白の肉感



あにぽよさんリクエスト

・アニとイチャイチャチュッチュッ




髪を結っていないアニの可愛いことを、なんと表現したらいいか。
気が抜けた時は女の子らしくて、すべすべした肌なんか、もう、いつか見た宝石よりも綺麗。
あの宝石を身に着けていたのは、どこかの貴婦人だろう。
路地の隙間から見た、どこかの客人。
記憶の片隅の貴婦人なんか、どうでもいいくらい、アニは美しい。
例えようの無い美しい生き物が、そこらへんで寝ているようだ。
「なに。」
アニの毛先に触れると、声が返ってきた。
「なにもあれもない」
なんにも思ってないふりをしても、どうせ見透かされている。
それならばとアニを触っていると、寝起きのような瞳でこちらを見つめられた。
何も知らない人なら、睨まれたと思うだろう。
瞼が今にも閉じてしまいそうな目は、ただの照れ隠し。
「ねえ、なまえ。」
アニが私に向き合う。
真っ白な肌が、シャツの隙間から丸見えだ。
「風呂、もう入ったから。」
「うん、それは匂いでわかるよ」
首筋で囁いて、耳にキスをする。
アニの手が、私の肩に触れた。
「やめて、恥ずかしい。」
恐る恐る搾り出すようなアニのか弱くて女の子らしい声は、私しか聞いたことがない。
赤い顔をしているであろうアニをそっと抱きしめ、緩やかに寝転がる。
「じゃあやめる」
アニのベッドに寝転がって、頭をそっと撫でる。
なんか話でもしようか、と言うと、小さい頭が僅かに動いた。
適当な話題でも頭の中に転がっていないかと思い出していて、聞きかじったことを口に出す。
「んー、ああ、あのさ、ハンナがフランツとやりかけたってさ」
「へえ。」
「皆年頃なんだよ、ハンナの話、延々聞いていた」
「わからない。」
「そう?」
「好きな人とのことなんて、秘密にするものじゃないの。」
「そうだね、アニと同意見だ。」
しゃぶりかけただの、なんだの、フランツのあれがどうだの、そんな話だった。
興味があるふりをして、その場は抜けだした。
そんなことは、どうでもいい。
興味のある子は、延々と話を聞く。
きっと、好奇心だけは消えないし消えたらお終いなもので、なんとも皆人間らしい。
女の子の間だけでも、ハンナは女王みたいな扱いなのだろう。
それも当然だし、別に嫌悪感は感じない。
年頃を考えれば不思議なことではなくて、当たり前でもある。
フランツはどうだろう、何か言っているのだろうか。
好奇心に勝てないのなら、今頃ハンナのことも男子に広まっている。
予測ばかりの出来事からは話題を逸らしてしまおうとすると、アニがそっと私の体を抱きしめた。
「なまえはどうなの。」
「ん?別に」
「ハンナの話、どう思った。」
「特に、興奮してない」
「そう。」
「アニの近くにいるほうが、よっぽど盛るんだけど」
うふふ、と笑ってアニの唇をつつくと、アニが微笑んだ。
アニの青くてきらきらした目が、私を捉える。
彫りの深い顔に埋め込まれたような青が、ベッドの暗がりで仄かに光る。
涙だろうか、そんなわけはない。
アニの頭を撫でて、額にキスをする。
ぷちゅ、と音がすると、唇からアニの熱が伝わった。
「そうじゃなくて。」
「ああ、うん」
そっと、アニの頬を撫でる。
「私なら話さない」
額の側でそう囁いても、アニは私から腕を離さない。
なにか、思うことがあるのだろう。
アニの頭の中までは分からなくても、目の前にいるアニを抱きしめることくらいはできる。
額と頬にキスをすると、アニの手が私の頭を引き寄せた。
強請るようにキスをされ、舌が触れ合う。
音も立てずに唾液の交じり合うキスをしていると、無意識だろうか、アニが腰をくねらせて私に体を寄せる。
私の太ももの間に、アニの足が割って入った。
お互いの肌は、冷たいわけでもない。
太ももが、私の股の間を押す。
アニが私の頭に手をやることに気をとられていることをいいことに、腰を掴む。
尻の割れ目を探るように揉むと、わずかに舌の動きが引いた。
くねらせた腰を逃がすまいと触ると、舌に軽く歯を立てられる。
驚いたふりをして舌を引っ込めても追撃のようにキスをされて、唇は逃げられない。
小さなアニの体を自分の上に乗せて、また寝転がる。
こうしたほうが、アニの柔らかい体を堪能しやすい。
足を曲げて体を覆ってくるアニの尻を揉むと、呻きなのか喘ぎなのか区別のつかない声がした。
下着に手を入れて、太ももに触れるふりをしてから指先で濡れたそこを撫でる。
まだ何もしていないのに、こうも濡れるものなのか、と思う。
ハンナの話は、なんだっけ。
迫ってきたフランツを、手でどうにかしたとか、なんだとか。
手でどうにかするのは私とアニの間じゃいつものことだけど、男と女になると話は違うのだろう。
今のアニみたく、喘ぎに耐える必要はないのかもしれない。
自分が男ならよかったのにとは、思わない。
女ままでいい、そのほうがアニの体のことはよくわかる。
男の指なら、アニは痛がるだろうし、それだとアニを満足させられない。
どうすればいいか、女なら分かる。
意地のように、アニは私の頭を掴んだまま。
焦らすように撫でれば撫でるほど、アニの舌の動きは苦しそうになった。
唇を吸って、舐めても、詰まった吐息は漏れない。
指の動きだけで我慢をしているのなら、今からすることの先が見える。
よく知った濡れたそこを指でなぞると、溢れた。
溢れた液体で、指は滑りの中に招かれる。
揺れる腰を掴んで、覆いかぶさってしまいたいと思っても、アニに乱暴なことはしたくない。
焦らすような動きをすればアニは喘ぐ。
顔にも声にも出さなくても、可愛らしい。
指の滑りを楽しんでいると、アニの鼻息がすこしだけかかった。
私の頬に、金髪の毛先がかかる。
目を開けても、アニの睫毛しか見えない。
中に指を埋めかけたとき、アニが唇をずらしてシーツに顔を埋めた。
白い体が、私の上で蕩ける。
吐息をシーツに向かって吐き出しているアニに、囁く。
「アニがこんな可愛い顔すること、誰にも言わないよ」
わざとらしく指を動かすと、腰をずらされた。
それから、おでこを叩かれる。
アニの顔は、真っ赤だ。
「可愛い」
「やめてよ、ねえ。」
「アニ、可愛い」
「なまえ、やめて。」
素直にそう言うと、私の胸にアニが倒れこんだ。
熱い頬を押し付けて、私の肌で顔を覆う。
「本当、恥ずかしい、なまえって。」
「褒め言葉として受け取るわ」
アニの下着から手を引いて、背中を撫でると、胸にキスをされた。



2014.12.22




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