オフィスクオーターの三階、会議室と記された一室へ桃っちを先頭に三人を案内する。廊下で社員やモデル仲間とすれ違えば軽く会釈をするものの、その度に集まる視線がなかなか痛々しい。俺も最初は驚いた。まさか自分より身長が高い人間二人と同時に歩くことになるとは思っていなかったからだ。しかし驚愕すべき状況はそれだけではない。
 帝光出版から来たらしい別の一人の影が薄すぎてよく見失ってしまう件の方が重大だった。存在感の乏しい人というのは世間にいくらでも居るが、彼の場合はなんだかもうそういう次元を超えている。エレベーターという小さな密室に五人が乗ったはずなのに、なんとなくカウントしてみたら四人ってどういうことだ。怪談か。ホラーか。降りた時に平然と隣に居たから余計に心臓が止まりそうになる。
「も、桃っち……」
「ん?」
 失礼は承知の上で言うとまさかこんな幽霊みたいな人が来るとは想定外だった。帝光出版の採用条件は一体どうなっているのだろうと思考が逃避を始めたところで、ふと頭に過った一言。
“ちょっとクセのある奴が来てもあまり気にしないでくれ。害はない”
 昨日、社長が軽く言ってのけた台詞である。害はない? どこが、どこがだ。少なくとも俺の寿命が三日は縮んだ。
 まだ会って十分も経っていないというのに何度も驚かされている自分は、情けない声で前を歩くマネージャーを呼び止めるのだった。
「あの人が、ほんとに『テツ君』なんスか……?」
 一層声を潜めて周りに聞こえないように問うと、彼女の顔がぱっと明るくなる。出会って八年目にして親友の趣味が理解の範疇を超えることになるとは。
「そう! すっごくかっこいいでしょ!?」
 全然わからない助けて社長。


Mr.Perfect / Scene 02 - E part


 本日会議室はこの為に使用されるのみであり、自分達以外に人影はない。会議用の机を並べ、二人と三人で向かい合って座れるようにセットしてくれたのは桃っちだろう。俺の目の前には『ミドリン』さんが着席し、その隣に『テツ君』、反対側に紫原っちが腰を下ろした。三人ともスーツを着用している。が、端から順に今にも寝そうなやる気のない顔となかなか迫力のある顰め面と驚くほどの無表情というバリエーション豊かな様相が自分を見ていて、じりじりと神経がすり減っていくのを感じた。
 帝光出版から二人、そしてヨウセン編集プロダクションから一人が来ることは事前に聞いていた。編集業界にあまり詳しくない自分は後者の編プロを初めて耳にしたのだが、実力は確かだと社長も桃っちも言っている。そして帝光出版は言わずもがなだ。だからきっと見るからに頭の良いエリート集団がやってくるに違いないと身構えていたわけだ、が。
 この中で一番まともそうなのは真ん中に居る『ミドリン』さん――だと思っていた時期が俺にもありました。違いました。椅子に座って一息つき、顔を上げた瞬間に目に入ったのはクマのぬいぐるみである。直径二十センチほどの、なんとまぁ可愛らしい。でもそれどっから出てきた。何故『ミドリン』さんの所持品のように普通に机の上に鎮座している。幻覚か?
 俺は視界に入った光景に三度見する勢いで唖然とし、ついに声に出してしまった。
「…………あの、それは一体」
 突っ込まずにはいられない。
「どれだ」
「……そ、そのぬいぐるみ……」
「ああ、これか。今日のラッキーアイテムなのだよ」
 ああこれかじゃない意味がわからない! ラッキーアイテム!? はい!? まさかと思うけど持ち歩いてんの? え、だってそれさっきまで持ってなかったじゃん? その鞄に入れてきたんですか? そのノートパソコンとか書類とか入ってそうな黒い鞄にそんなファンシーなぬいぐるみ入れてきたんですか?
(大体なのだよって何……口癖……?)
 だめだ全く理解ができない。俺の思い描いていたエリート集団はどこへ消えた。いっそきっちり七三分けの強面サラリーマンが来てくれた方がやりやすかった気がする。
「桃っち、あの、なんでこの人達」
「どうしようきーちゃん、テツ君と事務所で会えちゃった……!」
「戻ってきて桃っち……」
 マネージャーはマネージャーで別の世界行ってた。
「すみません、黄瀬君」
「うええっ、はい!?」
 影薄いあんたはいきなり喋るなびっくりする!
「緑間君はラッキーアイテムを肌身離さず持ち歩かないと死んでしまう体質なんです」
 へーそうなんですか一番まともじゃないっスね! と内心で返しておいた。
「勝手なことを言うな黒子。死にはしないのだよ」
「でも仕事が手に付かなくなって見つけるまで帰ってこないのは事実でしょう」
「…………」
 おいそこで黙るな。マジでそれはないと駄目なのかよ。まぁ世の中にはそういう変人もいるということで……ってああほらこんなやり取りしてる間に紫原っちは寝てるしもう! なんだこれ! 俺帰っていい!?
 モデル黄瀬涼太より個性の強い素晴らしい面子を前に既に心の中は泣き言まみれだったが、これでも彼らだって仕事をしに来たのだ。そのはずだ。もちろん勝手に帰るわけにはいかない以上、早く終わらせるに越したことはないと早々に思考を切り替えた。真面目に取り合っていたら俺の精神が持たない。
「む、紫原っち、起きて……」
 そして円滑に仕事を進める為にはヨウセンも必要なのである。まるで授業中に眠りこけている学生のように机に突っ伏している彼に声を掛けるものの、反応は鈍い。これはアリなのかいやナシだろうと絶句するほかなかったが、見兼ねた『ミドリン』さんが紫原っちのに向かって思い切り叱り始めた。
「紫原、起きるのだよ! インタビューの担当はお前だろう。これでは進められん!」
 インタビュー。その単語ではっと思い出したが、そういえば今日は『TiPOFF』の取材でもあるのだ。尚のこと何故この三人を送り込んできたのか社長の意図がさっぱりわからない。
「んん……ミドチンうるせー……」
「うるさいとは何だ。寝不足なのか」
「超寝不足だよホント……締切に追われまくってて死にそう。あとなんか最近俺まで都市デザインの勉強とかしなくちゃいけなくてマジめんどくさい……」
「おい寝るな」
 おやすみ……と呟いて再び目を瞑っている。ここまで疲労困憊している様子を見ると労わりたくもなり、編集者というのがどれほど大変な職なのか考えざるを得なかった。身近に居る編集長サマがあまりに余裕綽々と仕事をこなしている為に忘れかける。
「……編集者なのに都市デザインの勉強するんスか?」
 苦手意識ばかり持っていても先には進めまい。何かコミュニケーションを取らなければ、と気になったことを尋ねてみると、紫原っちの代わりに『ミドリン』さんが溜息をつきながらも答えてくれた。
「ヨウセンは近年アーバンデザイナーを中心に取り上げているから、当然なのだよ」
「アーバンデザイナー?」
「都市計画や環境デザインを行う専門家のことだ」
 なるほど、初めて聞いた。デザイナーと言えば服飾関係しか思い付かないくらいの知識量だったせいで、幅の広さに少し驚く。
「その分野の知識を十分に入れておかなければ、優れた編集などできん」
「だから緑間君は今ファッション業界について熱心に勉強してるんですよね」
「……至極不本意だがな」
 そう言うと同時にこちらを睨まれ、舌打ちでもされそうな凄んだ雰囲気に僅かに身を引く。俺が何かしたとでも言うのか。
「まぁいい。……話は変わるがお前、紫原と知り合いなのか」
 一向に起きようとしない男の頭をついに一発叩きながら彼は尋ねた。
「あ、うん、高校の同級生なんスよ。ね、紫原っち」
「んん……そうだっけー……ていうか誰?」
「誰!? えっ、覚えてない? 高二の時に同じクラスだったじゃないスか」
「同じクラス……?」
 こんな人居たっけみたいな反応をされてしまい結構心を抉られる。自分の記憶が正しければ割と仲が良かったはずだが、卒業してから何年も経っているおかげで存在が薄れているのかもしれない。本格的にモデル業を始めた後は同窓会にも顔を出していないし、成人式でも紫原っちとは会わなかった。とは言え実際に対面して『誰?』と直球で聞かれたことにはさすがにショックを受ける。
 クラス替えして校内一の高身長と初めて会話した時のことは忘れていない。
「紫原君、わかってますか? 彼がモデルの黄瀬涼太ですよ」
 徐々に意識が覚めてきたのだろうか。『テツ君』の一言を聞いた紫原っちは、まじまじと俺の方を見ながら「あー」と不明瞭な声を漏らした。
「……黄瀬ちん? “後ろから二番目”の」
「あ、そうそう。思い出してくれたっスか?」
「なんとなくねー」
 喋り方や性格は昔と変わっていないようだ。
「桃井さんは紫原君とお知り合いではないんですか?」
 余程この状況がサプライズとなり得るものだったのかマネージャーは先ほどから会話にも参加していなかったものの、『テツ君』の言葉とは彼女にとって効き目抜群らしい。突然話を振られて慌てながらも、いつもの調子を取り戻し始めている。
「私は高二の時はきーちゃんと違うクラスだったから、彼のことは間接的に知ってたくらいかな。えーと……ムッ君?」
「なにその呼び方ー」
「きーちゃんの友達で同い年だもの! 私のことも好きに呼んでいいよ、桃井さつきです」
「えー……じゃあさっちんで」
「何故そんな変なあだ名が即興で思い付くのだよお前達は」
「すごいフィーリングっスよね」
 会議室の名にそぐわぬ笑い声が零れる。もっと堅苦しい挨拶を予想していた割に見ての通りそんなことはなく、全員がタメだとわかってしまえばそれなりに親近感も湧いた。紫原っちは俺の高校時代の友人、『ミドリン』さんは桃っちの大学の同級生、そして『テツ君』も彼女と同年齢であると聞いている。社長を含め皆二十四歳だということを知り、『TiPOFF』に当てられたメンバーは平均的に若いのかな、と頭の片隅で考えた。
「ところで『ミドリン』さんは」
「緑間真太郎だ」
「えと……緑間、くんは、あんまりこっちの業界には興味がないんスかね」
 わざわざ話題に取り上げるのもどうかと思ったが、不本意だという言葉がどうにも引っ掛かる。顔色を窺うように恐る恐る尋ねてみると、「あんまりどころか全く無いのだよ」と一刀両断されてしまった。
「なら、なんで『TiPOFF』に……」
 そう問えば彼は眉根を寄せ、俺から逸らすようにして目を伏せる。
「……あいつに頼まれたからだ」
 小さな声で静かに紡がれた一言が誰を指しているのか、この時はまだはっきりとわからなかった。長い下睫毛が眼鏡のレンズ越しに映っている。緑間くんの両隣に座っている二人は特に反応しないが、ちらりと横目で見やれば桃っちだけが微かに表情を固くしていた。
 彼が興味のないものに自ら費やすようなお人好しでないことは一目瞭然である。そして話しているうちに、どちらかと言えば頑固な部類の人間なのだろうとは感じていた。だったらその頑固な人間を興味の範疇外の仕事へ就かせる人とは一体誰だと考えて、心当たりがないわけではない。
 緑間くんは相も変わらず険しい面持ちであるものの、自分と桃っちを見据えてこう口を開くのだった。
「興味があろうがなかろうが関係ないのだよ。どんな仕事だろうとやると決まったからには人事を尽くす、それだけだ。その先にしか満足する成果は待ち受けない」
 視界にちらつくチャーミングなぬいるぐみとは随分と不釣り合いなほど鋭い意見が耳に残る。
 異論を唱える義理もなかった。


 『テツ君』の本名は黒子テツヤというらしい。黒子くんお疲れ様、と声を掛ける頃には大分影の薄さにも慣れ(てはいないが幽霊だとは思わなくなった)、桃っちを挟んで冗談も交えられる程度の仲にはなっていた。けれど相手はやはり口数の多い方とは言えず、表情の変化が乏しい為に何の話をすれば盛り上がれるのかはわからないままだった。そして自分のマネージャーが『TiPOFF』のオファーをあっさりと受け入れるほど、彼のことを気に入っている理由も同様に。
 そこでどこがいいのかそれとなく伺ってみたところ、ミステリアスな部分とか何事にも一生懸命な眼差しとか、と多くの理由を片っ端から挙げられてしまい半分以上は右から左へ流す。真剣に聞いていたらキリがなかったのだ。この手の話を桃っちに振るのはやめようと決意した瞬間だった。
 挨拶も程ほどに始まったインタビューは紫原っちが通して担当し、今回のファッション誌における意気込みやら自分なりのイメージやら、定番の質問に順に答えていけば終了する。テープレコーダーで録音し、あとで書き起こすのは編プロの役目だ。
 あれだけ眠気に負けていた彼もさすがに仕事となれば本腰を入れ、一時半頃に開始されたインタビューは予定通り二時半に終えることができた。
「ヨウセンはなんで『TiPOFF』に協力したんスか?」
 解散間際、きちんと録音できたかを確認している紫原っちにそう尋ねる。帝光出版の二人と桃っちは今後の編集予定について打ち合わせがあるそうで、隣接しているもう一つの会議室へと移動していた。
 都市建築を創造するアーバンデザイナーを主体に取り上げていると先ほど聞いたばかりだ。それなのに何故、と生じた単純な疑問に、紫原っちは迷う様子もなく淡々と答える。
「なんでも何も、帝光出版からの誘いを断るわけにはいかねーし」
「大手だから?」
「まーそれもあるけど……アーバンデザイナーっていうのはかなり限定的で、実際はデザイナー全般視野に入れて記事書かないとさー、所詮下請け会社だし。あと普通にギャラ高いから、帝光は」
 生々しい話に口を噤んでしまうと、「あー、でも確か」と視線を斜め上にやりながら何かを思い出したようだった。
「室ちんは最初、協力するの渋ってたなあ。けどなんか『赤司君の夢を叶える為なら乗ってあげてもいいかな』って言ってこの仕事引き受けたんだよねー」
「赤司君って、……あの赤司征十郎のこと?」
「そー。赤ちんね」
 目をしばたたかせる。『室ちん』とやらが誰なのか俺には知り得ないが、ヨウセン編集プロダクションの一員であり社長と関わりを持つ人なのだろう。紫原っちの一言には驚かざるを得なかった。当然、聞いたこともない。
――社長の夢?
 とは一体。
「え、夢ってなんスか?」
 気付けば口が勝手に動いていた。そこに生まれたのは純粋な興味に他ならず、知りたいという好奇心が脳を占める。身を乗り出して食い付くものの、しかし紫原っちは首を横に振るだけで。
「俺が知るわけないでしょ」
「……そっスよね」
 大人しく納得して椅子に座り直した。彼の言う通りだ。あの人は相手の言葉にきちんと耳を傾けるし求めれば意見も言ってくれるが、こと自分に関する話は自らしたがらない。ただそういうタイプというだけの話だが、その上で社長の夢だなんて、こちらから聞かない限り一生触れられないままだろう。
「聞いたら教えてくれんのかなー……」
 それでも正直に明かしてもらえる保障はない。寧ろはぐらかされそうだと思った。今までにも何度か、社長には上手いように話を逸らされた経験がある。
 道徳授業の課題でもあるまいし他人の夢なんて聞いてどうするんだと我ながら思わないことはなかった。けれど一度関心を持ってしまうととことん追究しなければ気が済まないのが自分のタチであり、特に俺はあの人自身に興味を抱いている節がある。知り得たいという欲求も当然だ。加えてもう一つ言うならば、その『室ちん』さんは社長の夢をわかっているわけで。
(……待て待て待て……悔しいとか思ってないよな)
 俺が知らないあの人の秘密をどこかの誰かが知っている、その事実を咀嚼すればするほどもやもやと曇り出す感情はあまりに露骨だった。いやいやそんなまさかと心のうちで茶化して頭を掻く。
「紫原っちは知りたくないんスか?」
 話題を変えようとしたはずがつまらない質問になっていた。
「んー? まぁなんでもいいし、お金入れば」
 そう答えられることは目に見えていただろう。高校の時から将来仕事とかだるいと嘆いていた彼が働く理由なんて食っていく為だけであり、自分と直接関係ないものについては心底無関心なのである。
「ていうか、黄瀬ちんって赤ちんと仲良いの?」
「え、っと……悪くはないかと」
「最近知り合ったんでしょ? その割に気に入られてるよねー」
「あはは、仕事上っスよ。初めて会ってからまだ一ヶ月くらいだし」
「ふーん……」
 社長に目を留めてもらったのはあくまでモデル業に専念している俺を評価してくれたからだ。そんなことは重々わかっているつもりだったが、紫原っちはレコーダーに視線を落として不明瞭な相槌を打つのみだった。
 それから数秒後、こちらを見ることもなく彼は口を開く。
「ミドチンがさあ、黄瀬ちんのことすげー気に入ってないんだけど、」
 直球すぎる切り出しに息を詰まらせた。
「なんか理由わかった気がする」
「……理由?」
 ファッション業界自体に興味を持っていないこと以外に何かあるのか。思い当たらずに首を傾げて続きを待つと、紫原っちは漸く顔を上げた。その目に温かさはなく、寧ろ憤りに近いものさえ垣間見る。
「そりゃあ十年かけて積み上げた全てを、ものの一ヶ月で奪われたら嫌になるよ」
――一ヶ月で、奪われたら?
 十年が示す意味を理解できずに眉根を寄せるが、それ以上の回答は寄越されない。取材の確認を終えたらしい紫原っちは椅子から立ち上がり、じゃあお疲れー、と普段と変わらない雰囲気に戻っていた。
「帰るんスか」
「うん。もしミドチンか黒ちんに会ったらデータは夕方にこっちから送るって言っといて、回収に来たんだろうけど待ってらんねーし」
 テープレコーダーを仕舞った彼は代わりと言わんばかりに鞄から飴を取り出した。今日は一度も食べるところを目にしなかったからもうその習慣もなくなったのかと思ったが違ったようだ。高校時代と変わらず、お菓子は常に持ち歩いているらしい。
 会議室を出て行こうとする紫原っちに咄嗟にお疲れと声を掛け、下まで送った方がいいか尋ねる。すると「へーきへーき」と簡単に断られたのでその場に足を止めた。
「紫原っち、あのさ」
 扉を開けて去ろうとする後ろ姿を呼ぶ。「んー、何?」こんなことを聞いたら呆れられるだろうか。
「あの……、緑間くんと歩み寄る方法って、ないスかね」
 本当は自分で考えるべきなのだろうし、わざわざ尋ねるような内容でもない。そもそも向こうは俺と仲良くしたいなどとは微塵も思っていないだろう。自分も大した理由があるわけではないが、嫌われたままでいるのはなんとなく癪だった。恐らくモデルという職につき、人気を得、長年周囲から好かれることばかりだった為に生まれたプライドだ。
「さあ、知んない。おしるこでも買ってあげれば機嫌は取れるんじゃないー?」
「……おしるこ?」
 また不可解な単語が出てきたと思ったら、次の瞬間にはぱたんとドアが閉められていた。



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