奴隷以下の屑に褒美を



一周年だから!一周年だから!一周年だから!と自分自身に気合を入れて書いた結果こうなった
キース教官のハゲ頭に敬礼したい







朝、目が覚めて、ベッドの隣にいないことを確認して部屋の中を確認すると、朝の支度をしている背中を見るのは何度目だろう。
数えたことが、あったような気もするけれど、ないような気もする。
「今日は何だっけ」
寝起きのだらしない声でそう聞くと、何をせずとも伸びた背筋の向こうから声が聞こえた。
「立体起動訓練だ。」
顎鬚を整えて、首についた水滴をタオルで拭いている。
ぼうっとした寝起きのまま、起き上がり両腕を伸ばして体を伸ばした。
背中の筋肉が締まり、頭が覚める。
鼻の奥に溜まった香りはなんだったか、覚えていない。
きっとベッドの香りがいつまでも鼻腔に染み付いている。
シャツにズボンにブーツ姿のキースを見つめると、朝日が目に飛び込んできた。
眩しくて目を細めたついでに笑って、愛しい人を労わった。
「んん、なら、夜まで私は街ね」
「用事があったか。」
「買出しとかしておく。ここでも、ないと困るものとかあるでしょ」
「そうするといい。」
「訓練なんだ、今日も」
「当たり前だ。」
「そっか、疲れるでしょ、夜に背中揉んであげる」
「生憎だが、体は鍛えている。手を借りる必要は無い。」
堅苦しく、人を寄せ付けない。
団長であった頃の、威厳がそのまま。
その威厳は新兵を育てるために、鬼教官としてのものに変わって、まだ数年。
丸めた頭も、伸ばした髭も、どう足掻いても本人であることには変わりない。
強く、誰もが畏怖を抱く、言い方を悪くすれば、怖いおじさん。
「なによ、私のおっぱいは沢山揉むのに」
怖いおじさんにそう言うと、眉を顰められた。
「朝からなんだ、なまえ。」
「いやあ、こう、今起き上がったら絶対流れ落ちるなあって感じがする」
肉壷の中から、今にも流れ落ちそうな感覚。
女だけが分かるその感覚は、とてもじゃないが男性にはわからないだろう。
キースは洗面台にあったタオルのひとつを掴み、私に向かって投げた。
「受け取れ。」
「わっ」
宙を舞うタオルを掴むべく、咄嗟にベッドから起き上がりタオルを掴むと同時に、性器からどろりと精液が漏れた。
「あ、漏れた」
反射的にそう言うと、キースに鼻で笑われた。
でも、どこか楽しそうな笑みを浮かべているのを見て、掴み取ったタオルで股を拭いた。
漏れ出した精液はシーツに落ちておらず、拭いて股に挟みこんでからシーツの上に座ると、じわりとタオルが生暖かくなるのを感じた。
「水でも浴びてこい。」
「ああ、そうね。そうじゃないと、またミケ分隊長に嗅がれて逃げられるものね」
股に挟んだタオルで、胸と腹を隠した。
まるで風呂上りのようにして、わざと体を見せず、脚を組んだ。
「あの人って誰の精液の匂いまで分かるのかな?」
「そこまで把握していないと思いたいが、分かってほしいと思うのか、貴様。物好きな奴だ。」
「出た、教官言葉。私その口調好きよ」
好きよ、と言うと、キースは赤面した。
きゃははと笑ってシーツに寝転がって、股に挟んだタオルを投げた。
「やってよ、貴様は豚だ!とか、貴様はクズ以下の泥だ!とか!あれ大好き!」
私が下品に、誘うように笑うと、気分だけが高揚する。
年上の怖いおじさん、威厳まみれの厳しいおじさん。
訓練兵が、一番怖がる存在。
その人を翻弄させたい。
それだけのために、キースの前でだけ娼婦になる。
「やめてくれ、なまえ。女に命令するのは好きじゃない。」
「そう?私は兵士一人ひとりに怒鳴る貴方も大好きよ」
ふざけた声を消して、真剣な声でそう言うと、ふっと雰囲気が変わる。
「そうか。」
冷たい目、色んな物を見てきた目。
きっと、この人が経験した数々の思いを全て理解できるような日は来ないだろう。
だから私は、女に産まれたのだと、そう思っている。
「物好きな奴だ、女として接されるのが嫌と言いたいのか?」
「ううん、貴方が好きだから、全部好き」
そうすれば、合図が入るように私は舌を出した。
ベッドから降りて、膝立ちになってキースの手の甲を精液くさい舌で舐めた。
ぷちゅ、と音をさせて伏し目がちする。
手の甲から指の間に舌を滑らせ、わざと音を立てた。
丁寧に舐めていると、キースが私の顎を掴み、自分に顔を向けさせた。
「貴様は奴隷以下だ、余計な口は叩くな。返事は分かっているな。」
威圧感のある声が、部屋に響く。
その声は私にだけ向けられているもので、体の芯が熱くなった。
「はい、教官」
「奴隷には躾もない、貴様は言う事を聞け。」
「はい、教官」
キースの顔を見てそう言ってから、床に四つんばいになって後ろを向いた。
精液まみれの尻が、キースから丸見えだろう。
ブーツで蹴っ飛ばされたときの鋭い痛みや、唾を吐きかけられたときの生暖かさを心の奥底で期待していると、軽蔑が聞こえた。
「誰が這えと言った?」
四つんばいのまま、キースを見る。
冷たい目が、見下ろしていた。
「頭の中身も無いようだな、貴様のようなクズを躾けてやる。」
数歩近寄って、しゃがみこんだキースが私の尻を撫でた。
労わるように何度も何度も撫でている、でも、精液が垂れ、湿るそこには触れてくれない。
今にも腰を動かして、ねだりたい。
そう思ったとき、パアンという音と共に鋭い痛みが尻全体を刺すように包んだ。
ひっ、と詰まる息の間もなく、何度も何度も、叩かれる。
大人の男の力だ。
数発だけでも痛いのに、何度も叩かれ、太ももの裏の血の気が引いていくのを感じて、頭がくらくらした。
足首あたりまで血の気が引いたあたりで、叩く手は止まった。
息を切らして、下半身に巡る熱さと痛みに震える。
呼吸は詰まり、今にも喘ぎそうになった。
息を殺す私の顔を覗き込むと、ちゅ、とキスをされる。
くらくらした頭に刺激を与えられて、答えられずにいると胸を掴まれた。
「んんっ」
「そう鳴くのか、雌の匂いを垂れ流す猫と変わらないな。」
何度も尻を撫でられ、背中を指が伝う。
背中、首、耳の裏、順に指が伝っていく。
耳の裏にある指が耳の穴に入った、と思わせて、キースは私の胸を叩いた。
尻とはまた違う、柔らかくてハリのあるものを叩いたときの音。
なんでもないときに聞いたら、思わず笑ってしまうだろう。
無駄に大きい胸も、こういう時だけは役に立つ。
何度も叩かれ、抓られ、痛いくらいに乳首が疼いた。
顔を引き寄せられ、痛みで朦朧とする私の唇に乾いた唇が触れる。
「何度叩いたか、言え。」
回らない頭で、なんとか引いた血の気に持っていかれた感覚を思い出すように、回数を思い出す。
「じゅ、う、にかい」
すぐに、先ほどとは比べ物にならないくらいの強烈な一発が尻に叩き込まれた。
平手の音が、耳から脳に伝わるようだった。
耐え切れず、尻を突き出した状態で上半身だけ崩れ落ちる。
もっとキスをしたいけれど、それは褒美。
動物のような体勢で、広がる痛みに快感を覚えた。
「十四回だ。体に叩きつけられた痛みの数も覚えられないとなると、豚小屋の餌箱にでもなるか?」
口の端から、唾液が垂れる。
拭くわけにもいかず、床に唾液が落ちる。
それを見たキースが、頬を掴んだ。
唇に、唾を吐きかけられる。
生暖かさを舐めとりたいけれど、それをしない。
唾を舐めろとは、言われていないからだ。
でも舐めてしまったらどうなるのだろう、気になるけれど、耐えるのも気持ちいい。
何も言わず、ただ見つめてくる。
服従の言葉があれば、このまま続ける、なければ、ここでおしまい。
暗黙の了解だった。
「あ、なた、だけの、私に」
辛うじて出た言葉を褒めるように、唇に軽くキスをされた。
なんで軽くなのだろう、と思うと、抱き寄せられ突き出た尻を思い切り叩かれた。
うぐ、と息が詰まり、それから息を吐き出す。
「乞うとは良い身分だな、貴様の誠意を見せてもらおうか。」
ゆっくりとキースから体を離し、痛みで震える脚に鞭を打って膝立ちから崩し、キースに尻を向ける体勢になった。
太ももの裏側に、熱が伝わる。
筋肉が締め付けられて、痛みに燃える熱が、大好き。
「私は、豚です、あなたのための」
興奮で体の中が締め付けられて、愛液が溢れるのが分かった。
心地のよい苦しさが、腰を縛る。
「私は雌の奴隷です、種付けしてください」
「いい子だ。」
尾てい骨のあたりを、ブーツで蹴り上げられた。
鈍い痛みと共に、ずるりと床に這い蹲る。
「ぎっ、い」
床に思い切り倒れこんだおかげで、腹を擦りむいた。
あとで舐めてもらおう。
「痛いか?熱いだろう、焼き上げたら、もっと熱い。」
蹴り上げた部分を、踵で踏みつけ、力を入れたり弱めたりして、私の反応を楽しんだ。
漏れる苦痛の声には、喘ぎが混じる。
「烙印でも押すか、奴隷には調度いいだろう。」
ごん、と背骨の付け根を踵で押し付けられ、背中が張る。
私が動けなくなったのを見て、キースは私を乱暴に抱き上げ、ベッドに落ちるように倒れこんだ。
シーツに触れた尻に、痛みが走る。
「おしり、あつ、うう」
顔を顰める私を見て、突然心配そうな顔をしたキースは囁いた。
「苦しいのか?」
優しい声、問いただす穏やかな声。
体に残る痛みと混ざり合って、どうしようもなく欲情する。
「やめないでえ、叩いて、もっと叩いて」
腰を抱えられ、膝の上に太ももを乗せられる。
腰が浮いて、シーツに触れることによる尻の痛みからは解放された。
足を開かされ、両手を引っ張られ足首を掴むように誘導される。
自ら足を開いている姿にされ、その姿をキースはしばらく見つめた。
私が言い出すはしたない言葉を待っている。
仰向けで足を開いて、足首を掴んだ体勢のまま腰を動かして、なんとかキースの腰に自分の体を近づけようとしたけれど、上手くいかない。
まだ私を見つめたままだった。
無言でも分かる、何をすればいいか、自分に聞く。
キースを見つめながら、そっと右手だけを足首から離した。
右手だけ動かして、指を性器に滑らせる。
「んんっ!」
指先を粘液の中に埋めたのかと思うくらい、濡れていた。
考えることもなく、自慰行為をする。
「は、ふ、うっ、んっ、ふうっ」
目を閉じて、何度も快感を探った。
だらしない姿で喘ぐ自分の惨めさに、後ろ暗い興奮が背筋を熱くさせる。
「わた、私の、声・・・豚みたいでしょ?」
「ああ、貴様は豚だ。」
豚、と言われて、子宮が疼く。
快感の糸を手繰り寄せたところで、キースが私に覆いかぶさった。
「何の役にも立たないクズだ。」
平手打ちが頬に飛んできて、頭がくらりときた間もないまま、優しくキスをされた。
ぬちゅ、と唇が触れる音は殴打の音とは比べ物にならないくらい、優しい。
「高飛車なふりをして、男の前では雌のように股を開くのだろう。」
性器に、自分以外の指が触れた。
太くて、大きな、男の人の指。
ようやく触ってくれたのが気持ちよくて、キースの指を気持ちのいい部分に寄せる。
ここを触って、そう目で訴えると、生ゴミでも見るかのような目をされた。
「生意気な女だ、なまえは開拓地で慰み者にでもなるのがお似合いだろう。」
胸を掴まれ、ぐっと力を入れられた。
キースの指が胸にめり込んだ、というよりは、埋もれた。
「頭にいくはずのものが乳にいったのか?」
ぎゅ、と胸を掴まれ、寄せられる。
大きな手に蹂躙されるように揉まれる自分の胸は大きいから、揉むのが好きなのは知っている。
「巨人の相手に疲れた兵士を慰めても、貴様の欲望は尽きないだろう。」
まったくもってそのとおりなことを言われ、見つめあったまま、焦点があっていないであろう快感に溺れた目で、私は微笑んだ。
「こうされるのが好きな女は、何の役にも立たん。」
乳房を叩かれ、堪らず叫ぶように喘ぐと、何度も叩かれた。
赤くなっていく乳房が、ひりひりする。
そっとキースの手の平が性器に触れた。
それだけなのに、待ち焦がれていたように反応してしまい、腰が引ける。
指が性器を行き来する、それだけで、達しそうだった。
「惚れた男の前で、醜態を晒していろ。」
ようやくキースがズボンを下げて、体の中に異物感が表れた。
それだけなのに、腰から全身にかけて快感が締め付けた。
本能のままに漏れる声が、止められない。
髪を掴まれ、口に入った髪の毛がぬるりと舌を撫でてから唇に触れた。
覆いかぶさったキースを見つめながら、自ら腰を振った。
腰を少しあげて、腹に力をいれて、爪先にも力を入れれば、女でも腰を動かせる。
「わ、わた、しは、んっ!駄目な兵士です!」
胸の下から、汗が滴り落ちた。
膝の裏は熱く、顔はもっと熱い。
「教官と、こんなことするのが好きな、兵士失格のっ」
顎を掴まれ、喉がひゅっと絞まる。
ちゅ、と唇が触れる程度のキスをされた。
「減らず口を切り落とされるのと、削ぎ落とされるの、どちらがいい。」
「はい、教官の、言う事ききます、だから」
自ら振っていた腰を掴まれて、動きを止められた。
中で、キースのものがすこし膨らみが大きくなったのが分かった。
私で興奮してくれている、それだけで、満たされてしまう。
「キスできないのは嫌なので、それは、勘弁してく、だ、さ」
キースに触れられているところ、脳内、腰、性器から痺れるような感覚が滲んだ。
腰を掴んでいた手を離し、もうすこし、もうすこしと、なんにもないところを目指している私の頬を、キースが撫でた。
私の汗がキースの手に滲んで、湿る。
キースの親指で口の中に入って、舌先を押された。
口が閉じられず、涎が垂れる。
それでも求め続け、息を荒くし腰を振る姿は、なんてだらしないのだろう。
「ん、ん、ふうっ・・・!ん!」
「発情期か?だらしなく腰を揺らして、醜いぞ。」
自ら腰を振ることに慣れてきたところで、キースが私を抱きしめた。
膝の上から太ももも足も下ろして、足がまっすぐに放り投げられる。
足首から先に血が流れる痺れを感じて、またも動けなくなった。
それでも、目の前の人が愛しくて、なんとか動く腕で抱きしめた。
ゆっくりと足を開かされ、普通にされる。
ごく普通の、そういう行為。
普通にするときは、乱暴に腰を打ち付けたりはしない。
床に這ってたおかげで擦れて痛い膝を曲げて、膝裏から流れる汗が踵にまで滴るのを感じた。
中で動くのと、擦れるのと、淫猥な音がする。
それと、互いの荒い息。
疲れきった腕と腰と足を休めるように、吐息を吐く。
足の先に、血が巡るのがわかる。
痺れたままで、足が動かせない。
動かせるようになるまで、少しかかるだろう。
痛みと疲れを快感で掻き消しているうちに、キースが今にも達しそうな表情をした。
余裕のなさそうな、この時にしか見せない表情。
恥ずかしそうな、普段の怖い顔からは想像もできないような顔。
キスをしたけれど平手打ちは飛んでこないので、もう出そうなのだろう。
乾いた唇を濡らすようにキスをして、わざと膣内を締めた。
こういうことを教えたのも貴方なのよ、と言わんばかりに締めたり緩めたりしていると、キースのほうから遮るようにキスをしてきた。
同時に、中でものがびくりと動いて、腹の底に何かが出されたのがわかる。
「はあ、あ」
奥に広がる、わずかな感覚。
引き抜かれることはなく、繋がった部分から粘液がぐしゅりと滲んだ。
それから、じんわりと広がる絶頂。
息を詰まらせ、体がびくりと動く。
中にある精液ごと、取り込んでしまうように達した。
「よく頑張ったな、偉いぞ。」
髪を掴んでいた手を解いて、キースは私の頭と頬を撫でた。
ぼうっとする私にキスをして、両手で頬を覆ってくれて、それからまたキスをされる。
肌が触れ合うことで、まだ反応してしまう程には興奮してしまったようで、覆われた頬の温かさで爪先が丸まる。
「ん、あ、まだ腰とまんない」
達したばかりの余韻で、痙攣するように何度も腰が動いた。
もっとしたい、と体が言っている。
「酷い事を言ってしまったな、なまえ、もう大丈夫だ。」
終わりには、いつもこう言う。
頬や肩、腹を撫でられ、体が落ち着いていく。
「可愛らしい顔をしている。」
先ほどまで私を叩いて蹴り飛ばしていた怖いおじさんは、素に戻った。
私の額に浮かぶ汗を手で拭いて、涙の浮かんだ目尻をぬぐってくれた。
「そういうこと言うから、またやりたくなっちゃうんだけど、わかってる?」
そう言うと、キースは何故か顔を赤らめた。
貴方の前でだけ娼婦になる私が、平然とした顔をしているのに、なんともおかしな状況だ。
私がうふふと笑うと、頭を撫でられた。
怖いおじさんを翻弄させたい、それは子供じみた気持ちで、本当はただこの人が好きで堪らないだけなのだ。







2014.06.08


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