろすと、真ん中が明らかに盛り上がってる状態のパンツに出くわした。
「ねえ、エルヴィンさん、これってどうなってるの」
私は正直に言った。
すると、エルヴィンさんも何故か悩みだした。
「うむ、いや、あのな、処女は相手にしたことがなく・・・。」
数秒考えたのち、エルヴィンさん自らパンツを下ろした。
私の予想をかっとばしたものが、そこにあった。
見つめたまま動けない私を見て、エルヴィンさんが軽く扱き始めた。
特に異様ではないはずでも、私には異様に見える。
「うわ、え」
「そんなに驚くことか?・・・驚くか。」
私に覆いかぶさり、片手で扱いている。
何もかも分からなさ過ぎて焦っている私に、何故か自慰行為に近いものを見せ付けてくる。
うわうわと呟く私を何度か撫でて、優しい目を向けてきた。
咄嗟に何か思い出そうとしても全部女の子との行為なので、思い出せることがない。
驚いて、扱かれるものを見つめていると、エルヴィンさんが囁くような熱を帯びた声で気だるく言った。
「こうしてするときは、なまえさんのことばかり考えていたぞ。」
エルヴィンさんの目を見つめ、おそるおそる手を伸ばした。
私の手と、エルヴィンさんの手が絡み合ったところで、エルヴィンさんの手が離れた。
見真似で扱くと、なぜか触れられてもいない私の体がどくどくと疼きだした。
男の人のあれを触っている、しかもそれは好きな人のという、衝撃的な事実と、感じなれた性欲が押し寄せる。
熱いし、なんか硬い。
形が、形が未知のものとしか言いようがない。
もっと上手い言い方もあるのだろうけれど、今まで男っ気がなかった私からしたら、未知のものとしか言えない。
エルヴィンさんを見上げると、据わった目をしたまま息を荒げていた。
ああ、なんだ、皆興奮したときは変わらないじゃないか。
私が手を離すと、ゆっくりと、体勢を確認するようにのしかかってきた。
足を開かされ、そこが丸見えになる。
恥ずかしくて眉間に皺を寄せたら、キスをされた。
エルヴィンさんが、私の太ももにキスをして、膝にもキスして、また太ももにキスして、それから、私の股へと顔を突っ込んだ。
太ももを掴まれ、エルヴィンさんの舌が私のそこを這った。
私が、何度も何度も女の子にやっていた行為だ。
頭の裏がぞくぞくしてから腰が反応して、無意識に足が動く。
踵でエルヴィンさんの背中を押して、腰を引いても大きな手が私の太ももを掴んで離さない。
何度も自分がやった行為。
それが、ここまで気持ちいいなんて知らなかった。
大きくてざらついた舌が、私のそこを舐める。
エルヴィンさんが、私のそこを見ているというだけで、子宮が痛いくらいに疼いた。
股から顔をあげたエルヴィンさんの唇は、濡れていて、すごく色っぽい。
「先に一度するか?」
たぶん、イくかどうかの話だろう。
私は、女の子たちが私にそう聞かれてなんて答えてたか思い出して、言った。
「一緒がいい」
エルヴィンさんの顔が、すこし赤くなった気がした。
股の間に、エルヴィンさんの腰が迫った。
同時に、私の体の中に入るところに、なにかが触れた。
ぐっ、とエルヴィンさんの腰が進んだけれど、まずそこまでだった。
「痛い」
「そうに決まっているよな・・・。」
エルヴィンさんは人差し指と中指を舐めると、私の中にゆっくりと入れた。
「これは痛くないよな?」
「うん」
「じゃあこれは?」
ぴり、と走る痛みに、指が三本に増えたことがわかった。
耐えられる痛みだったので、耐えていたら、三本の指がそのまま動き出した。
掻きだすような指のいやらしい動きに、思わず喘いでしまう。
動かされているうちに、ぬちぬちと水音がしてきた。
「痛くない」
「そうか、それはよかった。」
指が引き抜かれ、お腹が疼いた。
既におでこには汗をかいているけれど、エルヴィンさんは汗ひとつかいていない。
男の人の余裕がほしい。
再び、そこに挿入しようと試みると、すこしだけ入った感覚がした。
「きつい。」
その一言で、余計に締めてしまったが、きついものはきつい。
「私も、これ、きつい」
きついと言ったが、進まないのほうが正しい。
はあ、はあ、と私とエルヴィンさんの吐息が混ざる。
腰を更に進めても、私の中のきつさは消えず、更に抵抗感が増えた。
「あっ、あああ、あ、ねえ、エルヴィンさん」
「大丈夫だ、怖くない。」
ぐっ、とエルヴィンさんが腰を進め、可能なかぎりといった様子で挿入した。
途端に、中にあった抵抗感がぷつりと消えた。
「あっ」
驚いて声を出した私に、エルヴィンさんが心配する。
「痛くないか?」
「痛くないけど、なんかいま、ぷつって」
私のなんでもなさそうな顔を見たエルヴィンさんが、ゆっくりと引き抜いた。
引き抜くときも非常にきつく、お互い顔をしかめてしまった。
「あ。」
引き抜いたそれを見て、エルヴィンさんが声を漏らした。
何だと思って体を起こして見てみると、ちょうど、亀頭の部分だろうか。
そこに、べたりと血がついていた。
「大丈夫か、怪我になってないか?」
「なってないよ」
股を見つめ、血が流れてこないのを確認した。
人によりけりだとは聞いていたけれど、少量の出血なんてこともあるのか。
「もっとやりたい、ねえ、エルヴィンさん、しようよ」
エルヴィンさんを誘うと、数秒だけ固まられたが、すぐに押し倒され覆いかぶさられた。
先ほどと同じ体勢だが、なんだかとてもいやらしく感じる。
ゆっくりと、体内にエルヴィンさんのが入ってきた。
上手く言えないけれど、圧迫される感覚はある。
エルヴィンさんが、私にキスをした。
そのまま、ゆっくりと腰を前後に振る。
動かれるたびに多少の痛みがあるが、きっと初めてやる場合はこんなものなのだろう。
それよりも、エルヴィンさんがキスして、抱きしめてくれながらされるのが、とても幸せだった。
女の子達の性欲の対象にされて、目を閉じて欲望を思い描いた子たちにするがままをしていた私がこんな思いをしていいんだろうか。
体の中で、エルヴィンさんがせわしなく動く。
「きつい、なまえさん、本当に、きつい。」
辛そうなのか、そうじゃないのか、初めて聞くわからない声だった。
私のほうは幸せいっぱいだけど、なんだかとてもつらそうだ。
「なまえさん」
エルヴィンさんが、私を見つめる。
「この歳で、焦っているよ、こんなことで」
「なんで焦るのか言ってよ」
私の淡々とした口調に、エルヴィンさんは首に寄りかかってきた。
「中に出したい。」
「いいよ」
私の即答に、エルヴィンさんは安心したような、そんな表情をした。
気を使ってか、ゆっくり動く。
きっと、これ以降は激しいのが待っているのだろう。
私の体が、ゆらゆらとのろまもいいところなくらい揺さぶられる。
腰の骨の真ん中あたりから音がして、骨の軋みを知らされた。
別に痛くも苦でもない。
目の前の色っぽいエルヴィンさんのほうが大事なので、そっちにしか目がいかない。
エルヴィンさんの荒い息に耳を済ませて、一人で勝手に興奮したので、腕をまわして引き寄せた。
顔が近い。
綺麗な目の色だなあと思いながら目を見つめていると、またキスをされた。
どんどん体が熱くなる。
私の柔らかい体と、エルヴィンさんの筋肉が触れて、熱い。
ベッドが軋む音と体がぶつかる柔らかい音の頻度が、だんだん増えてきた。
ぎし、ぎし、と軋む音と、エルヴィンさんと私の息。
エルヴィンさんの表情を見てると、抑えているのがよくわかる。
ああ、次するときは、積極的にしよう。
「なまえさん、う、あっ」
一段と深く奥を突かれたと思ったら、動きが止まった。
中に何かがじわりと広がる感覚に、戸惑いを隠せなかった。
初めての感覚に焦る私に、エルヴィンさんが頬や唇にキスを落としてきた。
「痛くしていたか、すまない。抑えがなかなか・・・。」
「いや、気持ちよかったよ」
申し訳なさそうに笑われ、抱きしめられた。
正直なことを言うと、ずっと開きっぱなしの股がそろそろ痛いのだが、痛くても気持ちいいということで片付けよう。

「次、いつ来れるんだ?」
「え」
「いつ来れるんだ。」
「・・・明日?」
「なんで疑問系なんだ。」
ははは、と笑うエルヴィンさんに向かって微笑んだ。
私はというと、脱いだパンツがベッドの下にいってしまい、必死でもぐっているところだ。
ベットから下半身が生えてる状態の私を見て「綺麗な尻だ。」と呟かれ、笑えてしまった。
ようやくパンツをつかみ、履いて顔をあげると、シャツを着ているエルヴィンさんがいた。
すこし前までお互い全裸だったんだよな、と思うと、とても恥ずかしい。
「なまえさんは随分と綺麗な体をしているね。」
「え」
「肌が白いし、細いし、いい具合に筋肉もついていて・・・。」
エルヴィンさんが触りだした。
肩から背中にかけてを撫でると、腰とお尻を撫で回した。
うなじから首まで、するりと撫でられる。
「なまえさんは私のものだ。」
わざとらしく囁かれたものの、男の人はこんなものなのだろうか。
性別にかけたブレーキも、男っぽく振舞っていたことも、どこにいったのだろう。
自分が素直になれるのが、ここまで心地いいとは思わなかった。
シャツだけ着て、ドアのほうに飛んでいたズボンを取ろう、そう思ったときだった。
ドアが開いた。
勢いはなかったが、あの開け方はきっと疑いもしていない開け方だ。
さっと現実に引き戻される。
そこにいたのは、何かの紙束を持ったリヴァイ兵長だった。
服は着ているけど服が乱れたエルヴィンさんが固まり、シャツとパンツだけの私も身動きがとれなくなる。
リヴァイ兵長は至って平静だ。
流れるようにするすると、リヴァイ兵長の視線がエルヴィンさんから私に動き、最後に乱れまくったベッドにいった。
数秒の間があいたあと、リヴァイ兵長は部屋に踏み込み、紙束をエルヴィンさんに投げつけた。
ばさばさと紙束が落ちる。
部屋全体に話しかけるように、リヴァイ兵長は冷静に言い放った。
「これは俺の持論とクソを見てきた価値観だが、身長190cm近いのと180cmがベッドで欲望のままにファックしたらベッドが壊れると思う。」
そういい残し、部屋を後にした。
ドアが閉まり、廊下を歩いて去っていくリヴァイ兵長の足音も遠ざかった頃、私達は再び視線を合わせた。
エルヴィンさんも、相当気の抜けた顔をしている。
私も、きっと同じ顔だろう。
そして、考えていることも、一緒だった。
エルヴィンさんが私に駆け寄り、抱きしめ、私が首に腕を回して唇に唇を押し付ける。
お互い、笑っていた。
明日からどういった顔で過ごせばいいか、私にも分かる。
口を割って入った舌の厭らしい音が、次の合図だった。








2013.07.05








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