アイドルシリーズ

いつもお世話になってます。
今日は部活が午後練。その前に仕事の書き物をマネージャーに提出しに行こうと思ったら、どうやら今日は紗希乃の仕事の方に行っているらしい。会社に行くよりも近場だったから現場に持って行くことにした。(紗希乃に持って行ってもらえばよかったー…)

ミニトークショーをするらしい紗希乃は某CDショップのイベントエリアにいる。人ごみに混ざると厄介だから、携帯でマネージャーを呼び出してトイレの近くで合流した。

「もー、今日紗希乃の仕事の日だったら言ってて欲しかったっス!」
「ごめんごめん。別なコの方に行くかもしれなかったんだよ」
「まーでも会社よりこっちの方が近いから部活も余裕持って行けそう!」
「そりゃよかった。こっちも中々の入客で楽しくなりそうだよ」
「紗希乃によろしく言っといて!そんじゃお疲れ様っス!」
「部活頑張ってねー」


ひらひらと手を振るマネージャーに手を振り返し、さて部活に向かうかと歩き始めると視界に何か見慣れた色のジャージが入ってきた。あのオレンジって、

「……秀徳?」

オレの呟きに弾かれたように振り返ったのは、確かに秀徳の人で、エーット……誰だったかな…!

「なっ、黄瀬涼太ァ?!」
「オレんこと知ってるんスか!」
「お前緑間と同中だろうが」
「あー、やっぱり秀徳か。緑間っちの人参カラーで思いだしたっス」
「人参って言うな」
「まー、それはさておき。確かセンパイっスよね?そんでスタメン。ぼんやりとしか覚えてねーけど」
「お前からしてみたらキセキ以外の奴は雑魚だろーよ」
「んなことないっスよ。まあ人によりけりっスね。で!なんで秀徳のスタメンさんが部活ジャージ来てアイドルのイベントにいるんスかぁ?ファン?サボり?」
「サボりじゃねーよ練習は午後からだ!あとオレは別に紗希乃ちゃんのファンじゃなくてだな、オレにはみゆみゆという推しメンが」
「みゆみゆって別事務所ジャン。わざわざ部活前に来るなんて熱心っスねえ」
「お前だってなんで東京にいんだよ!海常は神奈川だろ!」
「仕事でちょこっと寄っただけっス。まーまー、えっと、何でしたっけ名前」
「宮地だ」
「そうそう宮地サン。別にファンなのが悪いってわけじゃなくてちょっと意外だなーって思っただけっス。むしろガンガン応援してあげて欲しいっスわ!緑間っちも連れてさ!」
「なんでそこで緑間がでてくる」
「紗希乃のこと実はすっげえ応援してんのに恥ずかしくて何もできないんスよ。ププ。たぶんイベント誘ったら文句言いながらも絶対来るっス。後、緑間っちとライブ行くって言えば関係者席に入れてもらえるんで利用したらいいっスよー」
「……なんで会ったばかりなのにそんなに教えてくれんだよ」
「バスケの事に関しちゃ正直関わりたくないけど、あの子のファンだって言うなら何かヘンな仲間意識が芽生えちゃったっス!まー、これからもよろしく頼みますよ宮地サン!」

あ、やっべ早く行かないと練習前の掃除間に合わない。なんだか呆気にとられた様子の宮地さんに紙切れを握らせてオレは早々に立ち去った。



「なんだよ黄瀬涼太…くそイケメンじゃねえか、くっそ……!」


紙にはオレのアドレスを書いといて、『紗希乃の事で何かあったら連絡くださーい☆』って添えといた。こんなの女の子にもしねえけど、ファンは大事っスからね。紗希乃喜ぶし。そう思ってあげたんだけど、後悔することになるだなんて思いもしなかった。


((なんか毎日紗希乃の良いところとか歌割の話をメールしてくるんだけどナンデー?!))


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黄瀬を同類だと勘違いした宮地さん。歌割厨な宮地さん。


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