*リョーマ成り代わり/Cogito ergo sum
ツンデレとかいうレベルではなく冷淡。SMではなく冷淡。でも情には厚い(ような気がするだけの)エリート大学生(♂/知識有/文武両道)が転生する話。
タイトルはラテン語の格言で、「私は考える。故に私は存在する」という意味らしい。


テニスは好きだ、テニスは。でも、勝つことを知っていたら、何も詰まらない。素直に越前リョーマに成り切ってやる筋は無いし、そんな借りも無い。生憎だが、俺は俺だ。テニスはやってやるが、神様(オマエ)の筋書き通りに踊らされる程馬鹿でも間抜けでも無いぞ。

そう啖呵を切ったのが、丁度我が母上から俺が産まれる前に神を目の前にしたときだった。そんな俺に神は一言自由にしろ、と不遜に笑った。俺が少し呆気にとられて(そんなもので)いいのか、と呟くと、俺の言葉をなんと勘違いしたのか、奴はほうと目を細めると本当に余計なことを付け加えた。
「青春学園テニス部には、どう足掻いても絶対に入学する」

俺は十数年ぶりとなる学ランを羽織ると、鏡に映った自分を見る。その姿はどこからどう見ても“越前リョーマ”で、すこしモチベーションが下がったような気がした。どうやら、あのときの神は本物だったらしい。朝飯後に右足に擦り寄ってきたカルピンを蹴って追い出すと、俺はラケバを背負って玄関を飛び出す。少し、

例え本物と同じ運命を辿ろうと、俺という存在が誰にも気付かれなかろうと、それでも。

俺は、俺だ。
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『リョーマ成り代わり』2012/08/04 Sat 22:59
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