憧憬/降谷零


とある部下の場合


あっ、お久しぶりです。……はあ。いい夫婦の日?ああ、11月22日。たしかに。そういうの気にされるクチなんです?いえいえあんまりそういうものを気にする生活をしていないもので。まあ、そうですね。記念日とかは一応覚えてますよ〜。ご飯をちょっと豪華にしたりします。そしたら零さん喜んでくれるんですよ、ふふ。あのですね、めちゃくちゃ張り切るのはね、結婚記念日なんですけどこれは言わないでおきます。だって、貴方に話したらわたし怒られちゃいますもん。え?もうすでに怒られる内容じゃないかって?これくらいなんてこと……いや、あるか?あの人怒りまくるかもしれない……!やだもう、なんでこういう話題を貴方が振ってくるんですかー!何言ってもわたし怒られる未来しか想像できないんですけど!二人とも仲良くしてくださいよ。え?無理?そこを何とかしてくださいよ。わたしが間に入るのには限界というものがありましてね……!どうして間に入るのかって?だって、零さんのことわかってる数少ない人のひとりじゃないですか。それを大事にしないわけにはいきませんって。……はあ。わたしだけがいればいいとか言わないのかって?全部をわたしだけで独り占めできるわけないじゃないですか。したらどうなるのか興味が全くないわけじゃあないですけど。少なくともわたしたちは世の中の普通の夫婦とは違う感覚で夫婦になっているわけですし、良い夫婦の理想とはかけ離れた存在だと思っててください。ん?死生観とか仕事に対する心がけが他の職と違うだけだ?まあ確かにそうかもしれないです。ん?てことは結局のところ他の夫婦と大差ない?わたし零さん大好きですしめっちゃくちゃ愛してますよそりゃあ。愛してもらえてるのもわかってます。あの人結構態度で表してくれるんで。ええー?貴方の前では見せたくないなあ。絶対からかうでしょう?からかわれると絶対意地になっちゃうから、あの人。だーめーでーすー。まあ、今度ご飯でも食べに来てくださいよ。一人で来たら喧嘩になると思うから新一君とか連れてきてください。仲介役は必須ですよ!わたしばっかり疲れちゃうから!




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