やっとの思いで触れた速見の手はあまりにも薄っぺらくて、離すもんかと握り締める程、自らその手を潰してしまいそうで怖かった。


速見は無機質なガラスで出来ている。そうに違いない。だから簡単なことですぐにヒビが入って、たちまち隙間風が柔い速水の心臓を刺激するのだ。そもそもあれだけの量の葛藤を受け入れられるように出来ていない訳で、容量オーバーの警報はすぐに鳴り響く。それはやがて俺の耳まで届いて、何度も救ってやりたいと、ただただ救ってやれたら、願った。


そしてようやく、触れた。


君の柔い心臓はハートの形をしていた。食べちゃいたいくらい可愛かった。
食べてしまえばもしかしたら速水は楽になるのかもしれない。馬鹿な俺には到底そんなことわからなくて、ただ俺の熱で速水のきんきんに冷えたガラスを暖めることしかできない。これがなかなか手ごわいんだなあ。


俺の体温を溶け合える日が来るのなら、そりゃあいい、最高だ。
速水を笑顔にさせる自信はあるよ。だって俺、浜野だしね。


俺が速水の心臓の鼓動を手伝うから、速水は息を吸って吐いてりゃいいんだよ。
そしたら結構、体軽くなんね?


だからせめてさ、どうか、はぐれないでいて
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