なんでこんなことになったんだっけ、と考える。まだ外は明るいしそんな時間じゃないし、オレの服が脱がされかけてる意味がわからない。
 一つずつ順を追って思い出そう。確かオレは本日の受講を全て終えたからちょっとエスカバのところへ行ってみようと思って部屋に向かったけど居なくて、仕方がないから適当にそこらへんをうろついていたらこいつに会って、何故か会ってすぐにこの部屋に押し込まれて、で、今と。
(いやおかしいだろ…)
 なんかいろいろ省略されすぎて理解が追い付かない。大体この部屋ってここは一体何の部屋なんだ。目を細めて見渡す。電気は切れているらしく辺りは真っ暗で、うっすらと見える周囲には物がたくさん置かれているようだった。物置だろうか。若干ほこり臭いのも気になる。
「ま、待って、エスカバ」
 鎖骨を舐めてくるのを制するようにして言う。顔を上げたエスカバの目は完全に欲情しきっていて、オレは少し気圧された。
「…あのさ、この部屋ってどこ?」
「武器庫」
「は……え、武器庫!?」
「ああ」
 ああ、じゃねえよ!武器庫っていえば教官も生徒も多くの人間が出入りするところじゃないか。いくら受講が終わってるからって、こんなところでこんなことをしてたら気付かれるのも時間の問題だ。考えるだけで恐ろしい。オレは形相を変えて抵抗した。
「ちょ…やだ、無理、ほんと無理!ね、ここじゃなければしてもいいから…」
「うるせーな」
 そう言ってキスをされ、口を塞がれる。なんて手荒い口封じなんだ。でも暫く経ってもエスカバは唇を離そうとしなくて、まさか、と思った。舌を引き抜き笑って言われる。
「こうしてれば声も聞こえねえだろ」
 嫌な予感が的中した。ふざけんなよ、酸欠にでもさせる気か。オレは悪態をつこうと口を開いたが、同時にキスをされて言おうと思った言葉が全て内心で消えていく。どうやら本当にこのまま続けるらしい。
「ん、はっ……むり、しぬ…」
「大丈夫だって」
 何が大丈夫だこっちは本当に酸素が足りないんだっつーの。無責任なこと言うな、と言いたかったのに。
(…さいあくだ……)


こんなとこで?






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