嬉々とした表情のノエルに連れられ、湖畔へやってきたのはついさっき。
こういう時は手を繋ぐ、引っ張るともいうけれど、そんな行為が出来るところがよく分からない。
いつもはせがんで漸く、なのに。
よっぽど急いていたのか、説明もなしに突然掴まれた腕が堪らなく熱くて嬉しかったのも最初だけ。
訳の分からぬまま今に至る。
 
 
 
「見たまえ、呼び名!!」
 
 
言われなくてももう見てる。
そんな言葉は吐息混じりに小さく零れた「あ」という文字に全て呑み込まれた。
夕日に照らされた水面はそれはそれは美しくて、他に表現しようにも陳腐な台詞しか浮かばない。
断続的に光り輝くオレンジとも黄金色ともつかないそれらは、強いていうならとても暖かくて、優しくて、安心させる何かを持っていた。
ぼんやりふわふわ意識が宙を舞う中、ふと目に付いたアンバーに、通りでこの景色に強く心引かれる筈だと直感的に理解する。
隣で満足げにうんうん頷くノエルに感激を伝えたくて、握られたままでいた手を両手でしっかり握り返せば忽ち硬直してしまうところが彼らしい。
綺麗なブロンドの髪も今ばかりは一層輝き、いつもは羨ましいくらいに白い肌も朱く染まり、なんだか夢の中にいるみたい。
 
 
はにかむノエルが絵本の表紙の王子様みたいに見えたのはもう少し黙っていよう。
 
 
 
 
 
be good at −得意である−
(得意技は彼女を笑顔にする魔法)

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