*旅路/お疲れ土方さんと山崎とあんま関係ないけど正月

寒い寒い言いつつもこのクソ寒い副長室で仕事をしようと言うのだから万事休すってもんだ。エアコンが付いていないという時点でお上は何を考えているのかさっぱりで、しかも土方さん、違った副長ってばこんなめでたい元旦にもお仕事である。
「山崎、茶」
「あ、はいよっ」
先程入れたばかりの、天人製の何故か中身が冷めないと噂の急須でちょっとだけ良いお茶を注ぐ。この間までは一々寒い廊下を走って給湯室まで行っていたのが嘘のようだ。上司は何気無く俺と目を合わせたのでとりあえずいつも通り、時々ウザいとも言われる笑顔を浮かべる。
「どうぞ」
「…すまんな」
「いえいえ」
ちなみに俺は休み返上で働いている。どうせ某聖夜も一日中一緒だったのだから問題は無い。休みでもすることないし。
……それにしても、改めて見るまでも無いがイケメンである。プラスファルファしかも医師免持ちで気配り屋となるとこれはもう文句の付けようが無い。俺としたらもっと周りを頼って欲しいところだがってそんな恥ずかしいこと本人の目の前で言えるかボケ。
「山崎、」
ちょいちょいと手招きされて、直ぐ傍で座って本読んでいたのを止めて側らに寄ると思いも寄らないちょっとええ。
「ひ、ふくちょ、あの」
「……」
土方さん、じゃなくて副長はすっげえ勢いで俺を抱きしめた。まじかなんじゃこれ男に好かれてもアレだけど土方さんならなあってオイ俺。ちょっと違う方向行きかけたがアレこの人良い匂いがする。
俺が動揺している間も土方さんの腕の力は増すばかりでどちらかというと内臓とか何かが締め付けられていた。
「ひじかっさ、いたいいたいって」
「ああ」
俺の体を離すと、それきり土方さんはもう一度机に向かった。心なしか先程よりかすっきりした表情だ。
その後は俺も土方さんも何事も無かったかのように振舞うが、もしかしてさっきのは甘えていたのだろうか。まじか。もうすこしあのにおいを嗅いでおけばよかったかもしれない。
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『旅路SS』2013/01/01 Tue 12:39
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