回禄の災い
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面倒だが江戸の善良なとは正直言えない市民を守るのも俺達真選組の仕事だ。もう一度刀の柄に手を掛け抜けば、岡田は矢鱈嬉しそうににやりと笑った。戦闘馬鹿の考えることは分からない。なんだって戦うことが楽しいのだろうか。

「総悟、万事屋を連れて逃げろ」
「……カッコつけんなよ、土方さん」

俺の言葉に万事屋はやいのやいの言っていたようだったが先程の通りかなり邪魔かつ早く手当てしないと危ないほどの傷だからかなり邪魔だ。大事なことだから二回言った。つかマジで俺が折角お節介焼いてるんだからさっさと逃げてくれ。格好つけてんのは俺じゃなくて万事屋の方だ馬鹿。

早く、と怒鳴れば総悟は若干躊躇う表情をみせながらも頷いて万事屋の手を引いてもと来た道を走り出した。おそらく屯所に連れ帰るのだろう。彼らの走る道に点々とつく血の跡は一体誰が掃除するのだろうか。

「おおっとォ。油断してるんじゃないだろうね、アンタ」
「……お前には、そう見えるのか?」

溜息を吐いた。馬鹿馬鹿しい、お前のその腕の脅威は俺が一番知っているはずだ。血を啜り強化される化け物、なかなかどうして気持ちの悪い。原作はよく覚えていないがもしかして腕を切り取ってそこに無理矢理繋いだのだろうか。それとも腕にそのまま寄生したのだろうか。どちらにせよぞっとしない。

「ふ、はははッ! 面白いなァアンタ。気配で分かるよ、相当な手練れだろう」
「……」

俺に刀を突きつけられても尚奴は笑う。何が楽しいのだろうか。追い詰められて喜ぶなんてこいつどMなのか。お縄頂戴したくねェよ。
 
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