*一次創作です

東京都23区の西の方に、その学校は存在している。小中高大とエスカレーター式に昇っていくそこは、その創立者の名から“藍和”と名付けられて早百年余り。そこの、藍和大学付属高校生徒会には現在、君臨する一人の男が居た。奴の名はかの有名な名探偵の名から、こう呼ばれている。
生徒会長ホームズ。
彼自身はあまり気に入っていないネーミングらしいが、俺はぴったりだと内心思っている。これはお世辞でも皮肉でも無い本音で、彼は知らないかもしれないけれど、俺は彼のリーダーシップと、あの才能だけは尊敬するに値するものだと心底思っていた。その本人は、生徒会室の偉そうな椅子に座ってかなり寛いでいた。去年から生徒会長の座を守っている故か、彼はこの部屋を半私有化している節が有り、事実彼のものだろうと思われる食器や器具などが中に並んでいる。それを使っている俺も俺だが。
先生から会長に、と手渡されたその紙の山を会長の机に置くと、彼はまたかと嫌そうに眉を顰めた。俺も手伝ってはいるが、俺の凡才と彼の奇才では書類処理能力にも格段の違いが見られる。早々に諦めて彼の文字を追うと、ホームズは不思議そうに一瞬だけ、俺と目を合わせた。
「…手伝うんじゃなかったのか」
「お前が全部やってくれるんだろ、生徒会長サマ?」
「何の為の副会長だと思っているんだ、ワトソン」
俺の名は村瀬和人、愛称はワトソン。藍和大学付属高校二年生にして、藍和高校生徒会副会長の座を頂くホームズの良き相棒だと、勝手に思っている。
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『生徒会長ホームズ』2013/02/17 Sun 19:16
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