可哀想な白石を書くのが楽しい。

ある日、白石の携帯に一通のメールが届いた。跡部からだ。メルアドを教えた覚えは無かった。
そのメールには、今度一緒に合宿しませんか?(意訳)と書かれていた。四天宝寺としては、どうやらその合宿は跡部持ちらしいので色々な意味で万々歳なのだが、白石は一瞬オサムちゃんにそれを伝えるのを躊躇った。
皆の前で不眠症がバレては困るからだ。
無駄にプライドは高い白石なので、もしかしたら病院に行ったので謙也にはバレているかもしれないとは思ったものの、四天宝寺レギュラーやその他の学校の人達にバレたら、と考えるだけで恐ろしい。それは完璧では無いのだ。
まあしかし、自分の一存で決めては後々に響くのでオサムちゃんに伝えると、よし行こか! と一も二もなく了承された。

それからはとんとん拍子に進んで、日程や場所などが決まった。
そして今日、合宿一日目である。

白石は跡部が用意したバスから降りると、その広い別荘(仮)とその中に設置されたテニスコートを見た。四天宝寺とは大違いの設備に皆浮き足立っている。

「すっごいなぁ…」
「当たり前だろ。俺を誰だと思ってるんだ」

跡部様様である。

「お前らが最後だな。おそらく他の学校はロビーにいるだろう。案内する」
「ホテル……貸し切ったんか?」
「いや、俺様の所有物だが」

跡部の後を付いて行くと、大きな建物の中に入った。そこでは立海・青学・六角・氷帝のレギュラーが行儀良く整列していた。
白石は無意識に立海の中に幸村の姿を探した。真田と目があったので聞くと、予想外の返事が返って来てはて、と素で仰天してしまう。

「あれ、幸村君いないん?」
「幸村は入院中につき、俺が立海の部長代理だ」
「入院?」

真田が言うには、どうやら直るかどうかも微妙らしい。元々儚そうなイメージだったが、本当に病気になってしまうとは。
それを聞いて白石は不謹慎にも若干、胸をなでおろした。

*存命する感情、決定打の言葉

title = 群青三メートル手前-濁音十八題より
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『不眠症白石と合同合宿2』2012/05/04 Fri 22:08
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