青柿が熟柿を弔う
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「これで何件目だよ、胸糞悪ィな」

江戸でも屈指の剣士がここ最近遣られている、しかもその中には攘夷志士も居たとなっては真選組も黙っちゃ居られない。現場となった河川敷では奉行所の人間が荒らしまわる中、俺と山崎は野次馬の中でそれを写真に収めていた。いつまでもここを封鎖しておくこともできないからな。

二人で黙々と写真を撮っていると、不意に山崎は声を上げた。

「……あれ?」
「どうした山崎」
「あの白い奴、桂のペットじゃないですか」

見れば成程、エリザベスに違いない。走り去る後姿もついでに写真に収めると、山崎は不思議そうに言う。

「どうしてこんなところに居るんでしょうね」
「……さあなぁ」

というか、俺達アイツ捕まえないといけなかったんじゃないか?

そう気付いた頃には遅く、エリザベスは何処かへ消え、桂の姿も何処にも無い。紅桜と呼ばれる刀が盗難されたと通報されるのは、その次の日のことだった。
   
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