馬鹿騒ぎ
27 なにも知らない
「昨日から随分と忙しいな、リアは」
「暇だったらどうしようって言ってたから逆に大丈夫なんじゃないかな」
「暇なくらいがちょうどいいですよ。」
「そうですね。彼女も仕事の息抜きでこちらに来たのでしょうし、仕事が入って残念ですね。」
「魔女って言ったらフリーの中でも有名だからなぁ。仕事なんていっぱい来るんだろうな」
「そんなことないって本人は言ってたけどね」
「逆に有名だと雇うにもそれなりの金額がするんですよフィーロ。彼女くらいの殺し屋を簡単に雇えるのはここらではルノラータくらいなもんです。」
「じゃあクレアのやつも相当高いんだろうな」
「クレアさんは我々からのお金は受け取ってくれませんが、本当に払えば相当だと思いますよ。」
「へえ。…って、マイザーさん?」
「マイザー?どうしたの?」
「え。あ、いや、すみませんボーっとしてしまって」
「具合でも悪いのですか?」
「いえ。ちょっと考え事をしていたもので、」
「マイザー、リアの心配でもしてるの?」
「いや…、まあ、」
「マイザーさん、リアの話になるといつも不安そうですけどきっと大丈夫ですって。」
「しかし、心配なのは私も同感です。いくら殺し屋だとは言っても幸せになれるような仕事ではないでしょう」
「んなこと言ったらオレたちカモッラだって汚いこといっぱいするぜ」
「人を殺す専門の仕事と我々の仕事はやっぱり違いますよフィーロ」
「マイザーさん…。」
「ねえ、マイザー。リアはどうして殺し屋なんかやってるの」
「本人に聞いたらはぐらかされました。殺し屋をやる理由も、どうして魔女と呼ばれているのかも、何もかも知りません」




「私が知っているのは、昔の、ただただ明るかったリアだけですよ」



_27/83
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