蝉時雨と避暑35 | ナノ
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蝉時雨と避暑
ある暑い日の話
01
張り付く髪を頸筋から指でさらう
02
軒先で泳ぐ風鈴へ団扇で風を送る
03
鼈甲飴へ透かした青を喰らう昼間
04
陽炎を食んで仕舞うはみどりいろ
05
日を仰ぐ花弁の隙間へ揺れるは滴
06
堂々巡りに恐れるのは長い夕暮れ
07
背向の逃げ水を少年は手鏡へ写す
08
下蔭で溶ける陽射しの匂いを呑む
09
昼日中の軒下で貴方に触れる陽炎
160506~