幾多の夜の光点





あらにさんリクエスト
・童貞エレンと年上彼女の初夜






人目を盗むことは、いくらでもできる。
それ自体はけっこう安易で、誰にも疑われないことが第一。
いつも通り過ごして、いつも通りのことをして、いつも通りに接する。
それが出来ていれば、なんだってできるのだ。
抱きついてきたエレンの腰を撫でて、慰めるようにキスをする。
人の気配がしない、使われていない倉庫のベッドは、埃と過ぎた太陽の匂いがした。
エレンの太ももの内側を撫でると、強く抱きしめられた。
性欲への勢いと、欲望、渇望、そして不安。
全てが混ざった瞳を、私に向ける。
「ほんとに、いいのか、なまえ。」
エレンの潤んだ瞳は、可愛らしく思えた。
「なにが?」
互いの唾液が既に交じり合った私の口からそう言うと、エレンは今更恥ずかしそうにした。
「その、俺、こういうこと、したことねえし。」
エレンの胸板に手を当てる。
そっとベルトを取り、逞しい筋肉のついた薄めの体を、暗がりの中で露にする。
脱ぐことに抵抗はないようで、脱がしかけたシャツは自ら脱いだ。
「いいのよ」
「変だったりしたら、ごめん。」
「変じゃないよ、なんにもおかしくない」
「なまえは好きだから、嫌な思いさせたくないし。」
シャツを脱いで、下着を脱ぐ。
丸い尻が露になったとき、エレンは身動きひとつしなかった。
エレンより先に裸になったあと、近寄りエレンの胸板から鎖骨までを舐めた。
「好きな人とすることだよ、これ」
骨の上の薄皮に滲む血管を舌で感じる。
他人の肌の味を舌に乗せながらエレンのズボンに手をかけようとしたとき、エレンが呟く。
「なまえは、俺の変なとこ見て、その。」
変なとこ、と言ってしまうのが、まだ若い。
射精を他人に見られたことは、ないのだろう。
エレンは、私よりも年下。
不安にさせたり、焦燥に煽られてはいけない。
「そんなわけないよ」
「そう、なのか。」
「好きな人とだけ、したいと思うんだから」
安心させる言葉を告げて、エレンのズボンをゆっくりと脱がした。
衣擦れの音が、静かな部屋に響いては消える。
ベルトが小さな重い音を立てて落ちたあと、エレンが私の頭を動かさないように押さえながらキスをした。
音のならない、ぎこちなくても丁寧なキス。
かろうじて音にぬめりが含まれるキスのあと、手の力を緩めたエレンの背中から腰を撫でる。
爪の先で、臍を突いた。
臍の下に指を這わせれば、エレンがゆっくりと唇を離し、視線を下にやる。
シーツに腰を降ろしたエレンの膝の裏を撫でて、四つん這いになった。
硬くがっしりとした脛の影に潜り込んで、エレンのペニスを触る。
既に勃ちあがった状態のそれを手にして扱く。
上を向き、先はエレンの腹を差している。
勢いのある若いそれを、口に含んだ。
丸い亀頭が、つるんと口腔内に滑り込んで、舌に包まれていく。
熱が溶け合うように唾液にまみれていくペニスを、舌で味わう。
「なまえ、それっ、うあっ。」
何もおかしいことじゃないのよ。
そう目で言ったあと、急がずゆっくりとエレンのペニスに口と舌で刺激を与え続けた。
手を離すと、腹のほうに向かって勃起する。
若すぎる性の勢いに、自然と食いつく。
性の匂いが、まだ若い。
口腔内で味わうには勿体ないくらいの先走りの味を、咥えながら飲み込んだ。
喉にひっかかる感じはなく、唾液と共に混じる。
丸い亀頭の先から漂う、自慰後に似た匂いと、その匂いを具現化したような先走りの味を唾液に混ぜた。
下品な音は鳴らさずに、丁寧に舐める。
頬の内側の肉と、舌と、性器を密着させ、唾液で動かす。
肉が擦れる部分から、快感が伝わるのか、私を見るエレンの目が閉じられては開く。
きっと、自慰をする時は目を閉じて頭の中に光景を描いていたのだろう。
目の前には、私がいる。
閉じるか閉じないかで、理性の戦いがあるのだろう。
性知識が、まったくないわけではない。
咥えようとした私を払いのけないところが、可愛らしかった。
頭を動かし口元が性器の根元に近づく度、汗の匂いとも、男の匂いともとれる匂いがする。
盛り上げた舌に押し付けたあと、喉の奥のほうに咥え込む。
ずるずると口腔内に引きずられる快感に、エレンの瞳が潤んで、歪む。
「あ、あ、なまえ、あ。」
瞼を震わせたのを見て、ゆっくりとペニスから口を離した。
ペニスの先と唇が体液が糸を引いて繋がる。
体液の糸はぷつんと切れ、シーツに落ちた。
はあっ、と息を吐くエレンの目を覗き込み、視線を合わせる。
首に手をかけ、エレンを抱き寄せた。
元気すぎるそれが私の腹に当たったあと、エレンが覆いかぶさって、私の胸を揉んだ。
大きな手が、私の胸に食い込む。
間近で見る他人の胸を吸って、舐めて、むしゃぶりつく。
胸の柔らかさを堪能するように、揉んでいる。
エレンは男の子、過去のことを聞いたことがあるけれど、それらの過去を考えるなら胸を触るのは幼少期以来だろう。
求めるように、ぶつけるように吸い付くエレンは、愛しかった。
エレンはぎこちない動きで動く指先が胸を掴むように揉んだ後、胸の先の突起に吸い付いた。
薄い唇が、頬張るように乳頭に張り付いて、口の中で舌全体が刺激してくる。
唾液が漏れ、エレンが吸うたびに音がするようになってきた。
ちゅ、ちゅ、と吸い付く音も気にせずしゃぶりつくエレンの体を迎え入れ、足を広げると、動物のように腰を押し付けてきた。
股の間に、膨らんだものが当たっている。
若い雄なのだ、もう行為に移りたいだろう。
エレンに跨り、いきり立ったペニスを手に取り、自分の性器に当てる。
熱の先同士が触れあい、心地よい熱さで性器から粘液が滴り始めた。
エレンの目線が、結合しそうな部分に釘付けになる。
初めて誰かの体内に性器が入るのだ、当然の反応。
汗ばんだ内股にエレンのふとももを擦り付け、体内に受け入れる。
腰を降ろしかけた、その時だ。
「なまえが寝て。」
エレンは、そう言って私の腰を掴んだ。
「え」
跨っていた私はずるずると引っ張られ、身体の上から降ろされた。
シーツに膝をついてエレンと顔を合わせる。
恥ずかしそうな顔でも、目線はしっかりと私を捉えていた。
「俺が、するから。」
なんと男らしい。
年下だから、と思って全てにおいてリードするつもりだったけれど、その必要はなさそうだ。
寝転がり、エレンを受け入れる。
抱きしめあった後、足を開くと、すぐにエレンの腰が招かれた。
ペニスの先が熱に沈んでいく。
少しずつ、圧迫感と異物感が膣内に圧し掛かったあと、奥に招かれるたび熱に変わっていった。
硬く、熱いそれは私の中に収まり、エレンの目は据わっていながらも、潤んでいる。
息を吐き、私を見つめ、私はエレンにいやらしく微笑みかける。
招き入れた腰を両足で抱き、奥へと誘う。
真似事のように、最初からそうと知っていたように、エレンの腰が動いた。
教えていなくても、本能的な性行為は出来る。
ぬち、ぬち、と動くたびに、性器から水音がした。
動けば、擦れる。
挿入した快感と熱といやらしさに、エレンは少し戸惑っているようだった。
抱きしめ、エレンの耳元で気持ちいいと囁く。
腰を動かし、してもいいんだと分かったエレンは、性行為に飛び掛った。
水音と吐息と衣擦れの音が、消えては現れて快感だけを互いの体内に残して昂ぶらせる。
疲れることなく、エレンは私の中で新たな快感を貪った。
性器同士の擦りあいであることには変わりなく、快感はそのおまけ。
おまけのほうが感覚が圧倒的なのか、エレンは何度も、何度も、段々強く腰を振った。
痛くはなくても、体を揺らされるたびに胸が揺れる。
幸い、シーツが擦れるくらいで、軋む音はしない。
エレンから見れば、自らの性欲をぶつけることで相手が喘ぐ、とんだ猥褻な光景だ。
たまらずといった様子で、エレンが胸に吸い付く。
吸われる乳頭からの刺激と、性器からの刺激で、思わず声が漏れる。
エレンの頭を抱きしめて、もっとしてと囁くと、膣内でエレンのものが膨らんだ気がした。
高まってきた快感を払いのける理由もなく、体を揺らされるたびに喘ぎが漏れていく。
「エレン、エレン、あっ、いい、すごく、いい」
名前を呼び、私のほうから腰を振る。
揺らす腰の中からも、じわりと快感が滲んだ。
零した水が身体の中にあるように、広がっていく。
構わず腰を振るエレンと、性感帯への刺激。
エレンの頭を抱いていた手の片方を下半身にやり、クリトリスを触った。
刺激ばかりで、そろそろどうにかなりそうだ。
なにをしているのかと結合部分を見たエレンが、すこし驚く。
「気持ちいいよ、エレン、もっとして」
思い切り攻められながら自分で性器の然るべきところを弄る光景も、きっと初めて見たのだろう。
エレンの目に、興奮が浮かぶ。
膨らんで硬くなったペニスで、快感を探るエレンの額から、ひとつだけ汗が落ちた。
「は、はっ、なまえ、あ。」
息を詰まらせ、一層焦るように腰を振る。
揺らされ、熱をぶつけられ、内蔵が揺れていく感覚がした。
それでも呼吸だけはしっかりとできているので、気持ちいい。
もうイキそうなんだと悟り、膣内を締めた。
逃がさないように両足を組んで腰を抑え、エレンの快感が漏れないよう導く。
詰まった息が、興奮したような息遣いに変わり、少し乱暴といった具合まで腰を振ったときだった。
「っあ!」
エレンが、苦しそうに喘ぐ。
肉壁の奥に圧迫を感じたあと、何かが出された感覚がした。
エレンが俯き、何度か腰を擦り付ける。
息を何度も切らして、動いてしまう腰を私の体内でどうにかしようとしていた。
射精しても、まだ収まらないようで、萎えたペニスでも膣内を擦っている。
「エレン、気持ちいいよ」
エレンの頬に手を当て、汗がひとつ滴った額と唇にキスをする。
唇越しの体温も、熱い。
「俺も。」
掠れた声で、エレンが答えた。
体内の中で萎えていく熱を感じながら、エレンに何度もキスをする。
熱い息が、首元にかかった。
「なまえ、苦しくない?」
「平気」
「俺、のしかかっちゃって・・・。」
「大丈夫」
「強く、吸っちまったけど・・・痛くなかったか?」
「ううん、痛くない、もっと吸って」
恥ずかしそうにするエレンが愛しくて、キスをしたあと抱きしめた。
「エレンの重さだもの、気持ちいいよ」
体に圧し掛かる重さに心地よさを感じながら、エレンを労わる。
一息ついたあと、エレンは何事もなかったかのように言い放った。
「もう一回したい。」
「いいわよ」
快く了承したものの、もしかしたら明日は腰が痛くて歩けなくなるんじゃないかと不安が過ぎる。
その時はその時だ。
誰も、目の前の快楽には勝てない、それが本能だ。
そう言い聞かせて、エレンを抱きしめ、再び招き入れた。






2015.06.07




[ 260/351 ]

[*prev] [next#]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -