それは、いつにも増して暑い日だった。試合をしていなかった俺は、終わった感覚も無くただぼんやり審判の声を聞き流した。
先輩の中学最後の夏は、酷く呆気なく終わってしまった。まだ蝉だって鳴いているのに、今年の夏は終わったのだ。

「ありがとう」

幸村はそう言って、にこりと笑った。俺はその笑みを、一生忘れないだろう。

氷帝主催の合同合宿に行くことになった白石率いる四天宝寺だが、彼にはひとつ、目下の悩みがあった。
ずばり、眠れない。
最初はただ悪夢を見るだったのが、日が経つにつれて睡眠が苦痛になってきた。それでようやく勇気を出して謙也父の経営する病院に行くと、大阪で一番大きな病院の精神科を進められた。それによってこの不眠症がどうやら精神的なことらしいことだけ分かったが、それ以来病院にも行っていないしチームメイトにも、更には家族にさえ何も話していない。
単純に言うと、怖かったのである。
寝れない自分が――否、ただ迷惑を掛けることしか出来ない、不甲斐ない自分が。

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時期としては、2年の冬休みで氷帝・立海・青学・六角(・山吹)。幸村さんは入院中。
寝るたびに悪夢を見て飛び起きる白石と、父から情報を貰った謙也と、うっすらと事情を察していく部長メンバー+αの話。
まあ大体幸村さんのせいなのだが、本人が合宿に来ないのでほとんど進歩しないだろうと思われる。あとやたら合宿期間が長い。
個人的には白石+サエさん推し。サエさんに爽やかに「疲れてるんなら寝てきたら?」って言わせたい。大石・柳生・忍足従兄弟(医者メンズ)に尋問されたり真田にたるんどるを言わせたい。
調べてみたら睡眠導入剤みたいなのって医者に貰わないといけないらしいけれどそこは気にしない。
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『不眠症白石と合同合宿』2012/04/26 Thu 20:16
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