・アマ燐
「おかしいなぁ…何でそんなに痛そうじゃないんですか?」
独り言のように漏らしたアマイモンの言葉に俺は手放しそうになった意識を取り戻す。
アマイモンの冷たくて鋭く長い爪が背中を引っ掻く。
皮膚が剥がれ血が流れ出すのが自分でもわかった。
「あぅっ…」
「やっと感じてくれた」
アマイモンは心底愉しそうに笑った。
何がおかしいのか俺には和からなかったが、このままではマズイと感じて床を這ってでも逃げ出そうとする。
しかし髪をおもいきり掴まれ、それは不可能となった。
「ダメじゃないですか、逃げようとする悪い子にはお仕置きが必要だと兄上が教えてくれました」
アマイモンはそう言うなり、俺の両腕を上で縛り、貪るような口付けをされた。
不思議な事に男の咥内からは鉄に似た味がして。
(ああ、不味い)
日記より