最後に笑う者の笑いが最上
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さて翌日。権限で自分を一日オフにした俺は、存分に今日朝遅く寝た分を取り戻すように昼間十一時に起きた。悪者は総じて夜間に行動するものであり、故に悪者退治も夜間に行うべきだ。まあ本当に俺達が正義で奴らが悪だという保証は無いが、俺が今日あの船に乗り込むのも、よくもまあ俺の手を傷つけてくれたなという私怨である。

寝起きの顔を洗い、一通り支度をして自室から出ればすぐさま山崎はひょいひょいとよって来た。目の下の隈が濃い。

「土方さーん頼まれた仕事出来ましたァ!」
「ああ、報告しろ」

自室の中に山崎を招き入れて、二人向かって座れば、山崎は手の内の資料を俺に渡した。今日未明、山崎に万事屋の護衛と共に頼んだのは船の居所とどこからどのように潜入すれば一番よろしいかということだ。船といえど海に浮かぶものではなく空を自由に闊歩するものであるからして、空から潜入しなければならない。俺の頼りない知識だけではヘリでもない限り無理だろう。

経路を確認し終え山崎に下がれ、と命ずると、奴は廊下に出た後に、にぱっと笑んで頑張ってくださいねえと手を振った。山崎は天井裏から会話を盗み聞くという悪癖があり、今までにも前科が多数有るが、おそらく今日未明の俺が総悟に言った言葉も聞いていたのだろう。これだから忍びってやつは厄介だ。

「……さて、一仕事してくるか」

襖を開けば燦々と照る太陽が眩しい。本日は快晴也、夜になれば綺麗な満月が見れるでしょうと結野アナも言っていた。満月の元に悪人を裁く、正に悪者退治に適した日である。
 
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