恋する日




息が白い。
いつ雪が降り出してもおかしくない空を見て、街中を眺める。
どこもかしこもバレンタイン商戦一色で、探し物には困らない。
いつも行く店とは違う、すこし高めのものを扱うお菓子屋に入る。
店内には柔らかい音程が飾られたような歌が流れていた。
恋心を抱いて来店する人が多いのだから、当たり前の選曲で、胸がほんのり暖まる。
店の中が、きらきら光って見える。
当然、色々な種類のチョコレートが並んでいた。
子供向けのものから、ウイスキーが入った大人が好みそうなものまで、ずらりと揃えられている。
どれがいいか、あの人は何に喜んでくれるだろうか。
何がいいか、選ぶ。
思い浮かべる人の顔が、どうか笑顔になりますようにと祈りながら、手に取った。






面倒見のいい、頼れる先輩へ。


どこにいるかも分からない、気まぐれな同級生へ。


到底敵わない、大人の人へ。








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