あいつはあいつで? | ナノ

ガキィイイィン



俺に振り下ろされるはずだった刀は、飛ばされたはずの刀で受け止められている。

そして刀を握るのは…



「お前、逃げろって行っただろ!」


「すまない。我が身の危険の前だと、さすがに逃げることはできないよ。」


おどけた風に言う小娘が、構えたのは上段



「…おせぇよ。」



「ふふ、小娘さんが頑張ってくれたんだから、そんなこと言わない…のっ!」


へらへらと笑いながら刀を振るう華奢な腕

見た目こそ小娘だが、その身から溢れる気迫は間違いなく小五郎だった



捲れる着物の裾を抑えながら(こんな時に俺への牽制か知らんが)向かってくる相手をばったばったと倒していく姿はまるで歌舞伎の一場面のようで

美しいと思わざるを得ない

あたりが静かになって、俺のもとへとやってくる小娘

を、抱きしめたい衝動にかられるが



こいつ小五郎だよな…?


「小五郎さん、お怪我ありませんか?ごめんなさい、言いつけを破って戻ってしまいました…」


ぺこりと頭を下げる小娘


「お、お前が無事ならかまわん。」


お?小娘に戻ってる…?

「怖かったです…っ」


肩を震わせ、唇を噛む小娘の姿を見て


俺は咄嗟にその小さな体を抱きしめた



「小五郎さん…」



今朝感じたままの、小娘の体、温もり…


「お前に何かあったらと、考えただけで肝が冷えたぞ。」


無事で、良かった


「小五郎さんが、守って下さったから…」


「俺は…何も。ほんとに何も出来なかった!すまない…」




「ほんと。小五郎さんってば、カッコつけて私を逃がしたくせに、見たらちょー苦戦してるしー」


「うぐっ…」



「あんな奴らに適わないなんて、長州の明日は一体どうなることやら…」

「お前、小五郎か…」

ベリッと小娘の体を引き剥がす


「てへぺろ☆」

「か、かわ…いやいや、かわいこぶんな!」

「ふふ、しかし無事で良かったよ。小娘さんに今夜のお参りをやめるように言えばよかったね。」

「そうだ、お前らこんなとこまで毎晩きてんのか?」

「小娘さんがね、この神社には凄い力がある、って聞かなくて。」

「悪いな、俺のために。」

「絶好の逢い引き場所だね、って小五郎さんがゆってたでしょ?」

「小五郎…小娘で遊ぶな。」

「小五郎さん、好きー」

「だぁぁっ、子供かお前はぁー帰るぞ!」


飛びつこうとする小娘(中身小五郎)をかわしながら、境内の階段を駆け下りる




「あ!」

「どうしたんだい?」

「俺もお参りしてこ!」

「では私も。」

「はやくもとに戻してくれー。」

「このままじゃ不満か?」

「おう!やっぱ俺様は俺様じゃないとな!」













おわり!

お付き合いくださりありがとうございました!

沖むぅ描いた頃から、ちょこちょこ書いてた長州入れ替わり(笑)


小五郎さんと小娘ちゃんがデキてるのをやんわり知りながらも小娘ちゃんを想う晋作さん

そんな晋作さんの小娘さんへの想いを知りながら弄ぶブラックな小五郎さん

ほんとは小五郎⇔小娘のとこだけ描きたかったんです、はい

どうやったら文章書けるようになるんだろう…


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あ、ちょっと薔薇ちっくと思って載せなかった絵




お化粧!










ところだよ







だいじょぶな方だけ












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