部活帰り、クリスマスだにゃあといつも通り英二先輩は機嫌良さそうに走り出した。こら危ないぞと慌てて言う大石副部長もクスクス笑う不二先輩も桃先輩と海堂先輩が喧嘩してるのもいつも通り。
ただ、一人――部長だけは、不自然に俺を見ていた。
「越前どうした、どこか打ったか」
「・・・何でもないっスよ」
気のせいですよと軽く言ったつもりだったが部長は逆に怒っているような気配。乾先輩は軽く首を傾げたが、ああと納得したように呟いた。
「違ったらすまないが、誕生日おめでとう、越前」
「え、あ、ありがとうございます」
基本的に、俺は他人に不用意に誕生日を打ち明けたりはしない。赤の他人の誕生日だなんだと世間が賑わっている最中に祝われるのを少々癪に思っている。えーおチビ今日誕生日だったのと驚き様に問われ不承不精頷く。
「なんで知ってるんすか乾先輩」
「企業秘密だ」
「・・・最ッ悪」
乾先輩を睨むが本人はどこ吹く風とばかりに明後日の方向を見ていた。呆れて物も言えない俺に、不二先輩はでも、とにこにこ笑った。
「いかにも越前らしいよね」
はあ、と分かっていないが答えると、桃先輩はじゃあ越前の誕生日パーティしましょうよ! という提案によってあれよあれよという間に河村先輩の寿司屋に連行されてしまった。

「・・・越前、そういうことは先に言っておけ」
「何で」
どうせクリスマスなんでしょ、と投げやりに言うと、大石副部長は部長に聞かれない位の声でこっそり耳打ちした。
「“俺が最初に祝いたかった”んだって」
予想の斜め上を行ったそれにぱちくり目を瞬かせると、皆俺の方を見てうんうんと頷くものだから思わず苦笑した。
「ありがとうございます、先輩」

別に間に合わなかったからとかそういうのではない
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『リョーマ誕祝』2012/12/25 Tue 22:26
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