滲む焦燥





ななさんリクエスト
・♀×♂前提の天然ビッチヒロイン×焦燥ライナー





あくびをして喉の奥を広げると、肺の入り口あたりにまで冷たい空気が浸ってくる。
水の中で同じことをすれば溺れて死んでしまうだろう。
見晴らしがよくて天気のいい野原でやれば、肺は健康的になる。
暗い天井を見て、内側から鍵をかけた倉庫の壁を見つめた。
古ぼけて埃の匂いがするここも、そのうち性的な匂いで満ちるだろう。
「ほんとびっくりしたよ、知らないだろうけど、女子にはかっこいいって言われてたのに」
隣に座る、顔を赤くして黙るライナーを見つめた。
ばつが悪く恥ずかしそうに押し黙るライナーは、何と戦っているのか。
「けど、なまえは?」
押さえ込むように聞くライナーの薄い唇にキスをしてやりたい。
自分の唇を舐めて濡らしたあと、舌をしまって喋った。
「ええ?正直、私はライナーの竿姉妹と毎日訓練してるのかと」
ライナーと関わったことは、何度かあった。
見た目は悪くないし、男子の中では一番しっかりしている。
モテるのだろうから相手をしてくれる女の子は、他にもいるはず。
たまに、何故か、理由は知らない。
ライナーは時々子供のように甘える。
甘えて何をするわけでもなく、ただ抱きついて、おっぱいに顔を埋める。
別に私じゃなくてもいいのに何故なのか、気になっていたけど、聞かないでいた。
他人のそこまでに踏み込んでも、知りたくはない。
悪い意味でもなく、そうしたほうが何事もやりやすいからだ。
ライナーの肩にそれっぽく触れると、大きな腕の中に収まる。
逃げたりしないのに、逃げられないくらいの強い力で抱きしめられて、甘えられた。
首筋に手をやると、懐くように擦り寄られる。
大男が甘えるのも見るのも、悪くは無い光景だ。
胸元にまで顔が落ちてきたところで、頭ごと抱きしめた。
「はい、おっぱいどうぞ」
子供をあやすようにライナーを抱きしめて、顔に胸を押し付ける。
肉と脂肪が詰まった血袋に、ライナーの顔がめり込む。
「したいんでしょ?」
胸元にめり込むライナーに問いかけると、甘えた熱っぽい視線をこちらに寄越した。
大きな男の子、いや、見た目だけなら只の大男だ。
何かの本能を刺激されるような、どきどきする視線。
抱きつかれ、顔を埋められ、べたべた甘えられてもなお構っているとライナーが口を開く。
「いや、なんで・・・なまえはそういうことを沢山するんだ?」
単純すぎる疑問だった。
そんなこと、最初のほうに聞けばいいのに。
愛想が尽きるわけでもないので、ライナーの首に絡みついて触れあうようにキスをした。
「したいからじゃいけないの?」
腹筋を触ると、股間にあるそれが服の下で動いているのがわかる。
誘うように笑い、服の上から撫でた。
指の下でぴくりと動いたそれを、指先で弄る。
「ライナーって、ここでどきどきしちゃうんだ」
至近距離で、ライナーの目の色を覗く。
興奮してきたのか、すこし目の色が濃い。
濡らした唇のままキスをして、囁いた。
「あたしも」
女の軽い力で肩を押せば、ライナーは分かっていたかのように私を抱きしめたまま寝転んだ。
倉庫の仄暗い空気が、欲を掻きたてる。
埃の匂いはきつくなくて、ライナーの匂いがした。
古いけど頑丈な木箱の上に布が掛けてあるだけの、粗末な場所。
そこでも意外と壊れないし、最悪でも腰を痛めるだけで、思い切りできる。
ライナーの胸元を舐めて、そのまま下に下がる。
「ここ、すっごい男の人の匂いするね」
触っているうちに、ライナーの手が私の頭に伸びる。
髪を掴むふりをしてから、頭を掴む。
力の言うままに顔を近づけたら、手の力が少し緩んだ。
まだどこかに、女にさせる抵抗感があるのだろう。
私は抵抗感なんてとっくの昔に消えてしまった。
迫ってきた相手のことが好きならする、その心意気でしている。
「男の匂いって、どんな匂いだ、そんなもんわかるのか。」
「んーと、精子の出し終わった人の残り香みたいな?朝起きて抜いてからくる人多いから、そんな匂いするよ」
下品なことを言ってから、勃起したそれを服の上から弄る。
「ライナーのここ、雄ってかんじ」
睾丸を触ると、反応する。
歯で服の端を噛んで、ズボンを太ももの位置まで下ろした。
下着の上からでも大きくなっていることがわかるそれを弄って、指で形を確かめる。
布の上からキスをしてみると、大きくなっていたものが動いた。
唾液を染みさせて、吸う。
ちゃんとやってくれと懇願するのを待っているつもりだった。
触るたびに動いたりするのを楽しんで、煽る言葉を使っていた私を遮るようにライナーが私の頭を掴んで、やめさせる。
「もう、そういうのやめろ。」
ライナーの顔が、すこし険しい。
大きくしておいて何を言っているんだと思ったものの、言葉にして出たのは相槌だった。
「え?」
「誰でもいいなら、俺とこういうことするのは止めにしてくれ。」
早く跨りたいのに焦らしたいのだろうか。
そういう流れを好むのは、変態寄りになってきた男だけでいい。
やるのだったら精々するまで射精すればいいものを、行為にまで感情を挟んで自分は理性があると優等生ぶる。
ライナーは、そんな人ではないはずだ。
奇妙に思って、誘う手つきをしながら絡みつく。
「誰でもいいわけじゃないわ、寄ってくる人からでも選んでる。
ライナーの側にいるのって、アニとベルトルトだけだったの?
アニは綺麗だけど、私みたくよく喋るわけじゃないし私が異質に見えてるだけだよ、なんにもおかしくない、ベルトルトだってモテそうだけどね」
ライナーの手の力が緩む。
言っていて何だけれど、アニは美人だしベルトルトは良い男。
でもそれよりもっと魅力的なのだから、ライナーはもっと偉そうにしていい。
するりと抜け出して這ってから、筋肉の上を啄ばむように撫でた。
「私はライナーみたいな良い男が好きだよ」
身体の上を這って、ライナーに覆いかぶさる。
髪の毛が触れそうなくらいにまで近づいて逞しい鎖骨と首筋に触れたあと、目の色を覗く。
色は、まだ濃いままだ。
「さみしいの?」
優しい声でそう聞くと、くぐもった苦しそうな声がした。
「胸の辺りが、ざわざわすることがあるんだ、苦しい。」
医務室にでも行ったほうがいいのではないかという思いを込めつつ、ライナーに優しくキスをする。
これだけ健康体でも、人であるのなら病でいつ倒れるか、分からない。
調子が悪くても、私の上に乗ろうとする性欲には勝てなかったようだ。
優しくキスをしただけなのに、ライナーの両手が私の頭をがっちりと掴む。
離れない舌と絡みつく唾液に応じていると、片方の手が私のズボンの中に伸びてきた。
太い指が性器に触れて、こちらもその気になる。
している最中に死んだりするようなことがないなら、するべきなのだ。
私はそう思っているだけで、ライナーがどう思っているかは、セックスをしてもキスをしても、知りえない。
そんな当たり前のことは、ライナーだって分かっているはず。
だから調子が悪いというのなら、人は見た目に限らない、そういうことになる。
「今日は上でいい?」
ライナーにそう囁いたら、太い指が何度か探った。
「なまえ、下着は?」
「ああ、ライナーの精子でべたべたになるから履いてない」
勃起したそれを触るためにズボンをずらして、お尻をライナーのほうに向ける形で跨った。
ライナーの目の前には、私のお尻しか見えない。
いきり立ったものの相手をするために、唾液を垂らす。
私のズボンが下ろされて、然るべき場所を舐められる。
舌が大きくて、舐められるとざらざらした。
舌と唾液の感覚の間に、歯と肉が当たったような気がした時だ。
視界の端が揺れるような痛みが、どこかを刺す。
「いたっ」
思わず体を離そうとしても、ライナーの手が腰と胴体を掴んでいて動けない。
辛うじて頭だけ自分の下半身のほうに向けると、そこにいたのは確かにライナーだった。
痛みが刺した場所をライナーが舐めると、薄く切れたような痛みがしたあと、じわりと太ももの内側に血が垂れる感覚がする。
見えてないから場所はなんとも言えないけれど、性器と太ももの付け根を噛まれたようだ。
汗の合間に、血が混じるように垂れる。
傷口を作ったライナーが、低い声を出す。
「これで俺以外の奴とできないだろ、なまえ、なあ、そうだろ。」
痛む傷口と、性欲を天秤にかける。
噛み付いたライナーのそれが更に大きくなっていないか、殴りそうな雰囲気がないのを確認してから、性欲を取った。
「そうね」
濡れた唇と、溢れそうな性器が触れる。
水音がしたけど、血の滲む音だったのかもしれない。
そんなことは、あとで分かればいいのだ。







2015.06.16








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