嗚呼、気持ち悪い。
込み上げる吐き気に噎せ返りそう。
硝子玉のようにキラキラした其の瞳で、どうして他の人を映すの。
どうして僕だけを見てはくれないの。
なんで、どうして。
無邪気な笑顔を独り占めしたくて絶対に誰の目にも触れない場所へ閉じ込めたいだとか、四肢を削ぎ落として其のよく回る舌を切り落としてしまいたいだとか。
他にもいろいろと考えているけれど、そうしてしまえば目移りなんてしないんじゃない。
僕のことだけを考えてくれる、そうでしょ。
譲れない。
離せない。
余所見なんてさせないよ。
そんな子供染みた独占欲をひた隠しにするため優しい自分像っていうのかなぁ、皆のイメージに忠実な僕を何枚も何枚も着込む。
最近では着膨れして苦しいくらい。
それくらいしなくちゃ、やっていけないもの。
「ルカ君、ありがとう!」
どういたしまして。
にっこり笑う僕は完璧でしょ。
(本当に笑えてくるよ)
真っ黒い絵の具をバケツごとぶちまけたような此の気持ちを、君に微塵も気付かせないないんだもの。
(反吐が出ちゃう)
偽善者だと罵ってくれても構わない。
寧ろ、そうして貰いたいのかな。
よく分からない。
自分の事なのに、よく分からない。
ただ言える事は此の世界が余りにも僕に優しくないという事実。
酸素が足りない
君が足りない
息苦しい
吐き気がする
もっともっと、僕だけを見て。
put on −着る/身につける−
(そしてまた繰り返される、唯一の)
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3M企画