かくれんぼ
どこにいても、
晋作さんを見つけるのが得意です。
晋作さんの周りはとても賑やかだから。
どこにいても、
桂さんを見つけるのは得意です。
桂さんはお料理のとってもいい匂いがするから。
華子ちゃんは…
いたいた。
華子ちゃんの周りはほっこり暖かくて明るくて、ついつい華子ちゃんを見つけると足元にすりすりしちゃいます。
「タマちゃんってば、寂しがり屋さんだねー。猫っぽくないねー。」そう笑って私を抱きあげる華子ちゃん。
何故か華子ちゃんの存在って、他の人達とは違う気がして…すぐに居場所がわかるけど、
一番仲良しなのに、遠く感じる時があります。
「タマちゃん、」なに?
「寂しがり屋は私だよね。ゆっくりお昼寝してるタマちゃんの邪魔してばっかりだし。」気にしなくていいのに。
「私は自分の心の隙間を埋める為にタマちゃんを利用してる悪い子なんだよ。」寂しいのは、我慢しちゃだめだよ?
「高杉さんも桂さんも、いつも忙しくしてて、生活に不自由はないけど、自由じゃないっていうか。」大変なのはわかるけど、ちょっとは構ってほしいよね。
「私ね、家族もお友達もとっても遠くにいるの。」うん。
華子ちゃんは、違う世界から来たって晋作さんが言ってた。
「同じ部活の友達が、一番仲良しなんだ。とってもしっかりしてて、優しくて、私のこといつも世話焼いてくれて…」華子ちゃんは、ちょっと危なっかしいとこあるもんね。
ほっとけないのはわかるよ。
それから、しばらくの間、華子ちゃんのお友達のお話を聞いてて、ふと気づいた…
華子ちゃん?
お友達の話を誇らしげにして照れてるのか、泣いてるのか、目元が真っ赤だよ。
「会いたいよ… カナちゃん」ドキンと心臓が跳ねるのがわかった。
なんだろう。
なんだろう、この焦燥感は。
一番仲良しと思ってたから、
やきもち妬いてるの、私?
少なくとも、今華子ちゃんのそばにいるのは私だよ!
寂しいなんて言わないでね。