威あって猛からず
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「「「妖刀!?」」」
「ようとう? 羊の頭?」
「妖怪の刀の方だよこの馬鹿」

仲良く声を揃えた隊士達は何を言っているんだこの副長は、と本音駄々漏れの顔で俺を見た。馬鹿丸出しの総悟は放っておく。

対戦艦用機械機動兵器、妖刀紅桜。それは盗まれ、挙句今までの連続殺人の凶器として鬼兵隊によって使われている。そんな内容の矢文が屯所の扉に刺さっていたのを見つけたのは他ならぬ俺だった。対戦艦用だなんてこの御時勢に誰が要るんだって話だがそういえば主にかの高杉とやらが立派な船をこしらえているんだった。

「兎に角! これが本当だったら真選組としても放ってはおけねェ。今日から警邏の人数を増やしてことに当たる。いいな!」

おう、と隊士たちは仲良く声を揃えて答えた。頭は悪いが血気盛んで頼りになる奴らばかりだ。というか嫌とは絶対に言わせないが。
 
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