馬鹿騒ぎ
33 くるくる絡まる
「……ハドソン川沿いの倉庫のどれかって、どれだろう」


ハドソン川に立ち並ぶ廃れた建物たちを見て、ひとり呟く。ひとつひとつ、虱潰しに探すしかないのかな。ざっと見ても10くらいはあるというのにひとつひとつ見ていくなんていつ見つけられるのやら…。ああ、そういえば。ガンドール・ファミリーとルノラータ・ファミリーの抗争のときにクレアが仕事を手伝ってくれると言ってた気がする。今こそ手伝ってほしいんだけど、彼が今どこにいるのか。

「きっと、女の子のトコだろうけど…。わたしの仕事だからしょうがないか。」

今日中に終わらせたいなあ。ぼんやりそんなことを思いながら歩き出す。まずは、中の確認だ。愛用の銃を片手に、弾がきちんと装填されていることをもう一度確認して一番近い倉庫の裏に回る。


「はやく見つかりますよーに!」




*


「あれ、ロニーさん朝からお出かけっすか」
「ああ。ちょっと私用でな」
「あなたが私用とは珍しい。どこに行ってきたんです?」
「珍しいとは随分失礼だなマイザー。…まあいい。大事な用事さ、これから面白くなるためのな」
「何かサプライズでもあるんですかロニーさん」
「うむ…、サプライズというほどでもないがな。次々に絡み合ってゆく、実に面白い光景だよ、人生なんて。」
「はあ」
「人生楽しまなきゃ損だもんなァ!」
「おうおうランディ!これから先はなげえんだ、楽しみはいっぱいあるぜ!」
「いいな、楽しみだなミリア!」
「何が楽しみなのかよくわからないけど、そうだねアイザック!」
「チェスも楽しみだ!な!」
「う、うん?そうだね、アイザックお兄ちゃん」
「エニスも!ね!」
「そうですね、ミリアさん」
「おいおいお前ら二人とも困ってるだろ」



「・・・・また、なにか企んでますね?」
「おまえはさっきから失礼だな。企んでなんかいないさ。」
「・・・」


「疑り深い奴だな。…企んでないからこそ面白いんだよ、人間は。そう思わないか、マイザー?」





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