珍しく殊勝な態度にひやり、嫌な汗が流れた。
どうやら重要な話らしい。
男女間に限って考えると別れ話かそのまた逆か。
最近、彼女は食欲がなくどこか体調も優れない様子だったことを思い出し、後者の可能性がずしりとのしかかる。
別れ話に比べれば、否、比べずともおめでたい話ではあるけれど、素直に喜べない自分には心底驚いた。
嬉しい気持ちは確かにある、しかし予想外。
そう、なんというか完全に予定外で、ちゃんとそうならないようにしていたと思われる分、余計に衝撃が勝っているのだということにした。
これは僕の思考が飛躍し過ぎているのだろうか…そんな筈はない。
しかしそうなると、むしろ別れ話の可能性が高まってきて、結果堂々巡りに陥ってしまう。
早く答えが知りたいような、知りたくないような。
兎にも角にも、彼女の柔らかい唇から何か紡がれたが最後、僕達の関係になんらかの変化が生じることだけは確かだ。
 
未だかつてこんなことがあっただろうか、真摯な声色はいよいよ僕を強張らせる。
 
 
 
「ごめんなさい冷蔵庫のプリン、全部食べちゃいました」
 
 
言うが早いか逃げ出そうとした背中をすっぽり抱きしめるくらい許して欲しい。
 
 
 
 
 
 
be proud of −誇りに思う−
(僕をこんな風に出来るのは君だけの特権なんだよ)

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