オレは常に一番が良い。外見においても、戦闘力においても、何においても一番が好きだ。その為の努力は惜しまない。現時点で二番に甘んじているのは成績だけの話であり、周りから、特に異性からの評価は一番だと思っている。それは間違いない。
 近頃の目標は当然バダップの上に行くことだけど、それ以外にももう一つ重要なことがあった。目標というわけじゃない。が、はっきりさせておきたいんだ。
「君にとっての一番は誰?」
「…は?」
 間抜けな反応をするエスカバから目を逸らさずに返答を待つ。そりゃあ、こんなことを聞かれるなんて予想外だよね。でもオレからすれば結構大事な問題であって、これでオレ以外の名でも挙げたらこんな関係はすぐにやめてやる。オレは一番が好きなんだ。オレのことを一番に想ってくれる人じゃないと好きになんてなれない。
「…まぁ、お前以上の人間はいねーけど」
 オレの視線から求めているものを察したのか、エスカバは慎重に言葉を選んでいるようだった。
「その言い方だと、周りが低いからオレが自動的に一番になってる、に聞こえるよ?」
「曲解だな」
 笑って誤魔化そうとしているのが気に入らなくて、オレは同じ質問をさっきより強めの口調でもう一度尋ねた。真面目に答えてよ、エスカバ。
「……はいはい、ミストレが一番だから」
「何その言い方。ちゃんと言って」
「言ってるだろ」
「言ってない」
「…じゃあどう言えばいいんだよ」
 それをオレに聞くのか。空気読めないなあ。仕方がないから、「世界で一番とか宇宙で一番とか、いろいろあるじゃん」と言ってみる。まぁそんな言葉は女の子から何度も何度も言われてきてるから、聞き飽きてるけど。
「世界一とか宇宙一とかは無理だな」
「はぁ?」
「いやそんな大規模なものは言われても嬉しくないだろ…だから、」
 俺の中で一番。そう言われて、思わず返答に詰まってしまった。エスカバは「満足か?」と言って笑う。この野郎、確信犯か。なんだか結局オレがこいつに丸めこまれただけな気がする。
「………悪くはない」
 でもまぁ、一応、合格点はあげるよ。


一番はオレだ言わせたい






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