由緒正き婚後交渉



さやさんリクエスト
・不憫な噂があったナイル夢で新婚幼妻変態プレイ





私に覆いかぶさって責め立てる、この旦那様についてタブーな裏話をしよう。
ある時立体機動に失敗し、その際下半身を強く打ち付け、男性としての機能がなくなった、という話。
そんな話が出回っていたせいで、女性とああなったこうなったなんて話は聞いたことがない。
そういう話がされるのも、酒の席でかつ酔いが深く回ってきた時じゃないと聞けないから、私が知れたのも奇跡。
大人しそうで幼い見た目の私には、問題の捌け口がなさそうに見えるおかげで、変な噂はよく耳にする。
でも噂なんて気にしない。
ナイルさんは真面目で、冷たい。
たまにおちゃらけるけど、そんな姿は滅多に見られないし見られるわけがない。
そう思っていた。
私はナイルさんが所謂浮いた話がない男の人だったから、なんとなく安心して近づいてきたナイルさんを振り払わなかった。
それに師団長だ。
振り払えるわけもなく、近づいてくるナイルさんが不思議でならなかった。
ナイルさん、と呼ぶまでは師団長と呼んでいたし、感覚が抜け切らないまま上塗りされた。
憲兵団によくいる男の人は、ふざけてたり腐ってたりして好きじゃない。
私は背が低いから、ナイルさんに抱えてもらうと目線が高くなって嬉しいし、抱きかかえてくれたナイルさんの腕の中の居心地がよかったから、ナイルさんによく笑顔を見せるようになった。
憲兵団のトップが、たまに素顔を見せてくれるようになって、私も惹かれてしまったのだ。
体が小さくて小回りがきく私は、憲兵団にいても悪い意味で目立つし、見た目が子供みたいで疎外感がいっぱいだったから、ナイルさんが気にかけてくれるのが嬉しかった。
だから、ナイルさんに結婚しようと言われて、はいと答えた。
結婚するまでは、健全だった。
そう、結婚するまでは。

ぎしぎしとベッドが軋む。
このベッドはそんな古くないから、ナイルさんがいかに荒っぽく私に腰を打ち付けているか分かる。
私の小さい体じゃ、大きい体は全部受け止め切れない。
きっとそれがいいんだろう。
小さい私が犯されてるみたいにやられているのが好きなのかな。
荒っぽいものが好かれるのは、いつの年代でもそうなんだろう。
「ああ、やぁぁ、ナイルさ、ん、ナイルさぁん」
揺さぶられるように突かれるたび、声が途切れてしまう。
「猫みたいな声あげて、ねだってるのか?」
顔にかかった髪の毛を払おうと、首を横に振ると首筋に強めのキスをされた。
キスをされた中心が、柔らかい針で刺されたようにじんわりと熱を持つ。
「首のとこが赤いぞ、これで人前で団服は着崩せないな。」
つけられたキスマークを想像しながら、ジャケットで隠れることを祈りつつ顔に張り付いた長めの髪の毛を取り払った。
口に入ったりして毛先が唾液まみれになる後々のことを考えると無駄な行為であることには間違いない。
「恥ずかしいの、皆にばれちゃうよ」
「結婚したんだから全部ばれてる。」
「な、なんでえええ」
「なんでじゃないだろう、やっていい範疇のことはやる。」
次々と落とされるキスマークに、首が所々熱を持つ。
シャツから見えるところに、わざとしているのかもしれない。
それならそれで、しばらく人前に出なきゃいいだけ。
ああ、でも、人前に出なかったことで何か疑われたらどうしよう。
結婚しても、恥ずかしいものは恥ずかしい。
何回やっても慣れなくて、空いてる手はナイルさんを抱き寄せる前に自分の顔を覆ってしまう。
指の隙間から見える旦那様は、行為の時だけ男の人の顔になる。
仕事で疲れた顔を癒すのが私の主な仕事だけど、こういうことも当然仕事。
何もかも初仕事なのだ。
初仕事だからという言い訳は通用せず、殆ど成すがまま手探りで抱き合っている。
いつも無愛想な顔をしているナイルさんは、私を責めるのは楽しいようだ。
私の胸を揉みしだいていた手が結合部付近に移動して、乾いた指が性器を撫でる。
「ここが好きなんだろう?」
「んぁっ!」
結合部を撫でられてから、一番感じる突起を撫でられる。
ナイルさんとするまで、自慰行為すらまともに成功してなかった私には、全部がとても刺激的。
「言ってみろ。」
高圧的な口調のままのナイルさんも、命令されているみたいで好き。
反り返った背筋が熱いまま、突起を撫でられて目を瞑る私に快感が走る。
「じゃないと気持ちいいのはナシだ。」
ふいに離れた指が、快感を止めた。
やめないでと口に出すわけにもいかず、言わずとも約束された言葉を口にする。
「なまえは、ナイルさんに、クリ、クリトリスを・・・」
言っている言葉があまりに恥ずかしくて、赤い顔が更に赤くなる。
垂れてきた鼻水を指で拭いてから、一滴零れた涙を拭いた。
「ナイルさぁん」
懇願しても、興奮した男の人は許してくれない。
これ以上泣いたら絶対に鼻水まで垂れてくるだろう。
熱すぎて体液という体液が出そうな私を、知り尽くされた指が弄ぶ。
「なまえ、ちゃんと言えるだろう?」
「なまえは、ナイルさんに、クリトリスを弄ってもらう・・・もらうのと」
一息ついて恥ずかしい言葉を思い出して、口に出す度どんどんいやらしい体になっていく気がした。
いやらしい体はナイルさんのものだけど、それにしたって恥ずかしい。
「ナイルさんの、お・・・おち」
「聞こえないな、なまえ。いい子じゃないなまえは大人じゃないぞ?」
私が子供っぽいことを知っての上での、この発言。
楽しまれているのか、それとも本当に興奮されているのか分からない私はやはり子供なので、この際どちらでもいい。
随分前から言わされている言葉は慣れず、きっと全部ちゃんとつっかからずに言えるまで続く。
嫌ではない私も、どんどん教え込まれているに違いない。
「ナイルさんのおちんちんが大好きです・・・ふぁ、やぁ」
言い終わってから襲い掛かる羞恥に耐えて、なおも止まない責めにぽろぽろと涙が零れる。
悲しいわけでもなく、恥ずかしくて気持ちよくて出る涙。
時たま涎まで垂れそうになるので、口はきつく結んでいる。
中を刺激されて漏れる声も、最低限にしてはいた。
快感に慣れておらず耐える私を、もっとオープンにしようとナイルさんが提案した内容。
私が恥ずかしい言葉を言う、それが最近の私達の内容だ。
「恥ずかしいよう、ナイルさん」
「もっと恥ずかしいことしたじゃないか。」
今まで何をしたっけ、舐めたり、私がナイルさんの顔の上に乗ってそのまま舐められたり、ある時は裸のまま外に連れていかれそうになったり。
見た目のわりに性欲が強いのは男の人の特権。
「セックス初めてだった時のなまえは可愛すぎてヤる前からイキそうだった。」
ふとした時のこういう言葉も、全部特権。
憲兵団の同僚の女の子の中には、そういう経験が豊富な子もいたし、話もよく聞いた。
男の人は何でも優位に立ちたがるらしいけど、そのほうがいい。
特に年上の人なら、そうしてもらわないと経験のないこちらがどうしていいか分からない。
「ほら、なまえ。ここはどうなってる?」
「私の、中に、ナイルさんのおっきいのが、入って、るよ」
挿入していたものをいきなり引き抜くと、私の股の間に顔を近づけ、ざらついた舌で舐めた。
異物感が突然なくなった膣内が、ずるりと下がるように疼く。
こうして舐められるのが、感じることを知られている。
体を重ねる度に、次々と何が気持ちいいのか分かってしまう。
「ああぁ、ナイルさ、ナイルさぁん!やだあ!」
足をばたばたさせると、易々と膝裏を掴まれて持ち上げられてしまった。
辛うじて動く足を動かすと、踵がナイルさんの肩あたりに当たった気がした。
「本気で嫌がってるようには見えないな。」
感じながら足を暴れさせる私を見て、股の間から顔をあげる。
不思議そうな顔を見て、隠すまでもなく本音が出てしまう。
「だって、あ、お髭が」
「髭が?」
「お髭が当たるよう、だめ」
どこに、とは言えなかった。
ナイルさんが舐めると、口髭が私のクリトリスに触る。
思い切り舐められるから、どうしても当たるのだ。
「舐められるのが気持ちいいのか、そうかそうか。」
赤面の裏に隠された思いは伝わったようで、舌での愛撫が続行された。
「やぁ、ひぁあ、ああああ」
いつもよりもずっと高い声、喘いで感じてどうしようもない声。
ナイルさんじゃないと聞かせられないこの声の持ち主は私。
行き場のない熱は、全部セックスになる。
結婚してこうもなってしまうと、何もかも変わってしまいそうだ。
「何回見ても、なまえの白い肌は精液かけてもわからなさそうなくらいの白さだな、いやらしい体してる。」
そう言えばまだ顔や体にかけられてない。
割かし乱暴な腰使いでも、綺麗に扱ってはくれている。
私だけが感じて涙や涎で顔を汚していることばかりで、感じ方としては幸せなんだろう。
「んっ、もっと、もっと」
顔を覆っていた手をようやくナイルさんに伸ばして抱き寄せてから、自分から腰を動かした。
ぎこちない動きで、動かれても気持ちよくはないだろうけれど、精一杯だ。
挿入したままの体の動かし方は、まだよくわからない。
「エロくなったな、なまえ。この前まで処女だったとは思えないな。」
「ナイルさんも私が初めてだったじゃない」
「内緒だろ、それは。」
途端に、照れてばつが悪そうにするナイルさん。
すこし勝った気分になって微笑むと、すぐに抱きかかえられた。
「昔話をする悪い子はこうだ。」
挿入されたまま足をあげられ、体勢を変えられる。
うつぶせになった体、挿入されているので突き出した尻を見て、ナイルさんが軽く一発右の尻を手の平で叩く。
気持ちいい程度に叩いてくれたので、中に入っているナイルさんのものを締めつけた。
「んっ、ん!」
叩かれてぞくぞくと尻から背筋、首から頭へと走った痛みと快感のおかげで、とうとうきつく結んでいた口が緩んだ。
だらしなくシーツに放り投げられたような体を荒っぽく扱われて、緩んだ口からは喘ぎが止まらない。
顔をつけているシーツに涎が垂れて染みていくのがわかる。
痛かった尻と下半身から揺さぶられる振動に、覚えたてのような感覚がせり上がってくる。
気持ちよくて自分からも腰を振ると、抜けそうになったけれど、それでもうつぶせのまま振りにくい腰を振った。
「やぁぁ、いく、いく、いくの、ああぁ」
自分から求めて達するというはしたない真似をして、反射的に体を縮ませる。
繋がっているところの奥から広がる絶頂に、声にならない悲鳴のような喘ぎが出た。
誰かが聞いたら、殴られる直前だと聞き間違えてしまうような声。
私が快感に喚いてる間もずっとナイルさんは責め立て続けて、私の声が途切れる頃に中で達したようだった。
奥のあたりでじんわり広がるような感覚がしたあと、うつぶせの私の上にナイルさんが覆いかぶさる。
背中にくっつく胸筋が汗ばんでいて、触れ合った肌がぬるぬるした。
「あつい・・・」
だるくて体を動かす気にもなれない私の呻きはなんとか言葉になった。
目を閉じていると、頭を撫でられて汗まみれの額にキスをされる。
汗まみれの私に対してナイルさんの唇は思いのほか乾いていて、あの唇が性器に触れていたことを想像してからまた目を閉じた。
「よく頑張ったな、なまえ。」
「ナイルさん、えっちだよ」
「なまえのほうがエロいだろう。」
瞼が重い私を撫でる手が、温かい。
目を閉じても、開けても、大きな手に頭をよしよしと撫でられる。
セックスのあと男の人はすぐ動けるけれど、女はすぐに動けないと聞いたことがあるけれど、経験したあとに真偽を知った。
撫でられながら、深夜独特の音の静けさが耳に触れて、今は何時だろうとまともに頭が回る。
「私達新婚なんだから、ね?ナイルさん毎日寝不足じゃ駄目だよ」
腑抜けたらどうするのと言っても、難しそうな顔しかしない。
その顔が緩んだら、けっこう愛想がいいのを知っているから安心していられた。
「そうだな、なまえが大事だからな、どっちか捨てろって言われたら憲兵団捨てる。」
「そうじゃないでしょ」
冗談を言うナイルさんを、痺れるように疲れた腕を動かして抱きつく。
抱き合ったら改めてお互い汗まみれだった。
「疲れたらぎゅうって抱っこしてあげるから」
性欲に駆り立てられ疲れた頭で出てくる愛の言葉は、とても小さい表現で。
「なまえ、可愛い。」
それでもそう言われると、なんだかんだで胸はときめく。
所謂新婚さんなのだ。
「ところでなまえは露出とか野外に興味ないか?」
「ないです!」






2013.12.10



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