最初に考えていた人生謳歌主設定
・めっちゃ暗い。陰気。思考回路が真下に向いている
・中学で虐められていた。白石に成り代わってからも愛されることにあまり慣れていない。優しい
・ちょっとしたことで落ち込む。包帯の下はリスカの痕で一杯
・ある意味人生を謳歌しているよね、と思った
・これだとBLにしかならない。今でもセウトなのに冗談ではないのである
=もったいないので投下。私のシリアスっていっつも同じパターンよね…

※BL臭いよ!

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俺は白石の幼馴染兼親友を自負しているが、事実として彼の包帯の下に何が隠されているのかを知らない。猛暑の太陽の下でも外していないし、合宿の風呂ではそもそも彼の姿を見かけなかった。
だから、俺は白石が何を抱えているのか、何を思っているのかなんて、知る由も無かったのである。

俺はとある日、部活終わりに白石が包帯を巻き直している場面に遭遇した。教室の中で、遠目ではあったが彼の日焼けしていない左腕ははっきりと見える。俺は気付かれないように後ろの扉からこっそりと見ると、白石は独り言を呟いていた。

「ほんまに、止めれんから困るんや。痛い思うてるんになぁ」

何がだろうか。
疑問に思った俺はよく見ようと、もう少し扉を開こうとして――

ガラッ

音を出してしまった。引き戸式だったのだ。

「誰!?」

白石は珍しく、顔を真っ青にして焦っていた。すまんすまん、と軽く謝るつもりで(そもそも野次馬していたのも良いネタを見つけた、位の気持ちだった)教室に足を踏み入れてふと彼の左腕を見ると、そこには沢山の赤い痕が存在した。

リストカット。事によっては死に至る可能性もある。

「白石っ!」
「嫌、やめて、見ないで…!」

俺が近づくと、白石は真っ青の顔のまま、左腕を隠そうと躍起になっていた。包帯は左腕に、適当に巻かれていく。けれどそんなことをしても無駄だ。俺は逃げようとする白石の左腕を掴んだ。

「おねがい、けんや、やめて、やめてよ…」
「阿呆! 俺は白石が心配なんや!」

しんぱい、と白石の唇が動いた。
俺は彼のことを何も知らなかった。幼馴染なのだと胸を張っていた自分が恥ずかしい。彼はずっと、誰にも何も言えなかったのに。

「な、もうちょい頼ってくれてもええんやで?」
「でも、メイワク掛けたらあかんし、」
「迷惑掛けんと白石またやるやろ? だから、誰にも言えんでも俺にだけは言って。誰にも頼れないと思っても、俺は白石を見てるから」

俺は泣いている白石の体をぎゅうと抱きしめると、あやすように背中を叩く。白石は――きっと、言うまでもないだろう。

*何度だって言うよ、「君は此処にいる」

title = 不在証明-long/135
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『最初に考えていた白石成代』2012/05/09 Wed 18:29
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