#05




二人で意気揚々とコートに入り試合を始めたが、文字通りコテンパン、とはいかなかった。
テスト期間で朝練を許可されていなかった為、無断でコートを使っていたのが先生に見つかり中断せざるを得なくなったのだ。

大人しく説教を食らうのは勘弁、とばかりに二人揃って駆け出す。追いかけてきた先生は幸い体力には自信がなかったらしく、何とか撒けた。

一旦立ち止まってぜえはあと荒く息をつき、お互いに顔を見合わせる。



「怒られちゃったっすね」

へへ、と頭を掻いた赤也だったが、特に深く反省している様子はない。それに頷く仁王も同じだった。
こと規律・規則といったものに関して、仁王と赤也は奔放な方である。


「きっと明日から張り込みが入るぜよ」

「げー!・・・あーあ、テスト期間っつったって、まだテスト当日まで3日もあるじゃないっすかあ〜・・・」

「3日の間に、無い脳みそに詰め込んどけっていうことじゃろうなあ」

「今更無理やり詰め込んだって、頭に入んないっす」

「赤也はアレか、分からん問題が分からんっちゅータイプか」

「その通りっす!」

それは大丈夫なんだろうか。
一瞬、青筋を立てて肩を怒らせる真田の姿が脳内を過り、仁王は身震いした。






教室までの道すがら、意気揚々とラケットを回しながらガムを噛んでいる丸井と対面し、仁王と赤也は失礼にも指を差しながら爆笑した。

親切に忠告してやると、丸井は心底つまらなさそうな顔をして「っていうか俺らほんとテニス馬鹿だろぃ」と言った。

来た道をそのまま引き返すのも癪だったのか、購買に行くと言った丸井に付き合わされた。赤也も共に連れ立って。
顔馴染みのおばちゃんと話しながら菓子パンを物色する丸井は、テニスをしているときと同じくらい生き生きとしていた。が、その量はやめた方が良いと思う。
赤也を見ると、同じく複雑そうな顔をしていた。


「目を瞑るのも友情じゃ」

「アンタめんどくさいだけでしょ」



今日に限ってお弁当を持っていくのを忘れたらしく、運の悪いタイミングでやってきたジャッカルがお代を払わされていた。哀れ、合掌。










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