倒錯の芳香



アニメの声を聞いた印象が軽いインパクトでした
冷徹な雰囲気が中和されてる
すこし倒錯気味です注意
お題 二宮と厭らしいことをする







私は匡貴が好き。
それは匡貴も知っているし、匡貴も私に愛してるだの好きだの何だの、人目がなければ愛の言葉をこれでもかと囁いてくる。
恋と愛は突き刺さって、身体に溶けていく。
世の恋人達が惚気る間溶け続けるそれは、いつかどこかで実を結ぶのだろう。
私だけが知る罪は、私に突き刺さってくる。
貪りあうような年齢は過ぎたのに、なんて浅ましいんだろう。
それはあってはならないことだと叫ぶ自分も、今や同じ。
彼は、私が今まで好きになる人とは違った。
ふわふわのおっぱいも、鈴の鳴るような可愛い声も、潤んだ丸い目も、紅色の唇も、白くて柔らかい腰も、匡貴は持っていない。
ついでに言えば、私の知っている匡貴はこんなにキザぶった子ではなかったし、再会したのも私の引越しがきっかけでの偶然。
幼馴染というには、会っていない期間が長め。
背が高くて、顔つきがきりっとしてて、身のこなしが軽やかで、仕草は無駄な動きがない。
どうしてこんな奴になったのか察しないことにした。
それは、匡貴も同じだと思う。
匡貴の目つきは重く鋭いけれど、苦しさや悲しみは感じないから好き。
おっぱいがなくても、声が可愛くなくても、腰や太ももが柔らかくなくても、女の子にはないものがついてるけど、匡貴が好き。
女性ではない匡貴を何故好きになったのか、自分に聞いても答えは出てこなかった。
自らに疑問が湧き出る前に、好きだという気持ちのほうが私の心を多い尽す。
私は匡貴が好き。
匡貴も、私が好き。
こうするしかない、なんて情けない言葉も、愛の前には寛容に受け入れられていった。

匡貴の薄い唇にリップを引いて、唇に色を広げる。
薄いピンク色の唇をした匡貴がシャツを脱いで、カフスを丁寧に外した。
淡い光を注ぐランプの側に置いたシャツが、和毛のように光る。
ベルトを緩める手を気にせず、リップグロスを足す。
妖しく光る男性の唇が完成した後、匡貴が全裸になった。
「可愛い」
横にあるワンピースに手を伸ばすと、椅子から立ち上がって私にキスをする。
匡貴の唇が触れるたびに、体臭ではない良い香りが鼻を掠めた。
可愛いと言ったあと、匡貴の足が全部隠れてしまいそうなくらい丈の長い大きめのワンピースを渡した。
私の唇をグロスまみれにしながら、ワンピースに袖を通す。
匡貴が着替えている間、脱いだスーツとズボンの近くにある私物を拝見した。
淡い光に照らされる瓶を手に取ると、見覚えのある名前が書かれている。
反射的に手に取り、冷たさの張る瓶を眺めた。
好きなデザイナーの名前が書かれた瓶から、いい香りがする。
デザイナーの名前の上には、イタリア語で瓶の中身の名前が書かれていた。
「へえ、こういう名前なんだ」
「そのデザイナーの香水しか使わない。」
後ろから、着替えるときの音がする。
大きな身体に女物の服なんて、笑ってしまうような光景を待ち望む。
「うん、いい匂いだね」
嗅いだことがあるような心地いい匂いは、匡貴自体から漂っている気がする。
きっと、首につけているのだろう。
ふと見ると、匡貴が着替え終わっていた。
サイズが合っていなさそうな丈の長いシンプルなワンピースを着た匡貴が、裾のレースが足の甲に触れるたびくすぐったそうに足をひっこめている。
可愛い姿に微笑んで、香水の瓶を頬に寄せた。
「この匂い好きだよ」
瓶を元の場所に戻して、リップとグロスを手に取る。
男の人の大きな身体に似合わないワンピースを着た匡貴の唇に、もう一度リップを塗り、グロスを足す。
抵抗しない匡貴の目元が性欲に彩られていくのを見ながら、リップの色を加え映えさせる。
「匡くん」
小さい頃そう呼んでいただけなのに、露骨に反応されて顔を顰める。
「懐かしい呼び方はやめろ。」
誰かに聞かれたら困るだろう、と続けると思えば、そこで口を噤んだ。
「嫌なの?」
残念な思いを全面に出すと、匡貴がワンピースの裾のレースを弄りながら答えた。
「興奮するだけだから、やめろ。」
「じゃあもっと呼んであげる」
リップの蓋を閉め、匡貴の髪を撫でる。
指先で首元を撫でると、冷たい皮膚の下から熱が伝わってきた。
「今日は疲れた?」
「とても。」
匡貴の頭を抱きしめ、手入れされた髪を撫でる。
「よしよし」
腰に抱きつかれ、暫し甘えさせた。
腕の力を緩めると匡貴も甘えるのをやめて、目を据わらせる。
ベッドに腰かけ、腕を広げた。
「きて」
思いやりが交差した結果こうなったので、迫る匡貴に変態と罵る気はない。
大きな身体がのしかかり、キスをされる。
私の唇がリップで汚れていくたびに、身体が火照っていった。
難なく私のシャツのボタンが外されていくのを見て、匡貴に勝てそうにないと悟る。
ワンピースの裾から見える骨組みのしっかりした肩と固そうな足ごと招きいれた。
大きな舌が私の膝の裏にキスをしては舐めるを繰り返し、大きな手は下着の上から私の尻と性器を弄っている。
足先にワンピースの裾が触れて、安心する。
膝の裏が唾液で濡れていくたび耳に触れる水音と衣擦れの音の間に、匡貴の荒い息遣いが混ざった。
「足ばっかり」
大きな手が背中を撫でたと思えば指先が服の下に潜り込んで、ホックを外す。
胸と肩に開放感が現れる前に、胸を揉まれた。
「なまえもこうしていたんだろう。」
女の子とは違う大きな舌が、膝の裏から太ももまで犬のように舐める。
なんだかんだで、私の恋愛対象が女性だったことを気にしているのかもしれない。
そういう女であったから、性器に指を入れて愛撫することと舐めることに関してはそこらへんの男性より満足感を与えられる。
匡貴は過去をなかったことに出来る男ではない。
何年を通り越して、体感では何十年ぶりかに会った私を忘れていなかったのだ。
その性格も、役に立つ時がある。
犬のように舐める匡貴の顔を覗き込み、乾きかけの舌に唾液を足すようなキスをした。
冷静そうな顔をしても、頬は赤いし唇にはリップが残っている。
可愛い可愛い、私の匡貴。
「匡くん、自分で脱いで」
匡貴の腕が急かされたように移動してから下着を脱ぐ音をさせて、それから下着をどこかに投げる。
身体は意外と言うことを聞いてくれて、私が軽く押せばすぐに仰向けになってくれた。
何もかも支配できないところは、匡貴らしい。
ワンピースから伸びる男らしい足にキスをして、匡貴の上に跨り後ろを向く。
匡貴にお尻を向けると、すぐ下着を取り払われた。
スカートを捲られ、背中に裾が触る。
大きな手が太ももを叩くように触ってきて、焦らすように性器に匡貴の触れた。
「よく見るとちんちんって可愛いかも」
煽るような言葉を吐き、扱いて遊んでいると性器にぬるりとした熱いものが触れた。
お尻あたりに荒い吐息がかかって、やっぱり犬を連想されられる。
どうにかしたほうがいい認識を現実が中和してくれるわけでもなく、勘で性器を弄る。
指の間に沈んでくる粘液で鈴口を滑らせた。
「糸引いてる。」
指を舐めたような音をさせてから、また性器に舌が這う。
わざと舐めてやらないでいると、お尻に匡貴の指が食い込んだ。
太ももの内側を撫でると睾丸が動くのを見て何度も撫でると、匡貴が短く息を吐いた。
「あは、ここ擦るとびくんびくんってするね」
煽てるように触っていると、軽くお尻を叩かれた。
ごめんと笑って、ようやく咥える。
例えたくない味がしてから、頬の奥で咥えこむ。
性器から口を離した匡貴が私のお尻を叩いて、腰が引けるたびに嘲笑うような声で煽る。
「これを摘んで胸を掴むとなまえは必ず垂らすぞ、叩くたびに溢れるから舐めてもキリがない、気づいてるか。」
秘め事でなければ言えないような言葉も、平気で言う。
匡貴が固い指先でクリトリスを擦り、大きな手が片胸を揉む。
気持ちいいところは知られているから、痛くもないし気持ち悪くもない。
精悍な顔つきをした匡貴が隠語を喋る姿なんて、誰も見たくないだろう。
「しらなっ、んっ」
お尻を掴まれ引き寄せられたあと、身体の上から退かされる。
真剣な顔した匡貴から良い香りが漂ってきて、香水のことを思い出す。
「挿れたい。」
そんなことも消し去るような一言をお見舞いしてくれて、匡貴の唇を見る。
色は取れかけていて、薄い唇の端は滲んでいた。
「まだ駄目」
私の言葉を飲み込んだ匡貴は、手を股に持ってきた。
長い指が愛液の中に埋まり、肉の中に沈む。
筋肉質な手首が艶っぽく動いて私の股の間で動くのを見て、視界が霞んだ。
腕に腰を落とすように寝そべれば、背中が浮いた。
女の子のような色をした匡貴の唇が、私の首筋に痕をつける。
息を吸うたびに漂う香りを、脳が覚えそうだ。
匡貴の指が性器の中で蠢いて、中身を引きずり出されそうな感覚に陥る。
身体の底の入り口で動く匡貴の指が、知りえるように折り曲げた。
長い指先が子宮口に届いているような気がして、息が詰まるたびに快感が揺れる。
私の目が潤んでいるのに気づいたのか、匡貴が更に指を沈めた。
大きくて太い指のはずなのに、不思議と痛くない。
気持ちの面が大きいのだろうと思い、匡貴を見た。
目が合えば、探るように指を動かしてくる。
「ここか?」
狭い入り口から内臓を揺するような動きに、息が詰まる。
それから目の奥が熱くなって、喘ぎが漏れた。
内臓を揺さぶらた周辺にある感覚が動いて、気持ちよさが沸いてくる。
征服感があるのか、匡貴が偉そうな顔をして私に囁く。
「女の細い指じゃ、ここまで届いてなかったんだろう。」
やっぱり心のどこかで、私のことを気にしている。
これが性格なのだろうと割り切れるほどに、匡貴のことを信用していた。
女の子のような唇、女の子の服。
愛撫する唇も手も匡貴であることに間違いない。
「まさくんっ、く・・・う、はあっ」
まともに喋れない犬のような私の腰に力が入ったのを、匡貴は逃さなかった。
大きな手が割り込み、身体を押される。
性器の具合なんてどうでもいいと言わんばかりに、私の顔を見ていた。
赤面して涙を浮かべる私の顔だけを、ずっと見ている。
匡貴は息も荒いし、はあはあ言ってるし、私が正気なら突き飛ばしているだろう。
もう片方の手が匡貴の身体の下のほうで激しく動いていて、目を逸らす。
運がいいことに性欲まみれで正気とは程遠いところにいる私は、匡貴の指で感じていた。
匡貴の指は長いから、中なんて簡単に弄くれる。
慣れてきた中に指が深く入り込み、然るべき臓器を押された。
思わず股を閉じて、股間の違和感と戦う。
気持ちよさと、冷や汗と、背筋の中を流れる冷たさに驚いて身体を捩れば、臓器が反応した。
首を振りながら足を閉じて腕を挟みこんだ私を、匡貴はまだ見つめていた。
興奮して据わった目で、じっと見る。
「挿れたい。」
ぼやけた意識の中でも、言うことは分かっていた。
「可愛く言える?」
偉そうな顔を恥ずかしさで歪めるべく、ワンピースの裾を引っ張って告げる。
頬を染める匡貴に微笑んで、誘った。
嫌だと暴れようものなら、騒ぎを聞きつけた人に女の子の姿を見られる。
「なまえの、中に、俺のを、挿れたいです。」
「何を?」
「言わせる気か、淫乱。」
「人聞きの最悪なことを言っても興奮しないよ」
「挿れたいです。」
「何を?」
「ちんこ。」
「はい、よく出来ました」
煽るように笑えば、匡貴が私の身体に圧し掛かった。
足にレースが触れてから、それに似合わないものが性器に触れる。
大人しく言う事をきく匡貴が、可愛くて仕方ない。
「は、あ、なまえ、きつい。」
「しょうがな、いよ」
扱いていた手が離れて、性器同士が触れあい私の中に埋まり腰骨が軋むうちに、涙で歪んでいく視界で私の顔を凝視する匡貴を見た。
反射的に目を閉じれば目を覚まさせるようにキスをされ、息が混ざり合う。
匡貴の腰が動くのを感じて、空いた手で抱きしめる。
揺れる互いの体の結合部に熱が溢れ、溶け始めた。
押される感覚と、圧迫されるたびに快感と滲ませる性器からは考え始める前に愛液が溢れる。
匡貴の息が耳にかかって、揺さぶられるたびに胸が揺れた。
動くたびに揺れる身体は私と匡貴のもので、同じような快感で溝が埋まる。
額に汗が浮かぶ色っぽい匡貴が、気持ち良さそうな顔をした。
男性特有の息を吐きながら喘ぎを掻き消そうとする声に、興奮する。
匡貴を撫でると、抱きしめられた。
体温が触れあい擦れあううちに、太ももにワンピースの裾が触れて感覚だけが引き戻される。
肉体で繋がれるというのは、こんなにも気持ちのいいものなのか。
それを教えてくれたのは、匡貴だった。
自制心と認識と、愛情と肉欲が渦巻いて私の身体の底に沈んで、破裂する。
思う以上に行為は気持ちが大事で、匡貴と好き同士である限り快感が生まれるのだろう。
頭に浮かんでは、快感に紛れ消えていく言葉。
女の子に犯されてるみたい。
ショートカットの女の子が私とセックスしてる。
だってほら、さっきから私の太ももにワンピースのレースが触るでしょう。
そうに決まってる。
だから私は、なんにも変わってない。
私だけが知る罪は、私に突き刺さる前に快感で埋もれて消えても、また芽生える。
変化を恐れるうちは、倒錯に興じていく。
恐れなくなったらどうなるのか、私は気になって仕方ない。
動く匡貴を抱きしめ、首元を嗅いだ。
汗の匂いと、良い匂いと、匡貴の匂いがする。
私の耳元で荒い息遣いが聞こえては消えて、身体の中で匡貴が動く。
いい匂いが一番強い場所に鼻を埋めて嗅いでいれば、香水に混じり匡貴の匂いがした。
嗅ぎ慣れた匂いに混ざる良い匂いと、下半身から聞こえる淫猥な音。
「この香水、すごくいい匂い」
耳元で喘ぎ混じりに言うと、匡貴が静かな声で教えてくれた。
「このデザイナーの香水、なまえが教えてくれて以来使ってるからな。」
そう言った匡貴を抱きしめ、「ありがと」と言っても、すぐ喘ぎに掻き消され溶けていった。






2015.09.27







[ 167/351 ]

[*prev] [next#]



×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -