しなんやく




毛布にくるまり、ぐるぐるとシーツの上を転がる。
全身が毛布で丸くなって、達成感に包まれた。
「んふふ」
ミケが、丸めた毛布の真ん中から顔を出す私を見る。
「まるまりミケだんご」
そう言うと、鼻で笑われた。
「だってえーミケの匂いがいっぱいしてて落ちつくんだもんー」
毛布の中に入ったままごろごろと転がる。
書類の記入に一息入れれば構ってもらえるのだけど、そんなの待てない。
毛玉団子と化す私を見て、ミケは鼻で笑う。
「気に入ったのなら、寮に持っていっていいぞ、この時期布一枚で寝るのは寒いだろう、なまえ。」
「大丈夫、寝相悪くて朝にはへそ出てるから同じなの」
ようやく、ふっと笑った。
鼻じゃなく、普通に笑ったときの顔も好き。
うれしいので毛布の中に顔を引っ込めて、ごろごろする。
「風邪を引くなよ。」
毛布の向こうからそう聞こえてきたけど、引かない、大丈夫。
これはミケのもので、毛布で、においもミケの。
最近は私のにおいも混じってて、なんだか、変な気分になる。
ミケの匂いが、いっぱい。
抱きしめられたり撫でられたり、キスしたりして幸せなときにする匂い。
くさいわけでも、匂いがきついわけでもない。
男の人の匂い。
いつも包まれている、安心するにおい。
ミケの指の動きを思い出すと、あそこがぬるりとした。
一部分が熱くなって、おなかがきゅうってする。
まるまって毛布の中に引きこもって、卵の殻の中にいるひよこのように身体をちいさくした。
太くて大きくて長い指が、何度も撫でて、触れて、私の中に指や舌が埋まる。
きもちよくて、喘いでしまう。
思い出そうとするたび、どんどんいけない気持ちになっていく。
でも、ここは丸まった毛布の中。
そっと、手を下着の中にいれる。
ふにふにした肉の湿った割れ目を撫でると、すぐ触れた。
敏感なとこ。
何度も、ミケはここを舐めるし、弄る。
私が気持ちよくてどろどろになってしまうのは、敏感なここをミケが弄るから。
だったら、もし、ミケのことを考えながら自分で触ったら、どうなるのだろう。
ミケは書類に構っている。
毛布内で終わらせ、かつ息を殺せば、たぶんバレない。
足を閉じて、股だけ緩める。
足の間に手を滑り込ませ、指先でつついた。
指で触ると、腰がびくんと動く。
ひっぱられたかのように、突き出すように動いてしまう。
撫でるだけで、強い快感がくる。
ゆっくり、ゆっくりと撫でる。
それでも刺激はびりびりとおなかのなかを支配して、ぜんぶが気持ちいい。
気持ちよければ、自然と指の動きが早くなってしまう。
恥ずかしいし、でも、それがきもちいい。
きもちいい、身体の叫びをおなかのなかに閉じ込めて、びくんと動く腰が、快感が詰まっているようだった。
でも、なんだかちがう。
身体全部が跳ねるようなのとは違う、弱めの快感。
もしかして、気持ちいいのは二人でしないとできないのだろうか。
そうだったら、どうしよう。
ぼうっとした頭のために、深呼吸をする。
ぴんと伸びた足を空気に晒し、何事もなかったかのように起き上がった。

ミケと目が合う。
「顔、赤い。」
開口一番、それだ。
「えーっとね、熱。」
「寝相が悪くて風邪を引いたか。」
「そうそう!そうなの」
ミケが椅子から立ち上がって、ゆっくり歩み寄る。
毛布を剥ぎ取られるかと思ったら、私の目線まで腰を折ってくれた。
「なまえ、毛布の中で随分と粗相のないことをしたな。」
ミケの目は、据わっていて、すこし興奮してた。
すんすんすん、と首元を嗅がれて、鼻で笑われる。
堪能するように、何度もすんすんと鎖骨から脇腹のあたりまで嗅いだあと、下着の上から一度だけ嗅いだ。
「欲情したなら俺に言え。」
「ちがうの、そうじゃなくて」
ふとももに大きな手がかけられて、恥ずかしくなって否定した。
指を、下着の上から這わせる。
ミケを見つめて、目で訴えた。
「ここ、自分で触りたくなって」
「上手くできなかった、と?」
頷くと、ミケはベッドに座った。
「こちらに来い。」
ミケが膝の間をぽんぽんと叩いたので、四つん這いでミケの膝の間に移動して、座った。
後ろ向きにさせられて、私の背中とミケの胸がくっつく。
頭の上には、ミケの顔。
安心する位置で、安心する顔がある。
リラックスにはもってこいの体勢で、ミケが囁く。
「指の腹で、撫でろ。」
ミケの大きな手が、私の胸と鎖骨を撫でる。
つんとした乳首がミケの手の平にあたって、くすぐったくて気持ちいい。
ミケが見てる手前恥ずかしいけれど、私はおそるおそる指を這わせた。
小さい指の腹で、敏感なクリトリスを撫でる。
一回撫でるたびに、足がびくんと動く。
びくんびくん、と動きつつ何度も撫でていると、足がぴんと伸びてくる。
なんにも考えてないのに、腹筋に力を入れてしまう。
いじればいじるほど、性器はぬめる。
水の音がすれば、ミケの手が動く。
「溢れてきたら指を滑らせ、また指の腹で撫でるんだ。」
ミケが伸ばした手は私の股の間に辿りついた。
溢れる愛液の蓋を開けるように、指で性器を開く。
真っ赤な顔をして息をする私の耳元で、教えるように囁いてくる。
「膨らんでくるだろう、勃起するのは男だけじゃない。」
私の細い指の上からミケの指が重なる。
震えながら弄る指を、つつく。
「硬いだろう」
うん、と答えた私の声は、高くて、息もつまっていて、私じゃないような声。
腹筋が震えて、おなかがきゅうっとする。
弄る私の手を撫でて、ミケは指南した。
「こうして指先だけで捏ねまわすように撫でろ。」
撫でるたびに、びりびりと快感が襲ってきて、足を閉じそうになる。
足をまっすぐにして、快感に正直になっていくと、だんだん気持ちよくなっていく。
コツは、掴めていた。
それでも何かが違うから、まだまだなのだ。
「根元を上に軽く引っ張ると、包皮から顔を出す。やってみるといい。」
撫でていた指を、するりと移動させ、上に軽く引っ張る。
ぴりっと痛みなのか引っ張っただけなのか分からない感覚がしたものの、そのまま触れた。
丸いクリトリスが、膨らんでいるのがしっかり分かった。
触るだけで、腰が浮くような快感をおなかの中が抱きしめる。
「ん、ひっ」
仰け反って、腰を浮かせる。
足に力が入りすぎているけれど、気にならない。
気持ちよくて、どうでもいい。
何度も何度も何度も弄る指は止まらず、痛いくらい敏感な根元と膨らんだ先の一番気持ちいいとこを撫でる。
子宮のあたりだろうか、お腹が締まっていく。
足の筋肉は伸びて、頭は気持ちよさでぼーっとした。
指の腹でぬるぬると擦られる膨らみは撫でられるたびに大きくなる。
おなかの中が、きゅっと締まって、愛液が溢れた。
このまま、擦りすぎて大きくなったらどうしよう、そうしたら、下着をつけていてもびしょ濡れになっちゃう。
そんなのやだけど、ミケとしてそうなるんなら、いいかな。
「あ、ひ」
びくん!と腰が浮いて、痙攣する。
見せ付けるような浮き方が、正直恥ずかしい。
腰が震えて、下品に誘ってるようだ。
ゆっくりと、がくがくする腰をシーツに降ろす。
息も絶え絶えに、ミケに寄りかかると、背中を撫でられた。
「頑張ったな。」
ミケの、優しい声。
こういうときまで優しいところも、好き。
ミケが私の股に手を伸ばし、大きくて太い中指が私のクリトリスを優しく押さえた。
「終わった後は、脈打つ感覚が治まるまで押さえろ。」
ずるずると寝転がっても、ミケの指は動かない。
押さえてどうのこうのするのは、私がやり忘れたことなのだろう。
それを、ミケがしてどうするんだろう。
ミケの指、大好きなミケの指。
「はぁあ、う」
ミケの指が押さえてあるのに反応して、私の小さな芽は大きくなってきてしまった。
恥ずかしくて、シーツに顔を埋める。
それに気づいたミケが、私の頭を撫でた。
「男と違って連続でイクことはできる、よくあることだ、それともするか。」
ミケの服の裾を掴んで、そっとシーツに横になる。
気持ちよくなったばかりの熱っぽい目線と、ミケの優しい目が絡み合う。
この優しい目の持ち主でも、えっちなことは考えるのだ。
それを知っている私は、世界一の秘密を知ってしまった。

私の股の間に、ミケがいる。
ミケの指と舌が、私を気持ちよくしていく。
足をミケの背中に乗せて、足を伸ばす。
伸びた足と太ももに触れて、それから足の裏を舐める。
私の敏感なところなんて、ばれていた。
寝転がっても、足はがくがくする。
先ほどのこともあって、既に濡れていた。
クリトリスを撫でられ、性器を撫でられ、指が挿入される。
水音が、下半身から聴こえた。
きっと凄く濡れている。
「ゆび、ゆ、びっ!」
腰が浮いて、気持ちよくなったばかりだというのに。
離れたと思った指は、膨らんで余韻に浸りかけたクリトリスを撫でた。
全身が、快感に呼び起こされる。
大きな指は、まだ終わってない。
達したばかりのものを弄られる、強すぎる快感に身体の力が抜けていった。
「なまえ、気持ちいいか?」
こねられ、指の腹が何度も行き来するように撫でる。
潰すように撫でたかと思えば、舌でしつこいくらいに舐められる。
ミケの髭が当たって、気持ちいい。
本当は、思い切り舐めて欲しい、それならいろんなとこに髭が当たって気持ちいいから。
もっと恥ずかしいことが言えるようになったら、言ってみよう。
膨らんで今にもはちきれそうなクリトリスに、何度も髭があたる。
大きな指先で擦られながら、舐められる。
そう、まるで、小さすぎるちんちんをミケが舐めているみたい、そんな光景。
摘んで擦られ、頭がびりびりする。
ミケの手を見て、摘まれるくらい膨らんでしまったことに気づき、恥ずかしくても顔を覆う気にすらならない。
「きもちいっ、きもちいからっ!あああ、も、あああああ!」
中に入る指が増えたのがわかった。
二本の指が、中を刺激している。
指と舌でクリトリスは愛撫され、愛液は垂れ流していく。
擦れる指と性器の皮膚が、気持ちいい。
「あっあああ、あ!」
漏れた声を聞いて、ミケは吸い付いた。
分厚い舌が、舐めあげる。
ぞくぞくと頭から這っていくような快感のあと、腰が浮く。
声を殺して、ミケの顔に向かって腰を振った。
びくんびくんと動く腰、まだ慣れてない絶頂。
息を吸うと、冷たく感じた。
でもすぐに、吸った息ごと身体の熱が上がった。
「ひゃ、あ」
達したのに、ミケが吸い付いて舐めるのをやめない。
敏感なそこが、敏感になっていく。
中にあるミケの指を締め付けて、舌で舐められるたび吸い付くようにこねられるたび、腰が何度も浮いた。
締まるお腹は子宮だろうか、膀胱だろうか、とにかく気持ちいいとおなかがきゅうっとする。
「ミケ、あ、あ、あ」
「ん、はぁ。」
だめ、おねがい、そこで喋らないで。
そう言う気になる前に、刺激が強すぎて喘いでしまう。
ミケの歯が、クリトリスに当たった。
「っああああんっ!」
ちゅうう、と吸い付いた唇と、当たる髭。
感覚が押し寄せてきて、私の頭は破裂しそうだ。
がくがくと震える腰を、ミケは片手で抱える。
締めても、愛液は垂れるし、締めれば締めるほど加減がわからなくなって、結局緩む。
「ふ、うう、ぐっ、ミケ、も、私、あああ」
気持ちよくて、舌の動きと指の責める感覚が、ごちゃごちゃになる。
指が、何度も私の中を行き来する。
またイク、ねえミケ、またイクの、ねえ、ミケ、ねえ、ああああ、イクの、あああ、そう言いたくても快感が喉まで上がってきて、言えない。
額から汗が流れ落ちる。
股の皺に、汗が滲む。
何度も痙攣して浮く腰と、快感でちかちかする視界。
そして、また歯が根元に当たって舌で吸い付かれる。
堪らずに喘ぐと、口の端から唾液が落ちた。
「きもちいよおおっ!も、きもち、あ、あ、あ、ああぁぁぁぁぁああぁもおだめえええ!!」
びくん、びくん、それから、股の間がなんか暖かい。
ぼーっとした頭のために深呼吸をするものの、やはり温かい。
なんだか、生ぬるいのだ。
見ると、びっしょりと濡れている。
もしかして、漏らしたのだろうかと我に返り、真っ青になる。
ミケの顔を伺うと、驚きながらも嬉しそうだった。
「頑張ったな、なまえ。」
「あの、これ」
「潮吹きだろう、気にするな。」
よくわからないまま、私は落ち着かせるように撫でられた。
私にはわからない、大人のなにかだろう。
ミケの優しい目が私を見る、唇は私の愛液で濡れている。
「したくなったら、毛布の中にいないで俺のところに来るか、教えたとおりにやれ。」
昂ぶったものを私の太ももに挟んで、覆い被さる。
ぼーっとした頭と赤い顔で、ミケを見つめる。
私の足に挟まれた巨大なそれが、入る日はくるのだろうか。
腰を振るミケを受け入れている間、ずっとミケを見ていた。
快感に押される、男の人の顔。
腰を振ってる間も、私を撫でたりキスしたりすることは忘れない。
気持ち良さそうな吐息の間に、キスと、愛してるとか、キスとか。
幸せな気持ちでいっぱいなことを伝えたくて、私もキスをする。
私の愛液にまみれたミケの唇は、私のにおいがした。
余裕がなくなってくると、ミケはなまえ、なまえ、と言いながらキスをしてくる。
舌を絡んで、離さない。
キスしたままでいると、お腹の上に何かが落ちた。
吐息を受け止めるのも、好き。
大切にされていることを感じながら、おなかに射精された精液を指ですくって遊んでいた。









2015.04.15







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