君がいないと僕は、-Severus

同じセリフでいろんなキャラクターSS
「君がいないと僕は、不完全のままだ」



w/Severus Snape 夫婦

今日はセブルスとの結婚記念日だ。

彼と結婚すると言った時の、友人たちの表情はいつでも思い出せる。「素敵ね!」と顔をほころばせたのはリリーだけで、あとは揃いも揃ってうげえ、と吐く真似をした。残らずフンコロガシにしたけれど、彼らはどうやって解除したんだろうか。

ホグワーツの教授であるセブルスは、一年のほとんどを城で過ごす。そのため会うことができるのは、学校が休暇に入った時だけだ。時折必要なものをこちらの家に取りにくることはあるけれど、そうそうゆっくりともしていられない。彼は、すこぶる忙しいからだ。

そんな彼も、結婚以来、結婚記念日とわたしの誕生日にだけは、なんとか都合をつけて帰ってきてくれている。昔はあんなに冷たかったのに、ずいぶん丸くなったものだ。わたしの熱烈なアプローチに負けた彼は――それも、数年前の話になるけれど――がっくりとうなだれながら、こう言ったのだった。「……認めよう。君の勝ちだ」と。(まったくロマンスのかけらもない)

もうすぐ20時になる。テーブルの上には、ワインや、ささやかだけれど、ご馳走――キッチンにはケーキが冷やしてあり、準備は万端だ。けれど、肝心の彼がいない。もしかしたら、何かあったのかもしれない。生徒が鍋を爆発させただとか、ダンブルドアの言いつけをたまわったとか――後者であれば、ダンブルドアに激しく抗議せざるを得ない。

その時だった。鈍い音がして、少し疲れた顔をしたセブルスが暖炉の中から姿を現した。頬には煤がついている。わたしが椅子を立ち上がってその汚れを拭うと、彼は「遅くなってすまない」と言った。その声もまた、どこか疲労に満ちている。

「大丈夫?セブルス」

椅子を引いて座るように促すと、彼はそこにどっかりと座る。普段はコートを脱いで、手を洗って、それからわたしをエスコートして、と彼の手順があるというのに。相当疲れている様子だ。

「今日に限って、ダンブルドアが無理難題を押し付けてくるわ、父親の方のポッターがホグワーツに乗り込んでくるわ、生徒が鍋を連続で割るわ――散々だ」

「大変だったのね、食べるのは明日にしてもう寝ましょうよ」

わたしがそう言って、彼のコートを脱がせようとすると、彼が不意にわたしの手を握るのできょとんと首を傾げた。彼の目はどこか熱っぽい色を浮かべている気がする。「せっかくの結婚記念日に、眠るだけだと?」目が座っている。疲れすぎて一周回ってしまったらしい。彼はわたしの手を掴んだまま引き寄せて、そのまま唇をふさいだ。なんてロマンチック!わたしは思わず彼の胸元を握りしめて、その口づけに応える。

「離れていると、余計に思い知る――君がいないと私は、不完全のままなのだと」

熱烈な言葉に、その夜が盛り上がったのは、いうまでもない。
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