オレは今、とても落胆している。その理由は一つ。
「なんで水曜なんだよ……」
 キスの日というのは何故こうも悉く平日に開催されるのだろうか。水曜四限、今日も睡眠授業をするしかなかった数Uの教科書を片付けながら深い溜息を吐き出した。理解できない数式が書かれたままの黒板を見やれば、右端に『五月二十三日(水)』と縦書きで記されている。
 休日だったら今すぐにでも京都へ行ってあの人の寮に押し掛け抱き締めちゅーしてお持ち帰りしたのに! という完璧な計画が一向に実行できない。寧ろ平日だろうが何だろうが京都に向かいたい気持ちは山々なのだが、恋人様から「学校や部活をサボってこちらへ来たらキスもさせないし触らせないしそもそも会わない」などと辛辣に釘を刺されては動くに動けなかった。赤司っちは自分との恋愛のせいで本業を疎かにされるのが嫌なのだろう。別れると言われないだけマシとは言え、学校を休んで会いに行ったら怒らせることは確実である。
 そんなわけで仕方なく、三年目のキスの日を迎えても泣く泣く遠距離恋愛を甘んじるほかなかった。今日はメールも手紙も届いていない。期待してないと言えば嘘になるが、洛山でも主将を担っている赤司っちはやはり毎日のように忙しくしているはずだ。あまり催促がましいのもよろしくないと思い、夜になってこちらから電話を掛けようと決めたところだった。
 しかし共学の我が校では案の定、朝からずっとキスの日の話題で持ち切り。それはいつも教室でつるんでいる二、三人のクラスメイトの男達も同じようで、彼女が欲しいだのキスがしたいだの先ほどから隣でうるさい。
「黄瀬はいいよなー、より取り見取りでさ」
 昼食を購買へ買いに行く途中、一人の男子が頭の後ろで手を組んでそう呟く。
「より取り見取りって、人を節操なしみたいに……」
「だって実際そうだろ。お前がキスしたいって一言口にすりゃ百人の女が群がってくるんだぜ」
「嫌っスよそんな状況」
 と言いつつも否定できない現象だ。今日一日、女子からのスキンシップが普段より激しいのもそれが原因だろうし、せめて面倒事には巻き込まれないようにとバレンタイン並みに気を張っていたりはする。
 今やあの人以外と恋愛なんて死んでもできない自分にとって、正直なところ他は眼中にない。この学校でのキスの日が早く穏便に終わることを願うくらいだ。もちろんそんな勝手な言い分を口になどしないが、別のクラスメイトが「でも黄瀬ってマジで誰とも付き合わないよな」と零すのだった。
「そりゃオレは硬派っスから」
「どこがだ軟派」
 酷い言われ様である。
 赤司っちのことは当然、クラスメイトは誰も知らなかった。あれだけ女子に告白されるのになんで付き合わないのかと幾度か問い詰められたがいつも適当に濁していた為、実は裏で危ないことを、なんて根も葉もない容疑を掛けられた経験もある。
 そんなオレが男と付き合っていると知ったらどう反応されるだろうか。単純に引かれるだろうなと、ぼんやりと思いながら購買に着いた時だった。不意に着信音が鳴り響き、それが一人だけ別の設定にしている音だとわかった瞬間、驚きのあまりポケットに入れていたスマホを取り出す手元が落ち着かない。着信が鳴り響いたまま食堂近くの床に落としてしまい、周囲の目が一瞬こちらに集中した。
「おい何やってんだよ黄瀬ー」
「そんな慌てちゃってどしたん、まさか彼女からお電話?」
「えっ、いや」
「うっそマジで!? この裏切り者! あーもうこれは涼太君の友達代表としてオレが挨拶するしかないわ!」
「はあ!? 意味わかんねーよ! ちょっ……返せっつーの!」
 理不尽な主張を並べて床にあったスマホを勝手に取りやがった友人を前に血の気が引く。やばいやばいこれはまずい。悪乗りにしてもそれだけは待ってくれ。
 電話に出られたら、と最悪な事態が脳裏に過り止めようとした――が、あと一歩遅かった。
「ゴホンッ、えー、もしもし。わたくし涼太君のご親友を務めておりま」
「やめろマジで!」
「いってえ!」
 わけのわからない自己紹介を電話口で始めた馬鹿な友人の背中を蹴り飛ばし、体勢を崩した瞬間にスマホを奪い取る。
「も、もしもし赤司っち!?」
『……涼太か?』
 向こうから聞こえてきた声色に、ほっと胸を撫で下ろすほかない。
「ごめんっ、友達がふざけてて」
『平気だよ。少し驚いたが……面白そうなご親友じゃないか』
 怒っていないどころか寧ろ楽しんでいそうな反応だ。一方こちらの状況を見ている友人達はオレが珍しく乱暴な行動に出たものだからキレたのではと、いつになく不安そうな顔をしている。だったら勝手に電話に出るな。そう思いつつ、まあ赤司っちが許しているようだしいいか、と溜息をついた。「怒ってないから」通話口を指で押さえながら小さく伝え、先に買っててという意味で購買の方を指差す。それから漸く周囲にうるさい人間がいなくなり、赤司っちとの通話に意識を戻した。
『でもタイミングが悪かったかな。掛け直そうか?』
「えっ、いや、全然大丈夫っスよ! 今昼休みだし」
 申し訳なさそうに言われてしまい、慌ててそう返す。せっかく赤司っちの方から電話をしてくれたのに勿体ない。全く予想外の行動にまだ動揺は隠せないが、学校で赤司っちの声を聞けるなんて今日は良い日だ。『久しぶりに涼太の声が聞きたくなってね』――と思っていたところでそんな風に告げられては、嬉しくもなるというもので。
「珍しく素直っスね。いつもはそんなこと言わないのに」
 口元が緩みそうになるのを抑えながら呟く。
「オレなんていい加減赤司っちに会いたくておかしくなりそーっスよ」
『……春休みに会ったばかりだろう』
「春休みって、もう二ヶ月経ってるんスから! 赤司っちだって二ヶ月会えないと寂しいんでしょ?」
『あっ……あれは去年の話だ!』
「えー」
 今年は違うんスか、と意地の悪い質問をすれば、赤司っちは押し黙ってしまう。きっと今頃恥ずかしくて赤くなってるんだろうなあと考えると、尚更、早く会いたい欲が膨れ上がるばかりだった。オレから目を逸らそうとする顔を覗き込んで、その頬を両手で包んで、額にも瞼にも唇にもキスをしたい。嫌がりつつも結局流されて受け入れる赤司っちが好きで好きで、おかしくなりそうというのは本当だと思った。
『……せっかくキスの日のことで電話したのに、意地悪な恋人には何もしてあげられないな』
 え。
 少し拗ねたような言い方で聞こえてきた一言に目を丸くする。
「え、ま、待ってごめん、今のうそっ、嘘だから!」
『うそ? 会いたくないんだ』
「いやそれは嘘じゃないけど……っ」
『どっちだよ』
 あはは、と笑われてしまう。さっきまでオレの方が優位だったのにこうやってすぐに立場を逆転させてしまう、そのやり方は相変わらずだ。
 自分はと言えばすっかり動揺してしまい、確かに言っていることが滅茶苦茶になっていた。だってまさか本題がそれだとは思っていなかった。密かに期待していたとは言え唐突な切り出しに、心の準備もできていない。とりあえず多くの生徒が食堂や購買へと歩いている廊下にて、周囲の騒がしさに向こうの声が掻き消されないよう、物陰となる柱の横に体を寄せる。
『どうせ今日が平日で、自分から会いに行けなくてショックを受けていたんだろう』
 その通りです。
 内心で頷きつつも今年は何をしてくれるのだろうかと心を弾ませ、言葉の続きを待った。メール、手紙と来て次は電話という段階の踏み方はいかにも赤司っちらしく、中三以来、毎年キスの日のことを忘れずに律儀に作戦を練ってくる恋人が愛しくてたまらない。
『だから、』
 ここまでオレをどきどきさせられる人間は、この世に一人しかいないのだ。

「会いに来ちゃった」

 ……え?
 電話の声音と背後から聞こえてきた声が重なり、一瞬、息が止まる。
――会いに、来ちゃった?
 って。
「……えっ、」
「久しぶり、涼太」
 なんで。
「あ……赤司っち!?」
 振り返ってそこにいた姿に、口から心臓が飛び出そうになる。どきどきどころではなくこれは最早ドッキリだ。
「はっ!? え、なっ、なん……え!?」
「涼太、日本語」
「だ、だって、なんで赤司っちが……! い……意味わかんないんスけど、なにこれ、」
 夢? と思わざるを得ない。何一つとして状況が理解できない中、右手からスマホが滑り落ちるのを堪えるのが限界だった。こんなところにいるはずのない人が自分の二メートル先に立っていて、通話を切り携帯をポケットに仕舞っている。その様子を茫然と見つめて、そして漸く気付いた。
「ちょ……それ、海常の……」
 身に纏っているものがオレと同じ制服であることにこれまた唖然として、ぱちぱちと瞬きを繰り返す。わけのわからないまま「転校してきたんスか」と呟くと、赤司っちは吹き出すように笑った。
「ははっ、転校生に思われるなんてな。残念だけど違うよ、ほら」
 そう言って襟の部分をめくり、ブレザーの裏側を見せられる。ここの制服はその位置に自分の名前が刺繍されているのだった。そして記された『黄瀬』の文字に、丸くしていた目を更に見開くこととなる。
「お……オレの!?」
「そうだよ。春休みに来た時、内緒で拝借させてもらったんだ。さすがにシャツとネクタイは自分のだが」
 通りで替えのブレザーが一着消えていたわけだ。押入れのどこかにはあるだろうと思って四月から探すことを放置していたそれを、まさか、まさか赤司っちが持っていたとは。
 徐々に現実を咀嚼し始め、自分もスマホの通話終了ボタンをタッチする。しかしまだ心臓はばくばくとうるさい。
「はぁ……もう、聞きたいことありすぎて、全然整理できないんスけど」
 明らかに浮かれてしまっている心を隠すように溜息をつき、とりあえず人目につかないところへ連れて行こうと近くの空き教室を一瞥する。「何でも聞いていいよ。答えてあげるから」上機嫌な恋人がそう言うので誰にも気付かれないよう、その手を引いて昼休みに利用する生徒などいない資料室へ引っ張った。何の教科の資料室であるのか、そこまで確認する余裕はない。が、まぁ社会科か国語科かそのあたりだろう。本棚に並べられた図書やファイルは古いものばかりで、なかなか埃くさい。
「鍵、閉めても平気なのかな」
 不意に手を握ったまま自分の一歩後ろで立ち止まった赤司っちが、部屋に入るなり尋ねてくる。振り向いて視線を合わせれば、オレの心中など見透かしているのだろう両眼にはいつまで経っても敵わないと思った。
「ん。多分へいき」
 がちゃ、と小さな教室に金属音が響く。
 廊下は相変わらず賑わっているが、一つ壁を隔てるとまるで別世界に来たかのように静まり返っていた。赤司っち以外の、誰の声もが遠く聞こえる。この高校の中で二人きりになれる日がやってくるなんて、やっぱり夢みたいだ。まだ信じられない。
「……部活とか……学校は?」
「部活は元から休みだ。学校は、……生まれて初めて、仮病なんて使った」
「オレにはあんなに駄目だっつったのに」
「僕は本業を疎かにするつもりはないからいいんだよ」
 あまりに勝手な言い訳に思わず笑ってしまう。扉の前で足を止めている赤司っちを抱き寄せ、自分が机に腰掛けたくらいで目線の高さはちょうど良い。寮は抜け出したのかと聞けば、少し躊躇ってから頷かれた。
「いつからそんな悪い子になっちゃったんスか」
 苦笑して額に口づけると、おまえのせいだ、と掠れるような声で言い返された。そうか、オレのせいか。なら仕方ない。
「でもバレたらやばいんじゃないの?」
「……まあ、罰則も、あるにはあるが……実際そこまで警備は固くないし、ルームメイトには言ってあるから、夜までに帰れば大丈夫だろう」
「そんな日帰りで帰すと思ってんスか」
「そうしてくれないと困るよ」
「オレが誘拐したってことにしてもいいからだめ?」
「ばか」
 だめだよ。本当に困ったような顔でそう咎められ、今はそれ以上は言わないでおいたが、夜になってじゃあまた今度と手を離せる自信はなかった。きっとまた、自分のわがままで困らせてしまうだろう。
 半端にオレを喜ばそうとするから悪いんだ、と理不尽な言葉で胸中を濁す。
「意外とバレないものだね」
 自分のいたずらが成功したからか、こんないけないことをしているからか、赤司っちはくすくすと楽しそうに笑った。少し無邪気なそれは年相応と言えばいいのだろうか。目を細めて嬉しげな表情がどうにもかわいくて、かわいすぎて、ああもうだめだと箍が外れる。
「……ほんとは赤司っちからキスしてほしかったんスけど」
「え? ……っ!」
 待つなんてできずに、ぐ、と腰を引き寄せて唇を重ねた。驚いて離れようとするのを阻止する為に顎を捉え、そのまま後頭部に手を回す。ちゅ、ちゅ、と触れるだけ、吸うだけのバードキスをわざと繰り返していると、もどかしくなったのか向こうから唇を開いて誘うように舌を伸ばしてきたことには少し驚いた。まあ二ヶ月キスもセックスもしてないもんな。そう思いながら赤く熟れた舌を前歯で軽く噛めば、遊んでいるのがバレたらしい。後ろ髪を引っ張られてしまい、一瞬唇が離れた。「ごめんごめん」遊ばないからもっかいさせて、と赤司っちのおいしそうな上唇をべろりと舐める。
 自ら舌を絡ませることは厭わないくせに、相変わらず、歯列や歯茎をなぞられるのは嫌いなようだ。良くも悪くも鳥肌が立つのだと以前教えられた覚えがある。ただ好きな子ほどいじめたいとはよく言ったもので、一つ一つの歯を嬲るようにしつこく舌を這わすと赤司っちはすぐ逃げ腰になった。ぎゅうと目を瞑って眉を寄せ、別にキスが下手なわけじゃないのに、鼻で息をすることも忘れてしまうほどに。
 両肩に置かれた手はオレの制服を掴むだけであり、まともな抵抗もできない様子が尚のこといじらしかった。ぴったりと唇を合わせて酸素を奪う。簡単に解放させず決して優しくはないキスを繰り返していると、ちょうどその時、廊下の方から自分を探す声が聞こえた。購買に行っていた友達が戻ってきたということはわかったし、当然、ここに隠れていることなど向こうは知りもしない。内心で謝るのみに留まったが、赤司っちも気付いたのか、瞳を開けてこちらを見てきた。
「……いいよ、放っておいて」
 キスの合間に熱の籠った吐息と吐き捨てる。すると赤司っちは「でも、」と言い掛け、まだ口づけだけに集中できていない態度がなんだか癪だった。机に腰掛けていたのをやめ、立ち上がって再び顎を持ち上げる。いきなり体勢を変えられてバランスを崩しそうになった赤司っちの腰を左手で支えてあげた。身長差のせいで多分この姿勢は首が痛いだろうし疲れるかもしれないが、オレから意識を逸らした罰だと言わんばかりに激しくする。熱く小さな口腔をまさぐっては角度を変え、お堅い思考を芯から溶かすように骨抜きにさせなくては、こんなに深いキスをしている意味がない。
「んん……っ、涼、太……」
 あ、やばい泣かせちゃったかな。
「は……、大丈夫? 苦しかった?」
「わかってるなら加減、しろ……っ!」
 顔を真っ赤にさせて涙を浮かべ、嚥下し切れずに口の端から零れた唾液を服の袖で拭い取っている。ちょっとそれオレの制服、という文句は心の中だけで漏らしておいた。
「初めてキスの日にキスできたね」
 口角を上げて額と額を合わせるように顔を覗き込むと、まだ潤んでいる瞳がこちらに向く。
「どうっスか、二ヶ月ぶりのちゅーは」
「……昔の方がもっと優しかった」
「それいつと比べてる?」
「三年半前」
「……付き合い始めた時じゃんか」
 優しかったっていうより慣れてなかっただけでしょ、と言い掛けて墓穴を掘るだけだと気付いたので口を噤む。オレだって赤司っち相手に緊張していた時期はあったのだ。今はかわいげがない、なんて恋人様は言うけれど。
「じゃあ何? 今はかっこいいしキスも気持ちいいとか?」
 笑って冗談を言ったつもりが、「……否定はしない」などと答えられては言葉にも詰まるというもので。あんまりかわいいことをしているとオレが付け上がるだけだと、きっとわかっていないのだろう。いきなりサプライズで姿を現したと思いきや殺し文句を並べたり、相も変わらず自分を振り回すのが得意な赤司っちを前に、調子を狂わされてばかりだった。
 とりあえずこれだけで帰すわけもないし午後の授業には興味の一かけらもない。赤司っちの手を引っ張って体を反転させると、とん、と机に腰が当たった向こうがいろいろと察したようだった。
「……涼太。今日はキスの日であって、別にその先をする必要はないと思うが」
 抵抗するにしてももっと上手い言い訳があるだろう。
「そんな生殺しに耐えられるわけないっスよ。ほら、ちょうどいい机もあるし」
「机がベッド代わりになると思うなよ。本当に背中痛いんだから、な……、おいっ」
 話を聞け、と無意味な応酬を繰り返そうとする赤司っちの手首を掴んで机上に押し倒した。そして顔の横に手を突いて漸くわかる。今まで何とも思ってなかったけどこの制服、赤司っちが着ると特殊なプレイをしているみたいで興奮する。海常と洛山の仕様は大差ないものだと言うのに、オレの、だからだろうか。
「大体お前、授業があるだろ」
「学校サボってきた子が何言ってんの」
 間髪を容れずに言い返すとやはり自分の方が分が悪いとは理解しているようで、下唇を柔く噛んで黙ってしまった。赤司っちに口で勝ったことが想像以上に気分を良くさせ、ネクタイを解きながら耳元で揶揄する。ここ、隣は普通に教室だから授業で使うんスよ、と。校舎の壁なんて音楽室でもあるまいし防音対策など皆無だ。
「あんま大きい声出すと聞こえちゃうかも」
 くすりと零した笑みが赤司っちのスイッチを入れたらしい。一瞬だけ眉根を寄せたが、さすがに付き合って三年半、年に一度のキスの日も三度目を迎えるくらいとなっていれば、オレを煽るのも刺激するのもお手の物だ。わざと縋るように首に腕を回して「だったら、」と返してくる。
「……涼太のキスで黙らせて」
 最高の口説きに、頭がおかしくなりそうだと思った。けれどそれを口にしたらきっと、会っても会わなくてもおかしくなるんじゃないか、と呆れられそうだったので、胸中で押し殺してご希望通りに唇を重ねる。こんなにかわいくてエロくてわるい子で愛しい恋人が目の前にいて正常でいられる方がおかしいんだ。脳裏で勝手に言い返したその一言が、精一杯の反論だった。


2013.05.23 - キスの日記念
(05.27 pixiv上に公開/05.28 サイト上に公開)
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