例えば、彼女が授業中にうとうと首を揺らしている時。
あかべこのような其れは、何時堕ちるのかと小さな期待を持たせ目が離せない。
うっかり頬杖から顔が滑り落ちた姿はまさに滑稽。
想像するだけで笑えてくるよ。
例えば、背後から耳元に擦り寄って名前を呼んだ時。
大袈裟に肩を揺らして、それから感心する程の速さで振り向き後退り…寧ろかなりレベルの高いバックステップとも言えるから、俺みたいな職業でもやっていけるんじゃないかな。
まぁ、ぬるま湯に浸かりきったお気楽思考のままじゃ到底無理だろうけど。
兎に角、いつもいつもどうしたらそんなに真っ赤になれるのだろうかという顔で素直じゃない愛の言葉、世間一般で言うところの暴言を吐く姿が堪らなく面白い。
あんまり俺に背後取られないように気を付けてくれないと、うっかり殺しちゃうよ。
例えば、彼女が他の奴と話しているとき。
お気に入りの玩具を盗みとられたような、胸に青い炎が燃えたぎるような、そんな感覚。
独占欲、執着心?
どれもが当て嵌まるようで、何か違うようで。
気まぐれで殿下に話したら、"それハ嫉妬デスネ"だとさ。
これがまたしっくり来ちゃって笑えるよね。
take A for B −AをBと間違える−
(愛かもしれない、でも決して恋じゃない)
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